異例の五輪ブレイクを挟んで後半戦へ
約1カ月の五輪中断期間を終え、後半戦を再開させようとしているプロ野球。そこで今回はセ・パ両リーグの前半戦を振り返りつつ、前半戦の「ベストナイン」、「MVP」、「新人王」などを選んでみようじゃないかということで、対談企画を実施。野球ライターの西尾典文さん、菊地選手に加え、「河野名鑑」でもおなじみの河野万里奈さんをゲストに迎えて、各項目を選んでいただきました。
今回は前半戦の「ベストナイン」について。果たしてどんな選手が選ばれたのか?!
——それではセ・パ両リーグのベストナインを西尾さん、菊地さんに選んでいただきたいと思います。でもその前に順位から確認しておきましょう。まずセ・リーグの順位ですが、阪神が2位に2.0ゲーム差をつけての首位ターンとなりました。
西尾 巨人が上がってきて2位との差が詰まってきましたね。一時はこのまま行っちゃうのかなと思ったのですが。あとは3位のヤクルトがこんなにやるとは思いませんでした。すみません!
菊地 個人的には阪神を優勝予想していたので、まぁ予想通りですけども。
河野 おー!!
菊地 カープがずいぶん落ちてしまったのが意外ですね。シーズン前もカープをダークホースに挙げる解説の方なんかもチラホラいらっしゃいましたし。実際若い選手も出ているし見ていて楽しいんですけど、なぜかこの順位? という。
——河野さんはいかがですか?
河野 親族一同が阪神ファンなので、すっごいご機嫌に上半期を過ごして。でも最近は暗い日が増えてきて、っていう。
——ちょっと不安になってきていますか?
河野 はい。 あとベイスターズが最初すっごい撃沈していたのが徐々に上がってきて(5位と)0.5ゲーム差っていうのが「さすがだぁ!」って思ってます。どんどん役者が揃ってきていますし、まだまだ(順位争いは)全然わからないですよね。
——続いてパ・リーグの順位がこちらになります。菊地さん、これは予想通りですか? 想定外ですか?
菊地 そうですね、私はパ・リーグの順位予想は1位を日本ハムにしていまして......。
——日本ハムを1位予想されていたのはどんな理由から?
菊地 若い力が今年跳ねるんじゃないかなという希望的観測を込めていたんですが、若い清宮選手が出ていないし、中軸の中田選手もどっちも出ていないという想像が全くできていませんでしたね。
——西尾さんはパ・リーグの順位を見ていかがですか?
西尾 オリックスは楽しみだなとは思っていましたが、来年かなぁ? と思って5位の予想でした。今見ていて一番面白いのがオリックスですよね。
——河野さんはいかがですか?
河野 オリックスは戦力で考えたら侍ジャパンがたくさんいるんだから凄いんですよ! でもいつも不思議な力でBクラスにいるっていうのがあるから、まだ分からない! けど、いよいよ本領発揮してきましたね。
あと、毎回ロッテファンの人と話していると毎回「CSを見越してもともと戦ってんだよ」っていつもおっしゃるんですけど、そういう戦い方を今年もしてるな、しっかり3位に入ってきたなっていう感じがします。あと、ソフトバンクがなぜだか4位というのを想像した人っているんですかね?
菊地 セ・リーグファンの人がみんなびっくりしているんじゃないですかね? ケガ人が多いっていうのはしょうがないのかなっていう気はします。
——では、ここからは前半戦のベストナインを西尾さんと菊地さんに選出していただきましたので、発表したいと思います。まずは西尾さんのセ・リーグのベストナインから見ていきたいと思います。
西尾 成績などを見ながら選んだのですが、迷ったのはショートですよね。坂本選手(巨人)が結構休んでたり、京田選手(中日)が2軍に落ちたり、そんな中で中野選手(阪神)が一番成績が良かったんですよね。このまま最後まで行ったらベストナインをとってもおかしくないなと思いますね。
あとは阪神勢が多い中で、DeNAは最下位なんですけど佐野(恵太)選手、オースティン選手の2人が入って(2位の)巨人からは1人もいないんですよね。サードが岡本選手(巨人)と村上選手(ヤクルト)と迷ったんですけど、トータルで見ると村上選手の方が出塁率が高いのと貢献度を考えたらやや村上なのかなと。
——では菊地さんの選んだベストナインを見てみましょう。
西尾・河野 あーー。
菊地 中野選手が被るっていう。
西尾・河野 すごい!
