話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、プロ野球セ・パ交流戦でも好投。防御率と奪三振数で12球団1位を誇る、中日ドラゴンズ・柳裕也投手を取り上げる。
竜の右腕エースが、見事な鷹退治をやってのけました。
2年ぶりの開催となったセ・パ交流戦開幕戦。ソフトバンク戦の先発を務めた中日・柳裕也投手は、12球団トップのチーム打率を誇る強力ソフトバンク打線を相手に熱投。毎回ランナーを許したものの、三塁を踏ませないピッチングで7回6安打無失点。救援陣も0封を続け、柳投手はチームトップの4勝目。中日にとっては6年ぶりの交流戦開幕戦勝利となりました。
日本シリーズは4連覇中。交流戦も開催されなかった去年(2020年)を除けば過去5年で4回優勝と、昨今話題になった「セ・パの格差問題」の象徴的存在と言えるソフトバンクを寄せ付けなかった柳投手。これで防御率1.62(5月25日終了時点)は12球団でトップ。奪三振73も12球団トップと、安定した投球内容を誇っています。
この好調の要因、奪三振数の多さについて、中日OBで明治大学の先輩でもある野球解説者の川上憲伸氏はこんなコメントで解説しています。
柳投手は昨年(2020年)、ケガの影響もあって6勝どまりでしたが、その数字に前半戦だけで追いつき・追い越しそうな勢いです。その好調ぶりを紐解くと、オフに取り組んだ先輩投手の存在がありました。横浜高校の8学年上という大先輩、楽天・涌井秀章投手との合同自主トレです。
涌井投手と言えば、楽天移籍1年目だった昨シーズン、11勝4敗で、西武・ロッテ時代に続いて自身4度目の最多勝を獲得。史上初となる「3球団での最多勝」を成し遂げた、現役最高の投手の1人です。
この「涌井塾」で柳投手が手に入れたものが、涌井投手直伝のシンカーです。柳投手は以前からシンカーは投げていましたが、涌井投手から教わったのは、「握りからして違った」という高速シンカーでした。
「涌井塾」での学びは自主トレ期間中だけにとどまらず、キャンプやオープン戦期間中もLINEでのやり取りで相談を重ねる“オンライン補講”にまで及んだと言います。そんな柳投手の「涌井シンカー」の出来栄えについて、“師匠”の涌井投手自身、こう評しています。
「今年は勝てると思います」という涌井投手の見立て通り、今季ここまで勝ち星を重ねている柳投手。一方の“師匠”涌井投手も負けじと、パ・リーグの最多勝争いで上位をうかがう勝ち星を重ねています。
だからこそ期待したくなるのは、柳投手と涌井投手の“師弟対決”です。開幕前の3月6日、オープン戦で投げあった際には、パ・リーグを代表する強打者・浅村栄斗選手から“涌井シンカー”で空振りを奪うなど、5回を投げて1失点と自主トレの成果を師匠の前でしっかり見せた柳投手。一方の涌井投手も3回を投げて無失点と、ともにナイスピッチングを演じました。ただ、やはり「公式戦の真剣勝負での投げあいを見たい!」というのがファン心理です。
中日-楽天の交流戦日程は6月8日(火)、9日(水)、10日(木)の3連戦。今シーズン、涌井投手の登板は金曜固定のため、いまのままのローテーションでは投げ合いの実現は難しそうです。ただ、先発投手のスライドも想定される梅雨時期だけに、天の神の采配にも注目です。
竜の右腕エースが、見事な鷹退治をやってのけました。
2年ぶりの開催となったセ・パ交流戦開幕戦。ソフトバンク戦の先発を務めた中日・柳裕也投手は、12球団トップのチーム打率を誇る強力ソフトバンク打線を相手に熱投。毎回ランナーを許したものの、三塁を踏ませないピッチングで7回6安打無失点。救援陣も0封を続け、柳投手はチームトップの4勝目。中日にとっては6年ぶりの交流戦開幕戦勝利となりました。
