複数人の外国人選手獲得は7年ぶり
1996年以来となる25年部ぶりの優勝を目指すオリックスが戦力アップのために奔走した。8月中旬から始まる後半戦に向けて、先発投手候補のグレン・スパークマンと内外野を守ることのできるランヘル・ラベロを補強。いずれも29歳と働き盛りで、MLBでのプレー経験もある。
オリックスがシーズン途中に複数の外国人選手を獲得するのは、2010年以降では2014年以来7年ぶり5度目。過去4度の補強を見ると、そのうち3度がNPBや国内独立リーグでプレー経験のある選手だった。今回のように日本でのプレーが初めてとなる選手を海外から複数補強したのは、2010年代では、唯一優勝争いに加わった2014年だけ。そんなところからも、チームの本気度が見えてくる。
オリックスに現在所属している外国人選手は、投手はヒギンスひとりだけ(※台湾出身の張奕は日本の高校に在学していたため日本人選手扱い)。野手はアダム・ジョーンズ、スティーブン・モヤ、ステフェン・ロメロの3人で、計4人体制。ディクソンが新型コロナウイルスの影響により来日できず退団となり、5人の外国人選手枠を活用しきれていなかった。
今回の補強により6人体制となったことで、調子を見極めながら外国人選手の入れ替えができるようになったが、オリックスが2010年以降シーズン途中に獲得した新外国人選手の成績を見ていくと、1年目はほとんどの選手が苦戦している。
途中加入の新外国人選手は軒並み苦戦
2010年以降、オリックスはトレードを除いて、12人(投手4人、野手8人)の外国人選手をシーズン途中に迎え入れてきた。
その初年度の成績を見ると、投手ではマエストリ(2012年)が8試合の登板で4勝3敗、防御率2.17の好成績をマークし、翌年以降の契約を勝ち取っている。しかし、ローチ(2018年)、ランズラー(2014年)、ミルズ(2013年)は一軍で戦力となることができず自由契約に。ランズラーに至っては、一軍のマウンドに上がることすらなかった。
野手では、マレーロ(2017年)が打率.290(283-82)、20本とチームを牽引した。デビュー戦ではスタンドを超える打球を放ったにもかかわらず、ホームベースを踏まず「幻のホームラン」となったことでも話題を提供した選手なので記憶にある人も多いかもしれない。
その他では、スケールズ(2012年)が、85試合の出場で打率.262(305-80)、5本塁打とまずまずの数字を残している。また、カラバイヨ(2011年)も36試合で7本塁打とパワフルな打棒を披露。しかし、その他の5選手は一軍で結果を残すことができなかった。
12人のなかで、シーズン半ばから欠かせぬ戦力となったのはマエストリとマレーロのふたりくらい。まずまずだったのがスケールズとカラバイヨということになる。ちょうど3分の2にあたる8人が、求められた働きをするには至らなかった。それほど、シーズン途中から日本での生活やプレーに適応するのは簡単ではないということだろう。選手本人だけでなく、周囲が環境を整えられるかも重要になってくる。
2位の楽天に1.5ゲーム差をつけ首位で後半戦を迎えるオリックス。もちろんこのままの勢いで突っ走ることができれば言うことなしだが、他球団もそうはさせないはず。新戦力となるスパークマンとラベロの両選手が、これまでのジンクスを覆すような活躍を見せることができれば、25年ぶりとなるリーグ優勝も現実味を帯びてくる。
▼ シーズン途中に加入した新外国人選手
※2010年以降・トレードは除く
<2021年>
・スパークマン(投手)
・ラベロ(内野手)
<2020年>
・新外国人選手獲得なし
<2019年>
・新外国人選手獲得なし
<2018年>
・ローチ(投手)11試合(50.1回) 2勝3敗 防御率5.01
<2017年>
・マレーロ(外野手)82試合 打率.290(283-82) 本20 打点50
<2016年>
・クラーク(内野手)11試合 打率.172(29-5) 本2 打点4
<2015年>
・チャベス(外野手)一軍出場なし
<2014年>
・ランズラー(投手)一軍出場なし
・バトラー(外野手)21試合 打率.231(52-12) 本2 打点6
<2013年>
・ミルズ(投手)1試合(2.2回) 0勝1敗 防御率10.13
・フェルナンデス(内野手)25試合 打率.188(80-15) 本1 打点4
<2012年>
・マエストリ(投手)8試合(49.2回) 4勝3敗 防御率2.17
・スケールズ(内野手)85試合 打率.262(305-80) 本5 打点23
<2011年>
・新外国人選手獲得なし
<2010年>
・カラバイヨ(外野手)36試合 打率.257(113-29) 本7 打点18
セギノール(内野手)11試合 打率.189(37-7) 本0 打点3