森はイースタントップの6勝
ロッテの支配下選手枠は、6月16日に獲得を発表したエンニー・ロメロ投手を含めると「68」。支配下登録枠は残り2つ残されている。今季は東京五輪開催に伴う特例措置として、7月31日までの新外国人の獲得、育成選手の支配下選手登録、トレード期限などが8月31日までに延長された。育成選手に目を向ければ、支配下選手登録までの期限が1カ月伸び、アピールする時間が増えたことになる。
ロッテでは今季開幕前に本前郁也、開幕してからは高濱卓也が背番号2桁を勝ち取った。本前、高濱に続けと、支配下選手登録を目指し育成選手たちは日々奮闘している。
そのなかでもファームで好結果を残し続けているのが、高卒4年目の森遼大朗だ。森はプロ入りから毎年のように故障で離脱する時期があり、本人も2年目の19年11月の取材で「まだ1年間野球ができていない。1年間野球をやりきりたい」と話すほどだった。
3年目の昨季はチームトップの61回を投げ、9月9日の楽天との二軍戦では敗戦投手になったが8回を1安打1失点に抑え、プロ初完投を記録した。4年目の今季はここまで、イースタントップの6勝、勝率.857をマークし、防御率もリーグ3位の2.53、投球回数はチームトップの64イニングを投げる。現在5月22日の日本ハムとの二軍戦から自身4連勝中で、6月11日のヤクルト戦から4試合連続で6イニング以上を投げており、着実に成長した姿を見せている。
特に今季の森の投球を見ていると、右打者のインコースに投げることが多く、8回を投げた5月12日のDeNAとの二軍戦でも、初回二死走者なしから蛯名達夫に対し、インコースのスライダーで空振り三振に仕留めた。6月17日の巨人との二軍戦では、1-3の5回二死二、三塁で岸田行倫を145キロのインコースストレートで詰まらせ、投手ゴロに打ち取りピンチを脱したこともあった。
石川歩、美馬学といったエース格の2人が一軍不在で、前半戦はやや先発の台所事情が苦しかった。一軍の先発陣の状況や、森のアピール次第では、十分背番号二桁も見えてくる。
小沼はイースタントップの9S
イースタン・リーグトップの9セーブを挙げた小沼健太も、支配下選手登録に近い存在といえるだろう。
春季教育リーグでは2試合に登板しいずれも失点したが、開幕してからはファームの抑えを任され、4月2日のヤクルトとの二軍戦で初セーブを挙げると、ここまで9セーブをマークする。
故障によりファームでリハビリ、調整していたときに正捕手・田村龍弘からストレートとフォークの2球種で抑えるようアドバイスを受け、基本はストレート、フォークの2球種に、時折カットボール、カーブを織り交ぜるスタイル。
「基本的には真っすぐの後にはフォーク。そこで抑えられなければ、カットという感じで、コンビネーションよく使えている。カーブも一応使っている。しっかり投げられるようにやっていきたいと思います」。
また、春季キャンプ中に支配下選手登録になるために必要なことについて牽制、フィールディングの向上を挙げていたが、現在は「牽制とフィールディングは練習してよくなってきている。ピッチングの方ですね。あんまり安定はしていないので、イニングよりもヒットの数が多い。三振も元からなかなか取れないピッチャーなんですけど、もっと取れるようになっていかないといけない。そこが課題です」と練習と実戦で、課題克服を目指す。
そのほか、7月11日のDeNAとの二軍戦で完封勝利した佐藤奨真、6月15日の巨人との二軍戦から5試合連続無失点中の原嵩などもアピールを続けている。8月31日までに支配下選手登録を掴み取る選手が現れるか注目だ。
▼ ロッテ育成選手たちの成績
<投手>
121 小沼健太
22試 0勝2敗9S 22回2/3 振15 四6 防3.57
123 森遼大朗
12試 6勝1敗0S 64回 振45 四27 防2.53
126 原 嵩
17試 0勝1敗1S 18回 振10 四10 防3.50
128 アコスタ
8試 0勝2敗0S 22回 振14 四14 防3.27
129 佐藤奨真
8試 3勝3敗0S 38回1/3 振29 四21 防4.70
<捕手>
122 谷川唯人
出場なし
125 植田将太
42試 率.175(103-18) 本0 点12 盗0
<外野手>
124 山本大斗
50試 率.167(84-11) 本1 点13 盗1
130 サントス
3試 率.000(6-0) 本0 点0 盗0
※成績は21年7月19日時点
文=岩下雄太