追い込まれてからは…
「エキシビションマッチは一軍なので、そこで打てていることは嬉しいです」。
“代走の切り札”としてチームトップの17盗塁をマークするロッテの和田康士朗は、後半戦でのスタメン出場を目指し、7月27日から始まったエキシビションマッチではバットでもアピールを続けている。8日にZOZOマリンスタジアムで行われたヤクルト戦でも、3回の第1打席にセンター前に安打を放った。
和田の持ち味といえば“フルスイング”だが、オールスター明けに行われた二軍戦では“コンパクト”に打っている姿があった。7月20日の日本ハムとの二軍戦では初回無死走者なしで迎えた第1打席、先発・上原健太のストレートをミートするようにレフト前に弾き返せば、7月24日の楽天との二軍戦でも、コンパクトなスイングでライト前に安打を放った。
その一方で、7月28日の阪神とのエキシビションマッチでは、しっかりと振り切ったスイングで、4安打2盗塁の活躍。29日以降もフルスイングで打っている姿が目立つ。
和田にそのことについて訊いてみると、「ファーストストライクは思いっきり振ろうと決めています。カウントが進んでいくにつれてミートしている形ですね」と教えてくれた。
確かにミートして打っているように見えた日本ハムとの二軍戦は、上原健太が3ボール2ストライクから投じたストレート、24日の楽天との二軍戦で王彦程から打った安打も2ストライクから投じた3球目と、いずれも“2ストライク”と追い込まれてからだった。ちなみに4安打した28日の阪神戦は、いずれも追い込まれる前に打っていたため、フルスイングしているように見えたのだろう。
打席内での考え
打席内では、ファーム時代の2019年の春季キャンプ中に福浦和也現二軍ヘッドコーチ兼打撃コーチからボールを打ちにいくときに猫背になってしまう癖を指摘され、背筋を伸ばした状態で打つことを意識するようになったが、「僕は猫背なので、意識しないと背筋が伸びないので意識しています」と、今もその部分は変えていない。
猫背にならないように意識するとともに、「大きい当たりを打つよりも、出塁しなければいけないという思いはあります」と“出塁”することを考えている。一軍の舞台でプレーするようになって2年。「一軍に上がって出塁という意識が高まりましたね」とのことだ。“出塁”を考えながらも、「打てるのであれば、打ちたい」と、長打を打ちたいという気持ちを今も持っている。
前半戦は「盗塁に関しては代走で出て、盗塁死も1個だったのでいい感じなのかなと思います」と振り返りながらも、「前半戦は(61試合に出場して)1試合もスタメンがなかったので、後半戦はしっかりスタメンで出られるように頑張りたい」と意欲を燃やす。
“代走の切り札”から“レギュラー”へーー。 「試合に出続けるためには、バッティングですよね」。足のスペシャリストとして一軍に定着した。バットで結果を残し続ければ公式戦でのスタメン出場、その先のレギュラー定着も見えてくる。
取材・文=岩下雄太