パ優勢の交流戦…2年ぶり開催でドラマは生まれるのか?
プロ野球もシーズン開幕から約2カ月が経過。セ・リーグは勢力図が固まりつつあるなか、パ・リーグは依然として混戦模様。そんな中で、数々のドラマを生んできた『日本生命セ・パ交流戦』が2年ぶりに幕をあける。
コロナ禍で短縮シーズンとなった昨季は16年目にして史上初めて中止となったが、今年は5月25日(火)にセ・リーグの本拠地6球場で開幕。3週間に渡って各球団18試合(計108試合)の熱戦が繰り広げられる。
過去15シーズンを振り返ると、2009年を除いてパ・リーグが勝ち越す圧倒的優勢。2012年と2014年の巨人、2018年のヤクルト以外は、全てパ・リーグ勢が頂点に立っており、なかでもソフトバンクは最多8度の優勝で他を圧倒してきた。
交流戦は中盤戦以降のペナントレースに与える影響も小さくなく、2007年には交流戦前の時点でリーグ4位だった日本ハムが、セ・リーグ勢から勝ち星を荒稼ぎして一気に首位に浮上。そのままペナントレースを制したケースもある。
そんな順位に大きな変動が見られる可能性もある交流戦を前に、今回はスポーツチャンネル「DAZN(ダゾーン)」にて、毎週月曜日に配信されている『野球トレンド研究所』のMCも務める人気野球ユーチューバー・トクサンにインタビューを実施。2シーズンぶりの開催となる交流戦で注目しているポイントなどをうかがった。
“因縁の対決”に熱視線
各球団が40~50試合を消化した今季のプロ野球について、まずトクサンが口にしたのが“若手の台頭”だった。
「12球団それぞれ3年目以内の若い選手がスタメンに並んでいたり、先発ローテーションにも中継ぎにも抑えにも名を連ねている。これほど多くの若手が台頭しているというのは、これまであまりなかったのではないかという印象です。なかでもルーキーが活躍しているチームが上位にいるな、という印象はありますね」
セ・リーグ首位を走る阪神では、ドラフト1位ルーキーの佐藤輝明選手がタイトルレースにも加わる活躍で猛虎打線の中軸を担っており、パ・リーグでは楽天のドラフト1位ルーキー・早川隆久投手が勝ち頭として活躍。彼らルーキーをはじめ、初めて交流戦に挑む若手選手たちは少なくない。
日本シリーズも含め、近年はパ・リーグがパワーで圧倒する展開が目立つが、トクサンは今季の交流戦について、「阪神の佐藤輝明選手、DeNAの牧秀悟選手、この野手2人がパ・リーグのパワーピッチャーにどう対応していくのかというのは興味があります。また、セーブを積み重ねている広島の栗林良吏投手だったりは、パ・リーグの強打者に対してどう立ち向かっていくのかなというところですよね」と、”パの猛者たちに挑むセのルーキー”という構図を注目ポイントに挙げた。
また、「巨人の戸郷投手がパ・リーグの打者を相手にどのような投球をするのかというのは個人的に見ものだと思っています」と、昨秋の日本シリーズでソフトバンク打線を相手に奮投し、『敢闘賞』に輝いた高卒3年目右腕にも熱視線。
「特にジャイアンツの選手はソフトバンクに対して特別な感情を持っていると思うんですよね。個人的にはそこのカードに注目しています」と、頂上決戦で2年連続4連敗の屈辱にまみれたセ界王者の巻き返しにも期待を寄せた。
ちなみに、巨人は交流戦の通算成績181勝164敗9分けとセ・リーグ6球団のなかで唯一勝ち越しているものの、ソフトバンク戦に関しては23勝36敗と大きく負け越しており、まさに“因縁の相手”が鬼門となっている。
今季の交流戦では、開幕2カード目の5月28日(金)からソフトバンクのホームに巨人が乗り込んで3連戦。巨人が苦杯を喫した舞台で意地を見せるのか、はたまた2年越しの交流戦連覇を目指す絶対王者が返り討ちにするのか…。
因縁が渦巻く顔合わせは、交流戦108試合のなかでも見逃せない対戦になりそうだ。
取材・文=藤田皓己(ふじた・こうき)