◆ 23日の巨人戦で山口俊と投げ合う可能性も
DeNAの左腕・今永昇太投手が21日、ZOOMでの取材に応じ、これからの巻き返しと先発としての矜持を語った。
今シーズンは左肩を手術した影響で開幕に間に合わなかったものの、5月23日に復帰し、交流戦最終戦で今期初勝利。登板間隔が空いた中で、「こういうときは調整よりも強化に使っていたほうが調子がいい。ファームで仁志(敏久)監督にも教わったので、意識的に鍛えています。かなり状態はいい」と、コンディションの良さを強調した。
次回登板は23日の巨人戦、富山での登板が濃厚となっている。地方球場での登板ということもあり、「普段とは異なる気候、風、見慣れない景色で新鮮味もあるが、早くアジャストしていくことが大事」と述べつつ、「あまり神経質にならないように」と、意識しすきず自然体で挑む考えだ。
巨人打線との対戦に向けては、「打たれてもいいバッター、打たれてはいけないバッター、打たれてもいい場面、打たれてはいけない場面を考えて、キャッチャーの配球を投げる前に理解できれば試合を作っていくことができる。状況を考えながら投げていければ」と、“投げる哲学者”らしい一面も覗かせた。
また、相手先発がアメリカから帰ってきた山口俊が予想されていることにも言及。「アメリカに行く前に向こうの野球の話とかをする機会があった。ルーキーのときにもご飯に連れて行って頂いた先輩。投げ勝って成長を示すことが、ベイスターズにとっても僕にとっても一番。絶対に負けられない相手ではありますよね」とコメントし、闘志を燃やしている。
チームが苦しんでいる要因の一つに“先発陣の早めの降板”が挙げられるが、今永は「木塚コーチにいつも『アタマを使ってローテーションを守ってくれ』と言われている。6人で(ローテーションを)回している時、誰かが3回や4回で代わってしまったら、自分はその曜日に何イニング投げなければいけないかを計算して投げる」と述べ、「長いシーズン、調子が悪くて打たれてしまうことはある。先発陣という言葉があるように、一致団結して、長いイニング投げることで誰かをカバーできるようにしたい」との思いを口にした。
昨年まで2年間開幕投手を務めたが、「自分はエースと全く思っていない」と主張。しかし、「自分の気持ちとか責任、使命感は必ずグラウンドで表現しなければならない。野手が打って守って、点を取ってくれることでチームは勝つことができる。今永が投げているときは絶対勝たせなければいけないと思ってもらえるような投球をしなければ」と、その言葉はリーダーそのものだ。
「とにかくチームを良く回す。良い状態の中で戦って行かなければいけない。ベイスターズ自体は負けが重なっているので、まずは5割に戻して、そこから積み重ねていくことが大事。良い投球をして、周りに良い影響を与えられるような存在になりたい」と、巻き返しのキーマンに名乗りを上げた。
開幕戦でサヨナラ負けを喫し、今季は8戦未勝利の巨人を北陸の地で倒すことはできるのか--。今永の先発としての矜持が、チームに勢い付けられるか注目だ。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)