ブルペンを支えた左腕
DeNAの砂田毅樹が25日、球団施設DOCKでの練習後に行われたオンライン取材に応じた。
2018年にチーム最多70試合登板とフル回転するも、過去2シーズンは16試合、17試合と登板数を大きく減らした左腕。一軍の戦力になれなかった悔しさを胸に臨んだ今シーズンは既に38試合に登板し、幾多のピンチを救ってきた。
見事な復活を遂げた要因について、砂田は「昨年の取り組みが、昨年のうちに一軍で成果として出せたこと。もし昨年一軍に上がったときに出来ていなければ、また不安が残ったままの開幕だった。やっていることが間違っていなかったことで、気の持ち方、メンタル的に落ち着いて勝負できているからこそ、今はいい形で投球できているのかなと思います」と、昨年10月1日に遅ればせながら昇格し、17試合に登板し結果を残したことが、今季の好スタートに繋がったと自己分析した。
気になる取り組みとは「17、18年には無心で投げる、情緒の上がり下がりがないように意識していたんですけど、2020年には投球を自分でしっかりと考えないと」とチェンジマインド。「相手も研究してくる中で、ただ投げているだけではダメ。18年の後半にはその傾向も出ていて、19年には自分の状態も良くなかったのもあり、1球1球バッターの反応を見るようになりました」と自身の変化を振り返り、「今ではキャッチャーに言えなかった部分も言えるようになり会話も増えた。自分のスタイルとキャッチャーの意見が合うようになってきた」と成熟しつつある投球に頷いた。
また、新たな投球スタイルを作り上げる際には、育成登録から一軍まで駆け上がる際に目にした三浦大輔監督の投球もプラスになったという。
「三浦さんの投球を見ていると、ゴロを打たせるボールなのか、振らせるボールなのか、次のボールで見逃し三振を取るためのボールなのか。1球1球意図があった。三浦さんの投球術を参考にしました」
フィジカル面では「あまり好きではなかったウエイトトレーニング」にも着手。自宅に約150万円かけてトレーニングルームを整備し「自分の中で動きが悪くなっているかなと。ダッシュのスピードや1つ1つの出力が落ちていると感じたので、ウエイトを取り入れた。いい方向に向いた」と充実感を漂わせた。
鉄腕左腕の復活もあり、川村丈夫投手コーチは後半戦の秘策として「石田にはリリーフではなく、長いイニングを投げてもらいたい」と、砂田と同じリリーフ左腕・石田健大の先発転向を明言。「先発調整ということを彼(石田)には伝えてあります。後半戦はローテーションを外すことなく、安定したピッチングを期待してます」と手薄な先発ローテでの活躍に期待を寄せた。
こうした配置転換も「17、18年とは違う考え方、取り組みと真逆のこと」で復活を遂げた砂田の存在があってこそ。2021年、進化した左腕は後半戦もブルペンを支え続けてくれそうだ。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)