日本シリーズは4連覇中。交流戦も開催されなかった去年(2020年)を除けば過去5年で4回優勝と、昨今話題になった「セ・パの格差問題」の象徴的存在と言えるソフトバンクを寄せ付けなかった柳投手。これで防御率1.62(5月25日終了時点)は12球団でトップ。奪三振73も12球団トップと、安定した投球内容を誇っています。
この好調の要因、奪三振数の多さについて、中日OBで明治大学の先輩でもある野球解説者の川上憲伸氏はこんなコメントで解説しています。
『セ・リーグの投手の特徴はやはり制球力。今年、そんな“セ・リーグらしい投球”を体現できているのが柳です。飛び抜けた変化球やストレートがあるわけじゃないですが、今年はコントロールが安定しているし、すべての変化球の質がいいから、さまざまな状況で空振りを奪えて、三振も増えています。パ・リーグの打者も手こずるんじゃないですかね』
~『週刊プレイボーイ』2021年No.23 より(川上憲伸氏コメント)
柳投手は昨年(2020年)、ケガの影響もあって6勝どまりでしたが、その数字に前半戦だけで追いつき・追い越しそうな勢いです。その好調ぶりを紐解くと、オフに取り組んだ先輩投手の存在がありました。横浜高校の8学年上という大先輩、楽天・涌井秀章投手との合同自主トレです。
涌井投手と言えば、楽天移籍1年目だった昨シーズン、11勝4敗で、西武・ロッテ時代に続いて自身4度目の最多勝を獲得。史上初となる「3球団での最多勝」を成し遂げた、現役最高の投手の1人です。
『あれだけの実績を残された方。貴重な時間ですので、練習方法だけじゃなくてもいろんな面で勉強してきたいです』
~『中日スポーツ』2020年12月9日配信記事 より(合同自主トレに臨む前の柳投手のコメント)
この「涌井塾」で柳投手が手に入れたものが、涌井投手直伝のシンカーです。柳投手は以前からシンカーは投げていましたが、涌井投手から教わったのは、「握りからして違った」という高速シンカーでした。
『「ボールの握り方やリリースを教えてもらったが、握りからして違った。引き出しの一つというか困ったときの参考になる」
これまでにもメールで助言をもらってきた。時には握りを写真で送ってもらうこともあった。だからこそ、直接指導を受けた今回の自主トレでは「どういう感覚で投げていますか」と質問をぶつけ、実際に投げる姿を見て参考にしたという』
~『中日スポーツ』2021年1月26日配信記事 より
「涌井塾」での学びは自主トレ期間中だけにとどまらず、キャンプやオープン戦期間中もLINEでのやり取りで相談を重ねる“オンライン補講”にまで及んだと言います。そんな柳投手の「涌井シンカー」の出来栄えについて、“師匠”の涌井投手自身、こう評しています。
「柳は去年からシュートを投げ出したらしいんですが、球が弱くなっていたので『やめた方がいい』ってシンカーを教えたんです。(3月のオープン戦で)投げ合った試合で、ある程度使えていたし、考え方も多少変わったみたいなので、今年は勝てると思いますよ」
~『日刊ゲンダイ』2021年5月26日Web配信記事より(涌井投手のコメント)
「今年は勝てると思います」という涌井投手の見立て通り、今季ここまで勝ち星を重ねている柳投手。一方の“師匠”涌井投手も負けじと、パ・リーグの最多勝争いで上位をうかがう勝ち星を重ねています。
だからこそ期待したくなるのは、柳投手と涌井投手の“師弟対決”です。開幕前の3月6日、オープン戦で投げあった際には、パ・リーグを代表する強打者・浅村栄斗選手から“涌井シンカー”で空振りを奪うなど、5回を投げて1失点と自主トレの成果を師匠の前でしっかり見せた柳投手。一方の涌井投手も3回を投げて無失点と、ともにナイスピッチングを演じました。ただ、やはり「公式戦の真剣勝負での投げあいを見たい!」というのがファン心理です。
中日-楽天の交流戦日程は6月8日(火)、9日(水)、10日(木)の3連戦。今シーズン、涌井投手の登板は金曜固定のため、いまのままのローテーションでは投げ合いの実現は難しそうです。ただ、先発投手のスライドも想定される梅雨時期だけに、天の神の采配にも注目です。