ショウアップナイター エピソード55
<エピソード23 ~ノーヒットノーランを阻止した長嶋茂雄の“声”をいち早く!~>
~今年2021年、放送開始から「55周年」のシーズンを迎えたニッポン放送「ショウアップナイター」。これを記念し、中継だけでは届けきれない取材情報や解説陣の“ここだけの話”など、「55」のエピソードを紹介していく連載企画~
ショウアップナイター実況担当の宮田統計アナウンサーが、現役時代の長嶋茂雄との思いでについて語った。
今年2021年に55周年を迎えるニッポン放送ショウアップナイター。その実況担当であるニッポン放送の宮田統樹アナウンサーが、現役時代の長嶋茂雄への今では考えられない取材方法について振り返った。
「過去、ショウアップナイターで、王貞治さんと長嶋茂雄さんの最新情報をお届けお届けする『ON(オーエヌ)日記』というものをやっていました。だいたい、私の先輩である深澤弘アナウンサーと枇杷阪明アナウンサーの2人が後楽園球場の大鏡の前などで王さん・長嶋さんにインタビューをしていましたね。『あ! ON日記やらなきゃね!』と王さんの方から気を遣って、自ら言っていただいていたのが思い出されます。
あの頃、巨人戦が地方で開催されるとニッポン放送はアナウンサー、ディレクターを現地に派遣して中継をしていました。私も甲子園球場とか広島市民球場などに行って実況をしていましたが、現地で選手のインタビューを収録すると、今みたいに携帯電話などで簡単に伝送できる時代ではなかったので、地元のラジオ局に駆け込んで収録した音声を送っていました。大阪の毎日放送、広島の中国放送、名古屋の東海ラジオなど、よく行きましたね」
「今でも忘れられないのが1973年、甲子園球場で行われた巨人戦。阪神の上田次朗が先発し、9回2アウトまで巨人打線をノーヒットに抑えていたこの試合、解説は豊田泰光さんで実況はわたくし宮田が担当していました。9回2アウトで迎えたバッターは、長嶋茂雄。上田の投じた1球を三遊間へ打ち返しノーヒットノーランを阻止しました。その瞬間『あ、これは長嶋さんにこのヒットの話を聞いてON日記に入れなければいけないな!』と思いましたね。巨人軍の広報担当者に許可をいただき、なんと翌日の帰りの新幹線の中、グリーン車まで押しかけて長嶋さんにインタビューしました。
たまたま他局の同期のアナウンサーも一緒に長嶋さんのインタビュー収録をした訳ですが、他局の同期アナウンサーは急いで伝送したかったため、新幹線の到着駅である東京駅から一番近い有楽町・ニッポン放送に来て伝送していましたね。今では考えられない出来事です(笑)。
このON日記、通常は前日に収録した音声を流していました。これは後楽園球場や神宮球場、遠征先に行っても変わりません。ただ、この時は大きな出来事でしたから、帰りの新幹線で収録したものをその日のON日記で流しましたね。それが、いまだに『自分でもよくやったな~』と思い出されます。私の移動日の思い出のひとつです」