3年目を迎えた黄金世代
プロ野球ペナントレースは前半戦が終了。ここまでの戦いのなかで、多くの若手選手たちが新戦力として台頭した。とくに野手では、高卒3年目となる2018年ドラフト指名組の成長が著しい。
2018年のドラフト会議では、根尾昂(大阪桐蔭高→中日)、小園海斗(報徳学園高→広島)、藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ)の高卒野手3人に人気が集中し、松本航(日体大)を単独指名した西武を除く11球団が、この3人に初回の入札を行っている。
3年目のシーズンを迎えたその金の卵たちは、それぞれのチームで結果を残しつつある。開幕一軍を勝ち取った根尾は、ここまで67試合に出場。打率.169(154-26)と打撃面では苦戦しているが、外野守備では度々レーザービームを見せ、チームの危機を救ってきた。一軍で経験を積ませる意向があるためか、今シーズンはここまで二軍降格がない。
小園は新型コロナウイルス関連で登録抹消期間があったものの、52試合の出場で打率.326(190-62)と覚醒。一軍昇格後すぐは下位打線に名を連ねていたが、交流戦半ばの6月13日からは「3番・遊撃」として完全に定着。前半戦を6試合連続安打で締めくくるなど、中軸を打っても気負いがまるで感じられない。長くレギュラーを張った田中広輔が不調ということもあり、レギュラーポジションを奪った格好となっている。
そして藤原は、「9番・中堅」で開幕スタメンを勝ち取ったものの、調子が上がらず4月20日に二軍降格。しかし7月の再昇格後は、「2番・中堅手」として出場を続け、再昇格後は打率.400(35-14)と絶好調だ。14安打のうち長打は7本(2本塁打)を記録し、OPSは「1.231」をマーク。まだ少ない出場試合数とはいえ、強打の2番としてこのまま起用されそうだ。
日本ハム勢もスタメン起用が増える
ドラフト時に初回入札で競合した3名以外では、林晃汰(智弁和歌山高→広島3位)が面白い存在だ。林は5月半ばから一軍に昇格すると、堂林翔太や安部友裕の不振もありスタメンに抜擢され、チャンスをモノにした。
ここまで、5月29日以降でスタメンを外れたのは1試合しかない。打率.327(153-50)、4本塁打、22打点、162打席で8四球と、選球眼は改善の余地はあるが、鈴木誠也が欠場した試合では4番を打つなど首脳陣からの期待は高い。
その他では、野村佑希(花咲徳栄高→日本ハム2位)と万波中正(横浜高→日本ハム4位)の日本ハム勢も奮闘中。野村は打撲による抹消が2カ月ほどあったが、38試合に出場して打率.309(136-42)と、数字も残している。万波は、打率.196(92-18)と確実性は劣るものの、3本塁打など爆発力が光る。外野守備では身体能力の高さを生かし、好プレーも見せてきた。
また、野村大樹(早稲田実→ソフトバンク3位)も、7月1日に今シーズン初めて一軍昇格を勝ち取ると、7月10日からは5試合連続でスタメン起用されプロ初打点を記録。長らく正三塁手を務めてきた松田宣浩もすでに38歳。これからは、野村が世代交代を推し進めることになるかもしれない。
プロのスピードや変化球に慣れてくる高卒3年目は、野手にとっての飛躍のキッカケとなるシーズンでもある。鈴木誠也(広島)、山田哲人(ヤクルト)、浅村栄斗(楽天)といった東京オリンピックを日本代表として戦う高卒出身者も、3年目に大きく成績を伸ばしてきた。
今年はオリンピックの影響でおよそ1カ月の中断期間がある。ベテランにとっては調整期間に過ぎないが、彼ら若手選手にとっては、アピールやレベルアップを図る期間。今後の球界を担う逸材たちが、後半戦でさらなる飛躍を遂げることに期待したい。
<2018年ドラフトで指名された高卒野手>※育成指名は除く
▼ 1巡目指名
根尾 昂(大阪桐蔭高→中日1位)
藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ1位)
小園海斗(報徳学園高→広島1位)
太田 椋(天理高→オリックス1位)
▼ 2巡目指名
小幡竜平(延岡学園高→阪神2位)
野村佑希(花咲徳栄高→日本ハム2位)
増田 陸(明秀学園日立高→巨人2位)
▼ 3巡目指名
山口航輝(明桜高→ロッテ3位)※投手指名も現在は外野手登録
野村大樹(早稲田実業→ソフトバンク3位)
林 晃汰(智弁和歌山高→広島3位)
▼ 4巡目指名
石橋康太(関東一高→中日4位)
万波中正(横浜高→日本ハム4位)
濱田太貴(明豊高→ヤクルト4位)
▼ 5巡目指名
宜保 翔(未来沖縄高→オリックス5位)
益子京右(青藍泰斗高→DeNA5位)
松井義弥(折尾愛真高→巨人5位)
水谷 瞬(石見智翠館高→ソフトバンク5位)
牧野翔矢(遊学館高→西武5位)
▼ 6巡目以降の指名
田宮裕涼(成田高→日本ハム6位)
羽月隆太郎(神村学園高→広島7位)