緊急事態にリリーフ陣が奮起!
西武がセ・リーグ首位を走る阪神に辛勝。
先発・今井達也が負傷降板となる緊急事態の中、リリーフ陣が虎の子の1点を守り抜いて勝利を掴んだ。
西武は2回、山川穂高のソロで1点を先制。投げては先発の今井が5回まで無四球、3安打で無失点の快投。なかなか追加点は奪えなかったが、リードを保ったまま試合を折り返す。
ところが6回表、先頭の近本光司が弾き返した強烈なライナーが今井の左手首付近を直撃。すぐに痛々しい腫れが中継カメラ越しでも確認できたほどの負傷により、6回一死でマウンドから去ることとなってしまう。
残る阪神の攻撃は4イニング…。加えて前日は森脇亮介が27球、リード・ギャレットが29球を投じて失点を喫しているという危機的状況で、まずは2年目の宮川哲が先陣を切る。
今井の降板後、6回一死走者なしで登場した右腕は、後続をテンポ良く切って無失点リリーフ。
続投した7回は一死からジェリー・サンズに安打を浴び、さらに佐藤輝明の三振を挟んで連続四球で二死ながら満塁のピンチ。阪神は代打・糸井嘉男を送り込んできたが、最後は151キロの速球を投げ込んで空振りの三振。スコアボードに2つのゼロを刻む。
8回表、宮川からバトンを受けたのは左の武隈祥太。こちらは先頭の近本をフルカウントから歩かせてしまうものの、2安打と当たっている中野拓夢はスリーバント失敗でラッキーなアウトに。3番以降は右が続くというところで、今度は右の十亀剣へスイッチ。
すると、この執念の“ベテランリレー”が実を結び、ジェフリー・マルテは二ゴロで併殺。十亀は見事に2球で2つのアウトを奪い、8回にもゼロの文字を入れることに成功した。
試合は1-0のままいよいよ9回へ。辻発彦監督は平良海馬にラストイニングを託した。
前日は8回を担当して無失点の好投を見せた昨季のパ・リーグ新人王だったが、1点差の9回というシチュエーションに緊張もあったか、先頭の大山悠輔にストレートの四球。最後のボールは大きく高めに抜けてバックネットへ突き刺さるような投球となり、球場がざわめきに包まれる。
しかも次打者・サンズとの対戦中に、代走で出た植田海が盗塁に成功。あっという間に無死二塁、一打同点のピンチ。しかし、この状況で平良は開き直った。
サンズは外のカットボールを打たせ、バットを粉砕する投ゴロ。走者もクギ付けにして一死を奪うと、佐藤輝明にはカットボールを続けた後の155キロ速球で3球三振。パワーとパワーのぶつかり合いを制す。
二死二塁となり、メル・ロハス・ジュニアはカットボールを打たせて左邪飛。アウトの判定後、阪神・矢野燿大監督から「打球がファウルゾーンの防球ネットに当たっているのではないか」とリクエストが出たが、リプレイ検証の結果は判定変わらず。西武が1点のリードを死守し、今季の交流戦初白星を掴んだ。
リーグ記録の開幕26戦ゼロ封
守護神の増田達至が離脱中、さらに代役で9回を任されることが多かったギャレットが打ち込まれていたところで、ラストイニングを締めたのが21歳の怪力右腕。
これで今季は開幕から26試合連続の無失点となり、2012年に岡島秀樹(ソフトバンク)が記録したパ・リーグ記録に並んだ。
安定感抜群の投球を続ける若き右腕について、29日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説者の谷繁元信氏は、「ボールが速いですし、やっぱり迫力がありますよね」とその投げっぷりに太鼓判。
なかでも佐藤輝明との対決には「すごかったですね…」と驚きの声をあげつつ、無失点記録についても「とにかく続けてほしい」と今後の活躍にも期待を寄せる。
同じく解説の大矢明彦氏は、1点差の9回・ピンチを背負ってからの強気の投球について、「自分の持っているボールを投げれば絶対に打ち取れるという自信があるピッチングでしたね」とコメント。
その後のマイペースなヒーローインタビューも含め、「見ている方は痺れたけど、本人は痺れてないよね」と、若き右腕の強心臓ぶりを讃えた。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』