「単純計算で3倍なので…」
西武が3連勝で勝率5割に復帰。
上昇気流のチームの中で、日に日に存在感が高まっているのがドラフト4位ルーキーの若林楽人だ。
駒大苫小牧高から駒沢大を経て、今季から加入した右投右打の外野手。
大学時代は走攻守3拍子揃った万能外野手としてスカウトからの熱視線を浴び、4年の秋に打撃を開花させた部分が主に注目を集めていたが、野手の層の厚い西武で1年目からバリバリ出場していることを予測できた人はほとんどいなかったのではないか。
開幕から約2カ月、今ではチームの切り込み隊長にすっかり定着。39試合の出場で打率.282、本塁打も1本放って打点は7。盗塁「20」は12球団で見ても断トツの数字である。
5月19日のソフトバンク戦で3安打を放ってから、ここまで4試合連続で安打をマーク中。
22日の日本ハム戦では、まず初回に四球で出ると、すかさずスタートを切ってあっさりと二塁もゲット。ここは得点にはつながらなかったが、3-1と逆転した直後の5回一死から安打で出塁すると、またも初球に盗塁成功。二死満塁とチャンスを拡大した後、栗山巧の適時打で生還した。
そして極めつけは7回。先頭で左腕の宮西尚生から安打を放つと、つづく源田壮亮は送りバント。二塁に進んだため、盗塁はもうないか…と思いきや、二死から4番・中村剛也の打席で果敢に三盗。ワンバウンドのボールだったこともあって相手捕手は送球することもできず、この日は1試合に3盗塁を記録。早くも今季の盗塁数を「20」に乗せた。
試合後のヒーローインタビューでは、「こんなに走れるとは自分でも思っていなかった」としつつ、「試合を重ねていくうちに盗塁も成長できているのかなと思います」と手応え。
「謙虚にこれからも走り続けられればいいなと思います」と付け加え、現状に満足することなく、これからも貪欲に次の塁を狙い続けることを宣言した。
躍動するルーキーについて、22日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した谷沢健一氏は「非常にスタートが良いね。ピッチャーのモーションを盗んでいると思うんだけど、それにしても積極的なスタートにスピード、スライディンクですね」と高評価。
つづけて、「(チーム)46試合で20個ですから、単純に計算して3倍。60個、行くんじゃないですかね」と、さらなる“量産”にも期待を寄せる。
同じく解説として出演した斎藤雅樹氏も、自身の現役時代の経験も踏まえ、「足が速いというのは、ピッチャーとしては一番気になるんですよね」と語り、若林の貢献度について言及。
また、「ピッチャーはもうちょっと気を付けていかないといけませんね」と締めたように、これだけ目立てば相手チームのマークも厳しくなることは避けられない。その中で谷沢氏が挙げた“3倍”、「60個」という大台にどれだけ近づいていくことができるか。今後は盗塁のペースにも注目していきたい。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』