育成出身・21歳が躍動
セ・リーグ最下位に沈みながら、交流戦では上位争いを演じているDeNA。
1日からのカードでは、昨季の日本一王者・ソフトバンク相手にもひるむことなく立ち向かい、2試合を終えて1勝1分と善戦を見せている。
2日のゲームは両軍の投手陣が踏ん張って1-1のドロー。
なかでも輝きを放ったのが、DeNA先発の中川虎大(なかがわ・こお)。2017年の育成ドラフト1位から支配下に這い上がってプロ4年目になる右腕が、プロ11戦目での初勝利を目指して鷹打線に立ち向かった。
初回は二死からの四球に加え、4番・柳田悠岐が打ち上げた飛球を左翼手の佐野恵太が見失い、ショートとレフトの間に落ちる間に二塁打となって二・三塁のピンチに。それでも、難敵・中村晃を三邪飛に打ち取って立ち上がりのピンチを切り抜ける。
すると、2回を三者凡退で片づけると、3回は二死ながら三塁に走者を置いた状況で、栗原陵矢のセンター返しを桑原将志が決死のダイビングキャッチ。
味方の好守にも助けられてゼロを並べていくと、3回裏にタイラー・オースティンが適時打を放ってDeNAが先制に成功。中川は援護をもらった直後の4回を3人で斬り、5回はまたも桑原の好プレーに助けられながら三者凡退。これでプロ初勝利の権利を得た。
しかし、1-0で迎えた6回。先頭の牧原大成に安打を浴び、一死から栗原にはエンドランを決められて一・三塁のピンチ。柳田はショートへのゴロに打ち取るも、二塁はアウトも一塁は間に合わず、併殺崩れの間に失点。1-1の同点に追いつかれてしまう。
さらに二死一塁から柳田に盗塁を決められ、つづく中村を歩かせると、長谷川勇也は打ち取った当たりがボテボテすぎて内野安打に。失点後になおも満塁という大ピンチ。
それでも、甲斐拓也に対しては3球目でこの日最速の154キロを計測すると、最後は153キロで押し込んで右飛。試合はこのまま1-1で終わり、プロ初勝利とはならなかったが、プロ入り後最長となる6回を投げて被安打が4、四球は3つも3奪三振で1失点の力投。強敵を相手に見事な力投を見せ、今後への期待を膨らませた。
解説陣も絶賛「勝てるピッチャーに」
2日に放送されたCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』でも、この日の中川の力投が話題に。
高木豊氏は、失点した6回について「よくベンチもガマンしたなと思います」とコメント。
柳田の併殺崩れで失点を喫し、気落ちしそうなところで「中村・長谷川・甲斐と続いていくところですよね。本当は代えたかったでしょうけど、中川の成長を考えて三浦監督がガマンしたと思う」と、指揮官の“親心”について触れつつ、「その中で甲斐に対して154キロを出すんですよ。この日の最速。こういうところでMAXを叩き出せるというのは、勝てるピッチャーに成長するんじゃないかなと思います」と、その心意気に答えた若き右腕の力投を讃えた。
同じく解説の大矢明彦氏も、「非常に思い切りが良くて、マウンドさばきも大分良くなった」と成長を実感。
つづけて、「本来なら5回で切っても良かったかなというところもあるんですけど、高木さんが言っていたように“この先”を考えたらもう少し…というところで、6回もガマンして投げさせましたね」とコメント。
プロ入り後最も勝利に近づいたこの日の経験を糧に、DeNAのローテを担うような存在へと成長することができるか。名前も特徴的なハマの若き右腕・中川虎大から目が離せない。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』