2017年のドラ1が躍動
手負いの広島が敵地で巨人に大勝。
試合後のお立ち台に登ったのは、プロ4年目で初の捕手スタメンとなった中村奨成だった。
17日夜、チームを襲った「コロナショック」…。
3選手が新型コロナウイルスの陽性判定を受けた影響から、濃厚接触者も含めた多くの選手が抹消となっただけでなく、この日も球団の独自の判断で数選手を隔離して戦いに臨むことに。
その煽りを受ける格好となり、最終的にヒーローになったのが中村奨成。当初は外野で出場の予定も、急きょ捕手でスタメン出場することが決定。思わぬ形で一軍初スタメンマスクが舞い込んできた。
そんなスクランブルに動じることなく、先発・九里亜蓮をリードしていくと、1-1の同点で迎えた6回、無死満塁のチャンスでレフトに運ぶ勝ち越しの2点適時打。
これで火がついた赤ヘル打線は田中広輔の2点適時打や鈴木誠也の適時打、ケビン・クロンの満塁弾などでこの回一挙9得点。10-1とリードを拡げた。
直後の6回裏、丸佳浩の適時打によって1点は返されたものの、大量リードに気を緩めることなく、7回・8回は2イニング連続の三者凡退。
そのまま九里とのコンビで9回裏を迎えると、一死からの安打を皮切りに一死二塁、二死三塁とピンチを迎えたものの、最後は重信慎之介を打ち取ってゲームセット。広島が10-2で勝利を収めた。
「ちょっとバットのヘッドを入れながら打つんですけど…」
急きょのプロ初スタメンマスクながら、九里とのコンビで巨人打線を9回2失点に抑える好リード。
それだけでなく、バットでもチャンスに応える勝ち越し打を放つなど、チームの緊急事態に存在感を放った21歳。
19日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説者の井端弘和氏も、「やっぱりバッティングは良いものがあるなと思いますね」とその活躍を讃える。
思えば2017年の夏、甲子園で新記録となる大会6本塁打をマークするなど、様々な打の記録を打ち立てた怪物スラッガー。
プロ入り後はファームでも打撃に苦しむシーンが多々見られていたが、この日の勝ち越し打を含む2安打の活躍により、今季の一軍成績は.333(12-4)となっている。
井端氏はその打撃について、「ちょっとバットのヘッドを入れながら打つんですけど、あれでキッチリ上から出すイメージで、バットを最短で出そうとしていますよね」と技術的な面を解説。
「私も(バットのヘッドを)入れていたんですけど…」と自身の経験を踏まえつつ、「より最短で出しやすくしているんじゃないかなと思います。このまま続けてほしいなと思いますね」と、今後に向けた期待も口にした。
チームは新型コロナウイルスの問題でたくさんの選手が入れ替わる緊急事態となっているが、他のチームを見てみると、そのピンチをチャンスに変える新星が台頭しているのもまた事実。
鳴り物入りでプロ入りしてから悔しいシーズンを送ってきたかつてのドラ1は、この窮地で一気に開花のキッカケを掴むことができるだろうか。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』