2021.06.06 14:00 | ||||
横浜DeNAベイスターズ | 4 | 終了 | 3 | 千葉ロッテマリーンズ |
横浜 |
勝負強さの秘訣は…?
頼れるベテランが決めてくれた。3−3の同点で迎えた9回、8番・大和は2死2塁からロッテの抑え・益田直也のストレートを捉え、レフトフェンス直撃の決勝打を放ち、三浦大輔監督に初めてのサヨナラ勝利をプレゼント。バンテリンドームで中日がオリックスに敗れたため、DeNAは交流戦首位タイに浮上した。
お立ち台に上った大和は渋い声で「嬉しいです」と第一声。「得点圏で打ちすぎているので、回って来い、来るなと自分の中で葛藤してました」とおどけつつ、「打った瞬間絶対抜けると思ったので、バット投げちゃいました」と笑顔を見せた。
横浜スタジアムは東京オリンピックの会場となるため、この試合を最後に8月31日まで本拠地を留守にする。「少しさみしいですが、みなさんが応援していてくれる気持ちを胸に戦います」と力強く呼びかけ、熱狂するファンの拍手を一身に浴びていた。
今季はここまで44試合に出場して打率.254だが、チャンスの場面では「割り切って打席に入れている」と得点圏打率.464をマーク。この日は9回二死のあとがない場面で「初球インコースの真っ直ぐをファールにしたとき、また真っ直ぐだと。変化球なら空振りでもいい」と、2球目の145キロを仕留めた。
交流戦を機に上昇気流に乗っているチーム状況については、「オリックス戦に勝てたことが一番大きい。それ以降も勝てたことで勝ちグセがみんなに付いた。すごくいい雰囲気の中でやっているので、それが結果につながっています」と反攻ムードを分析した。
「要として引っ張ってくれています」
お立ち台に立ったのは大和ひとりだったが、先発の今永昇太も6回を107球、被安打4、奪三振5、与四球2、失点1でクオリティスタートを記録。「(伊藤)光さんと試合前にミーティングした通りに攻めて上手くボールを操ることができました」と、女房役との共同作業で復帰後イチバンの好投で試合を作った。
伊藤光が一際輝きを放ったのは、試合のペースがロッテに傾きかけた試合中盤だった。5回表に先頭の荻野貴司がヒットで出塁すると直後に二盗を阻止。1点リードの6回裏には11者連続で抑えられていた小島和哉からチーム4イニングぶりのヒットをセンターに運び、貴重な追加点の足がかりとなった。
三浦監督は「盗塁を刺した光も、今永もいいクイックをした。勢いを止めてくれた」と試合の流れを戻した5回の盗塁刺を評価。伊藤光については「要所要所で良い働きをしてくれている。打席で粘ったりヒットを打ったりと。要としてチームを引っ張ってくれています」と、2番で攻守に貢献しているベテランを絶賛していた。
セ・リーグ最下位ながら交流戦で勢い付き5位・広島まで「2.5」差。最下位脱出も見えてきたが、指揮官は「また来週みんなで頑張ります」と勝って兜の緒を締めた。ようやく形となってきた“横浜一心”野球。昨季まで苦手にしていた交流戦で初の王座も見えてきた。
取材・文・写真=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)