楽天は首位に1.5ゲーム差の2位から再開
今年のパ・リーグは例年以上の混戦模様となっている。前半戦を終えたところで4チームが勝率5割以上をキープし、首位のオリックスから4位のソフトバンクまでのゲーム差はわずか4ゲームしかない。
最下位の日本ハムこそ、その群から離されているものの、5位の西武も3位のロッテとは2.5ゲーム差と、クライマックスシリーズ出場権争いには踏みとどまっている。そんな現状を踏まえても、パ・リーグの後半戦はますます面白くなりそうな気配だ。
そんななか、2013年以来8年ぶりのリーグ制覇を目指す楽天は、首位のオリックスから1.5ゲーム差の2位という位置から、後半戦のスタートを切る。
投手陣に目を向けると、ヤンキースから復帰した田中将大やルーキーの早川隆久、移籍2年目の涌井秀章といった近年の補強がうまく機能しており、則本昂大、松井裕樹ら生え抜き組の選手たちも役割をまっとうするなど、大きな穴は見当たらない。
野手陣は、全試合スタメン出場の浅村栄斗と鈴木大地の移籍組がチームを引っ張ってきた。浅村は10本塁打と昨季の本塁打王という実績からするとやや寂しいが、出塁率.427はチームトップでリーグ2位。昨季とはちがうかたちでチームに貢献している。
鈴木は一塁での起用がメインだが、正三塁手の茂木栄五郎が登録を抹消されているあいだは三塁でスタメン出場するなどユーティリティーぶりを発揮。打撃成績以上に貢献度は高い。
そして、そのふたりに負けず劣らずの活躍を見せたのが、島内宏明と岡島豪郎の生え抜き組だ。
プロ入り10年目の節目に輝くふたり
チーム最多の56試合で「4番」を務めた島内は、ここまで打率.252(302-76)、12本塁打と4番打者としては少し物足りない数字かもしれない。だが、得点圏打率.368はリーグ3位と勝負強く、「ここぞ」の場面での一打が光る。楽天生命パークで行われたオールスターゲーム第2戦でも、3安打3打点の活躍でMVPを受賞したことは記憶に新しい。
また、66打点は、2位のマーティン(ロッテ)に8打点差をつけて堂々のリーグトップ。マーティンはオリンピック中断期間中に一時帰国した影響で試合出場が8月末以降となる見込みなので、打点ランキングはここのまま独走状態になってもおかしくない。
岡島は、打率.335(254-85)でリーグ2位の打率を残すなど好調をキープ。ここ数年は故障や不振で思うような成績を残すことができなかったが、今季は見事に復活。島内の後ろとなる5番で起用されることも多く、島内、岡島と並ぶ流れは、相手投手からすると想像以上にやっかいなものだろう。
そんな島内と岡島は、ともに1989年生まれの同世代で、ともに大卒でプロ入りを果たした10年目の選手だ。この世代は、中田翔(日本ハム)、唐川侑己(ロッテ)、由規(現埼玉武蔵ヒートベアーズ)の「高校生ビッグ3」、巨人の絶対的エース・菅野智之(巨人)や、田中広輔(広島)・菊池涼介(広島)・丸佳浩(元広島、現巨人)の「タナ・キク・マル」らが牽引してきた。そんな彼らと比べれば、島内や岡島の存在はあくまでもいぶし銀的なものだったかもしれない。
だが今季は、楽天の中心選手として存在感を発揮し、ここまで大きな輝きを放ってきた他の1989世代の選手たちのお株を奪うような活躍を見せている。岡島、島内のふたりがスポットライトを浴び続けることができれば、楽天のリーグ制覇も現実味を帯びてくるはずだ。
▼ パ・リーグ打点トップ3
66打点 島内宏明(楽天)
58打点 マーティン(ロッテ)
55打点 吉田正尚(オリックス)
55打点 レアード(ロッテ)
▼ パ・リーグ打率トップ3
打率.343 吉田正尚(オリックス)
打率.335 岡島豪郎(楽天)
打率.307 荻野貴司(ロッテ)