菊地 純粋な成績プラス、この球界に一石を投じるといいますか存在感を出したよという選手を選びたいなと思いまして。牧選手(DeNA)、佐藤輝明選手(阪神)であるとか、オースティン選手なんかは途中からきてあれだけ打って(打率.324 本塁打19 打点49)いて凄まじいと思うので。あとは、「ウィーラー選手(巨人)、プロ野球ニュースで良く見たな」みたいな(笑)。そんな選手を選んだ感じですね。
西尾 ウィーラー選手は僕も迷ったんですよね。
——河野さんにも選んでいただいたのですが、お二方と被らなかった選手でいうと、ピッチャーでルーキー・栗林(広島)投手を選ばれています。
河野 だって彼がいなかったら大変なことになっていたじゃないですか! しかも前半戦の真ん中くらいで調子が悪いのを分かっているのにマウンドに上がることも多かったじゃないですか? その姿を見ていると涙が出てきて......。彼が一番頑張ったんじゃないかなと思いました。
菊地 もう勝ちがないと決まった同点の9回裏に投げさせられる栗林投手ね。
——今年は9回で打ち切りになってしまったので、それもあってのフル回転でしたよね。あれだけ投げて、連続無失点もやっているのにセーブ数を見ると「あれ? セーブ数こんなもん?」って思ってしまいますよね。
河野 あまりにも報われなさ過ぎると思って......。
——続いてパ・リーグのベストナインを見てみましょう。まずは西尾さんから。
西尾 一番迷ったのはサードですね。松田(ソフトバンク)選手はずっと出ているんですけどあんまり活躍できていないんですよね。そんな中で宗(オリックス)選手がすごく印象に残っています。元々サードの選手じゃないのに「こんなに守備上手かったのか?」って。プロ野球ニュースもよく出ていますし(笑)。成績も今年のパ・リーグのサードの中では一番安定していますし。
あとはピッチャーも相当迷いましたね。宮城(オリックス)投手かなとも思ったんですけど、一番凄かったのは山本由伸投手(オリックス)かなと。
指名打者はあまり候補がいなかったのでマーティン選手(ロッテ)を選びましたけど指名打者よりも外野で出ている方が多いんですよね。オールスターの選手間投票でも外野と指名打者で両方で選ばれていましたし。
——続いて菊地さんのパ・リーグのベストナインを見てみましょう。ピッチャーがリリーフの平良投手(西武)を選びましたね。
菊地 平良投手の真っ直ぐが見たくて球場に行ったんですけど全然投げないんですよね。意外とスライダー、カットが多くて(笑)。あのカットボールは「反則だろ!」っていうボールですよね。去年十分成功しているのにピッチングスタイルを変えているというのも凄いですし、結果も残していますからね。八重山商高時代に部員7人で練習しているのとか石垣島まで見に行っていましたから。毎試合毎試合あの石垣島の光景を思い出すんですよね。ですので、平良選手を選ばせていただきました。
——なるほど。
菊地 三塁は僕は迷わず宗選手でした。ちょっと革命的な守備をしているというか、プロ野球ニュースでも「今日のファインプレー」でまた宗選手出てきた、みたいなね。
あと指名打者で西尾さんは苦労されていましたけど僕は「該当者なし」にさせていただきました。マーティンを指名打者にするのには抵抗があって、やっぱりあの肩は「ライト・マーティン」として見たいと思うので。
西尾 菊地さんが選んだ選手で呉念庭選手(西武)と岡島選手(楽天)の2人は、正直存在を忘れていたというか、岡島選手は「まだこんなにやれるのか!」って驚きましたね。
菊地 いま打率2位ですよね? この2年間はいつクビを切られてもおかしくない状況で、肩の手術を乗り越えての復活ですからね、カムバック賞の有力候補じゃないかなと思いますね。
——セカンドで中村奨吾選手(ロッテ)、サードで宗選手がお二方とも被っていますね。
西尾 選手としての格がワンランク上がった気がしますよね。チームリーダーですしずっと3番も打っていましたしね。
河野 ロッテではセカンドでずっと出て続けていますから、中村奨吾に慣れちゃっているから逆に選ばなくなりがちなんですけど、その慣れた中でも今年の活躍は目を見張るものがある、存在感があるなってファンとしても思いました。
——ここまでお二方が選んだセ・パのベストナインを見ていただきましたが、西尾さんの印象はいかがでしたでしょうか?
西尾 そんなに「あー!」みたいなのはなかったですね。サードと指名打者が迷ったくらいで、(菊地さんが選んだ)岡島選手も杉本選手(オリックス)も迷ったんですよ。あと、やっぱり日本ハムからはいないというのが、今のチーム状況をあらわしているなって思いましたね。
河野 確かに!
菊地 僕は指名打者で日本ハムの王柏融選手、ちょっと悩んだんですけどね。印象度は高いんですけど数字を見るともう一超えほしいなっていうところで、「該当者なし」とさせていただきました。
それではセ・パ両リーグの前半戦ベストナインはこの辺で。次回は両リーグの前半戦MVPを勝手に選びます!