ニュース 2021.06.21. 17:30

前田智徳の2000本安打を「ギリギリなんとか実況できた」ワケ 実況アナが明かす“広島市民球場”の思い出

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ショウアップナイター エピソード55
<エピソード18 ~初代・広島市民球場の放送席、いい席の反面、危険と隣り合わせ~>



~今年2021年、放送開始から「55周年」のシーズンを迎えたニッポン放送「ショウアップナイター」。これを記念し、中継だけでは届けきれない取材情報や解説陣の“ここだけの話”など、「55」のエピソードを紹介していく連載企画~

ショウアップナイター実況担当の煙山光紀アナウンサーが、前田智徳の2000本安打達成について振り返った。

プロ野球 広島-中日 8回裏2死満塁、2000本目の安打を右前に運び、花束を受ける広島・前田智徳外野手  撮影日:2007年09月01日  撮影場所:広島県広島市・広島市民球場 写真提供:産経新聞社



今年2021年に55周年を迎えるニッポン放送ショウアップナイター。その実況担当であるニッポン放送の煙山光紀アナウンサーが、「初代」の広島市民球場の思い出、そしてその本拠地で前田智徳が2000本安打を達成した日のことを語った。

「2007年、広島東洋カープの前田智徳選手が本拠地・広島市民球場で通算2000本安打を達成した日、ニッポン放送ショウアップナイターは別のカードを中継していて、私ひとり、広島に乗り込み現地の技術の方とやりとりして中継回線を繋ぎナイター中継の中で、前田選手の打席の度に呼びかけられるという仕事をしました。『マツダスタジアム』と呼ばれている現在の広島市民球場は2009年から使用されていて非常にきれいなスタジアムなんですが、この時は1957年から使用している『初代』の広島市民球場ですから、放送席もものすごく古くて、しかも半分地下のような場所でした。放送席の位置としては、1塁側のネクストバッターズサークル(次に打席に立つ打者の待機場所)の後あたりだったので、本当に選手と至近距離にあり、ガラス窓を開けるとて前田選手が打席に入る度に地響きのような感じの声援が入ってきたのを覚えてます。そしてこの放送席は、実況席の真後ろが断崖絶壁になっていて、実況に夢中になっちゃうと後にひっくり返っちゃう危険性があったのですが、兎に角臨場感がすごくて、言ってみればグラウンドレベルで実況しているようなものなのだったので、あれは今の整備された球場では味わえないですよね。でも、古いのでよく放送回線が途中途切れちゃって電話で中継したりしてましたね(笑)」

ニッポン放送 煙山光紀アナウンサー



「中継では、前田の打席の度に呼びかけられましたが、7回の第4打席までセカンドゴロ、センターフライ、セカンドゴロ、セカンド併殺打と、ノーヒット……。流石に『今日の達成は無いな』と思いました。しかし直後の8回裏、広島の選手達が『もう一度前田さんにまわす!』と言わんばかりの打者一巡の猛攻で、なんと前田選手に打席がまわってきました。そして、中日の久本祐一投手の球をライト前に運び、プロ野球史上36人目となる2000本安打を達成したのです! ……が、放送席の位置の悪さからライトがいまいちよく見えなかったんですね。だから、首を思いっきり伸ばしてギリギリなんとか実況できたのですが、かなり際どい感じで実況したのを覚えていますね」

旧・広島市民球場



「今は閉店しちゃってますが、この初代の広島市民球場の前に“たまごカレー”で有名な『喫茶店マリーナ』というお店がありました。僕は一度しか食べたことが無かったのですが、そういう美味しいお店があったり、絶対まわってこないと思った前田に打席がまわってきて2000本安打を達成した、その時の広島市民球場の雰囲気とか、いろいろなものを含めて僕の中ですごくいい思い出になってますね」


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