一死が遠く巨人戦8戦勝ちなし
9回表、ため息混じりの悲鳴が横浜スタジアムにこだまするのは、もう何度目だろうか--。
あと一死で歓喜の瞬間が訪れるはずだった。しかし、守護神・三嶋一輝が丸佳浩にヒットを許し、岡本和真に同点2ランを被弾。負けに等しい引き分けとなった。
先発の濱口遥大は、開幕戦のリベンジを期してマウンドへ立ち、課題の立ち上がりにいきなりの3失点で嫌な空気が流れるが、2回からは何とか持ち直すことに成功。見事な三振を奪ったかと思えば、ピッチャーに四球を与えるなど、走者を許しながらも粘り強く試合を作る“濱口らしい”ピッチングで、7回を投げ抜いた。まさに開幕投手の意地を感じた126球の熱投だった。
打線も3,4月の月間MVPを獲得した高橋優貴から2回、牧秀悟のヒットと宮﨑敏郎の2ランで1点差に迫り、その後は攻めきれない場面もありながら、1点ビハインドの8回には、石田健大が3奪三振でリズムを作ると、その裏には高梨雄平からネフタリ・ソトが左中間に2ランを放って逆転。さらに交代した井納翔一がら牧秀悟がレフトへソロを放ち、連続ホームランで巨人との点差を2点に広げたが、それでも白星は手に入らなかった。
試合後、DeNAの三浦大輔監督は「あと一歩でしたね」と声を絞り出し、6回の3つの四球でもらったチャンスを生かせなかったことにも言及し、「その点もありますけどね」と悔やんだ。2試合連続で被弾した三嶋については「二死まできていて、その後にヒットとホームラン…逆球の失投を見逃されなかった」とし、4打数無安打2三振の佐野恵太も含め、「チームの核なので調子を上げて、なんとかしてもらわないと」と、奮起を促した。
「今日こそ勝てる」と思えたたゲームを引き分け、これで巨人相手に8戦5敗3分けとなった。苦手意識はないとしながらも、「あと一歩ということですけど、結果として一つも勝てていない。結果を受け止めて、みんなで何とかやっていくだけです」と、最後は気を取り直した指揮官。地元横浜で、明日こそ巨人に一矢報いてもらいたい。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)