王手がかかるヤクルト戦へ!
今年も“6連戦×3週間”の日程で行われる『日本生命セ・パ交流戦』。
オリックスは30日のヤクルト戦の先発にベテランの増井浩俊を立てる。
プロ12年目を迎えた36歳の右腕は、今季がオリックス加入4年目のシーズン。
自主トレ・春季キャンプからの先発調整はルーキーイヤー以来だったという中、キャンプの途中に脚を痛めたこともあったが、開幕からの先発ローテーション入りに成功。
開幕5戦目(3月31日)のソフトバンク戦で幸先よく初勝利も掴んだ。
ところが、その後は勝ち運に恵まれず4連敗…。5月10日に登録を抹消となり、以降は二軍で調整を続けてきた。
3週間ぶりの一軍復帰戦、相手はヤクルト。実は“ある記録”のかかる相手となる。
「12球団勝利&12球団セーブ」。一人でダブルの達成となると、プロ野球史上初の快挙だ。
日本ハムでセットアッパーやクローザーとして活躍を見せ、オリックスでも加入初年度は抑えを任されていた。
2018年に12球団セーブを達成し、2020年に古巣の日本ハムから白星を挙げたことでもうひとつの記録にも王手。12球団勝利に向けて、残る球団はヤクルトのみとなっている。
「今は個人的なことは…」
しかし、当の本人はと言うと…?
「今季まだ1勝しかしていない。チームも負け越しており、今は個人的なことは言っていられない」と、フォア・ザ・チームを強調。
そのうえで、「勝つことが、記録にもつながるのなら…」と、記録への意欲も含ませた。
二軍での調整期間中は、「多少疲れが残り、球速も落ちていたがリフレッシュはできた」とのこと。
また、「セットポジションで打ち込まれていた」という理由から、ワインドアップに変更。「スコアラーさんの意見もあり、思い切って変えてみた」のだという。
ヤクルト戦には、苦い思い出もある。
ルーキーイヤーの6月、神宮での試合に登板するも、肩を痛めて1回・11球で無念の降板。それから半年もの間、投げることができなかった。
「ひとつのポジションに留まれなかったという意味では微妙な記録だが、誰もやったことのない記録なので」
ベテランらしく、静かに快記録に挑む。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)