“先輩”相手に見事なピッチング
阪神が今月初の連勝。この日は相手のミスにも付け込みながら、12安打で10-3と大勝。
2連勝で対日本ハム戦の勝ち越しを決めた。
6回表終了時点で9-2。援護を受けて順調に投げ進めていた先発の秋山拓巳だったが、6回裏は先頭の王柏融に二塁打を浴びていきなりピンチ。
一死を挟んで平沼翔太を歩かせると、さらに三振で二死としながら清水優心に適時打を浴びて失点。9-3となる。
リードは6点、二死一・三塁というケースを迎え、阪神ベンチは継投を選択。高卒2年目の及川雅貴にこのピンチを託した。
今季一軍デビューを果たした20歳の左腕は、5月30日の西武戦で嬉しいプロ初勝利を挙げたものの、前カードのソフトバンク戦は5日のゲームが1回1失点。翌6日も3回を3失点(自責は1)と、立て続けに失点を喫している。
そんな中で迎えた今季5試合目のマウンドは、二死とはいえピンチの場面。しかも相手は昨日4安打の淺間大基。この日も2安打をマークしている、横浜高の先輩との対決となった。
それでも、若き左腕はひるむことなく立ち向かい、146キロの真っすぐで押し込み三邪飛。わずか2球でこのピンチを切り抜ける好リリーフを見せる。
さらに7回も続投すると、同じく横浜高の先輩である髙濱祐仁を147キロの速球で空振り三振。つづく西川遥輝を二ゴロに仕留め、二死からはこの試合3度目となる“先輩への挑戦”、近藤健介を中飛に斬って4者連続のアウト。
前回登板を引きずることなく、それも難しいピンチからの登板ながら、見事なピッチングで1回1/3を完ぺきリリーフ。その後は齋藤友貴哉からジョン・エドワーズとつなぎ、阪神が10-3の大勝を収めた。
「かなりの戦力になるんじゃないかなと」
9日に放送されたCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』でも、及川の好投が試合のポイントとして取り上げられた。
解説者の井端弘和氏は、「ボールに勢いがあるなというのと、スピンの多さも感じる」と日本ハム打線を封じ込めた速球の威力に注目。
ブルペン陣では岩崎優が離脱中、岩貞祐太も直近はやや苦しい投球と左腕に受難が続いているが、「中継ぎとして勝ちゲームで出てこれるようになってきた時には、かなりの戦力になるんじゃないかなと思います」と、今後の飛躍に期待を寄せる。
また、齊藤明雄氏も「大きな舞台を踏んでいるだけあって、堂々と投げていますよね」と語り、アマチュア時代から大きな注目を浴びてきた“経験値”が、一軍の舞台にも動じることなく投げられている要因に挙げる。
つづけて、「前回のソフトバンク戦ではプロの怖さを感じたかなと思うんですけど、それを反省して挑んでいる」と、自身の嫌な流れを断ち切った部分も高く評価しつつ、「しっかりとしたボールを投げているなと。素晴らしいと思います」とこの日の投球を讃えた。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』