代表内定ゼロも
16日に東京五輪の野球・日本代表内定選手が発表され、19年に行われた『プレミア12』で活躍した鈴木誠也(広島)、山田哲人(ヤクルト)をはじめ、20年以降に活躍し始めた平良海馬(西武)、栗原陵矢(ソフトバンク)、栗林良吏(広島)など24名の選手が選出された。
球団別では広島の5名が最多だったが、ロッテからは日本代表内定選手が残念ながら1人も選ばれなかった。ただ、ロッテにも日本代表クラス、魅力的な選手は多くいる。そのことを多くの野球ファンに知っていてもらいたい。
二塁を本職にする菊池涼介(広島)、浅村栄斗(楽天)、山田が代表に内定したが、今季からチームキャプテンを務める中村奨吾も彼らに負けないくらいのポテンシャルを持つ。今季はここまで打率.304、3本塁打、35打点、5盗塁。出塁率はリーグ3位の.416をマークするように、今季の中村は四球数もリーグ2位の44個選び、三振の数よりも四球を選んだ数が多い。4月14日の楽天戦から5月7日のオリックス戦にかけて18試合連続出塁すれば、5月9日のオリックス戦から6月2日の中日戦にかけて19試合連続出塁。5月以降、出塁していない試合は33試合中、わずかに3試合しかない。
盗塁数は5つと少ないが、走っても4月24日のソフトバンク戦では1-4の3回一死二、三塁から角中が放ったセンターへの犠飛で、センターから中継に入ったショートへの送球が乱れる間に二塁走者の中村がホームインする好走塁もあった。
守備でも二塁の守備率はリーグトップの.990。4月18日のオリックス戦では1-0の3回一死走者なしから太田椋が放った高いバウンドの打球に対し、前に突っ込みながらうまくあわせてキャッチし一塁へ送球しアウトにする好守備を見せた。
マリーンズ不動のリードオフマン・荻野貴司は安打数(82)、二塁打(18)はリーグトップを誇り、打率はリーグ2位の.309をマークする。激戦の外野手ということもあり代表内定とはならなかったが、35歳という年齢を全く感じさせないプレーを披露している。
守護神・益田は直近2年でセーブ数は日本人最多
投手も守護神・益田直也、セットアッパー・唐川侑己は代表でもその投球を見てみたかったが、代表内定とはならなかった。特に益田は20年、21年と各球団の日本人のクローザーが故障や不調に喘ぐなか、昨季はリーグ2位タイの31セーブ・防御率2.25の成績を残し、今季は開幕直後に抑え失敗があったものの、30試合に登板して0勝4敗17セーブ、防御率2.30だ。ちなみに直近2年間で日本人投手のなかでもっともセーブを挙げているのが、48セーブの益田だ。
▼2020年から直近2年の日本人通算セーブ数
1位 48S 益田直也(ロッテ)
2位 41S 増田達至(西武)
3位 40S 森 唯斗(ソフトバンク)
通算556試合に登板し、145ホールド、136セーブとセットアッパー、クローザーの両方を経験するなど、実績も抜群。経験値という意味では、常に日本代表に選出されてもおかしくないだけの力を持っている。
プレミア12、東京五輪と2大会続けて、日本代表に選ばれた選手が出なかったが、安田尚憲、藤原恭大、和田康士朗、山口航輝、投手では種市篤暉、佐々木朗希、古谷拓郎、横山陸人など将来の日本代表候補は多くいる。彼らが成長したときに、日本代表でも躍動するマリーンズ戦士が見られる日が訪れるはずだ。マリーンズを多く取材する筆者にとって、東京五輪の代表内定選手がいないのは非常に残念ではあるが、国民の一人としてしっかりと侍ジャパンを応援していきたい。
文=岩下雄太