「今のルールだと…」
2日、バンテリンドームで行われた中日-ロッテの一戦は2-2の引き分け。
ロッテが土壇場9回に2得点を挙げて追いつき、なんとか連敗を免れた。
この試合で大きな話題を呼んだのが、9回表の攻防。
安定感抜群の中日・又吉克樹に対し、ロッテは一死からレオネス・マーティンがセンターへの安打を放って出塁。さらに中村奨吾も安打で続き、一死一・二塁とチャンスをつくる。
ここで打席に立ったブランドン・レアードはボテボテの三ゴロも、当たりが弱すぎてアウトは一塁のひとつ。結果的に進塁打となり、二死ながら二・三塁で角中勝也が強烈なピッチャー返し。打球はセンターへと抜けていった。
三塁走者が還り、焦点は二塁走者・中村奨吾。決死のヘッドスライディングを見せるも、センターからの好返球でタッチアウト。中日が2-1で逃げ切り、ロッテはあと一歩及ばず…と思われた。
ところが、ロッテは井口資仁監督が審判にリクエストを要求。最後のクロスプレーについて、中日の捕手・木下拓哉が走路を妨害していたのでは…?という確認。いわゆる「コリジョンルール」の適用の有無についてだ。
すると、リプレイ検証の結果、アウトの判定が覆ってセーフ。中村の生還が認められ、これで2-2の同点に。試合終了が一転、ロッテが試合を振り出しに戻し、執念でドローに持ち込んだという試合だった。
「コリジョンルール」とは、本塁での衝突を防止するため、NPBでは2016年から採用されているルール。今回のケースで言うと、中日の捕手・木下拓が「ボールを保持していない状態で、得点しようとしている走者の走路をブロックした」とみなされて判定が覆った。
2日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説者の大矢明彦氏は、現役時代は名捕手として鳴らした自身の経験も踏まえ、「キャッチャーの立場からすると、ランナーにタッチしたいし、ボールは捕らないといけない」と、ブロックとみなされた点については意図的なものではなかったと解説。
そのうえで、「キャッチャーとしてはしょうがないこと。ただ、今のルールだと、(ボールを捕りに行った時に)左の膝が先に走路上に来てしまったのがね…」と語り、判定については理解を示している。
同じく解説の高木豊氏も、「難しいですよね。流れの中で入ってしまうということはあるでしょう。責められないし、ルールだからしょうがない」と木下のプレーにコメント。
一方で、走者の視点からは「中村はまっすぐスライディングをして、コリジョンルールの適用を求めた。ちょっとでも回り込んでアウトだったら、コリジョンは取られなかったかもしれない」と、本塁を巡る攻防について両者の目線から言及した。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』