「もう少し回数が増えれば…」
パ・リーグ首位を走るオリックスは18日、ほっともっとフィールド神戸で行われた日本ハム戦に5-2で勝利。
時折強い雨も降る厳しいコンディションの中、2連勝で貯金を「10」とした。
この日の注目ポイントは、来日初登板となる先発のグレン・スパークマン。
前半戦の途中で入団が決まり、中断期間のエキシビションマッチでの調整を経て、迎えたNPBでのデビュー戦。
立ち上がりからまっすぐの最速が150キロを計測するなど、持ち味である力強い速球で2イニングを無失点で抑えていく。
ところが2点リードの3回、先頭の清水優心に四球を与えてしまうと、トップに戻って西川遥輝にも四球、さらに一死から野村佑希には死球を当てて一死満塁のピンチ。
ここで4番の王柏融にライトへの安打を許し、これで二者が生還。残ったピンチは後続を連続三振に斬って取るも、来日初マウンドは4回までで74球、被安打3で奪三振は3も、与四死が4つとやや制球に課題を残す内容となった。
新助っ人の投球を有識者はどう見たか──?
18日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した江本孟紀氏は、「最近の外国人投手に多いタイプ」と見る。
具体的には、「えいやえいやと投げていく、微妙なコントロールで勝負するというピッチャーではない」と力で押していくタイプの投手だと特徴を挙げつつ、「もう少し回数が増えれば、もっと良いピッチングするんじゃないですかね。そんなに悪くはない」と、一軍の公式戦で実戦を重ねていくうちに、もっと内容が良化してくるのではないかと語った。
また、同じく解説者の高木豊氏も、「初登板ですからね。そこらへん(四死球の多さ)は多目に見ないといけない」とコメント。
つづけて、「条件も悪かった(※雨が降り地面もぬかるむコンディション)ということを考えると、次が楽しみだなという感じ」とし、次回登板での前進に期待を寄せた。
同点の二死満塁から今季初登板…!
また、スパークマンとは状況こそ違えど、“初登板”を迎えたのが高卒6年目の吉田凌。
昨季は一軍で35試合に登板するなどブレイクのキッカケを掴んだかに見えたが、今季前半戦では一軍での出番なし。迎えた18日の今季初登板は、2-2の同点で迎えた5回表二死満塁という場面だった。
対するは売り出し中の髙濱祐仁。ここで吉田凌-伏見寅威バッテリーの選択はなんと4球続けての変化球。
最後は外のスライダーを引っかけさせて遊ゴロに仕留め、大ピンチを切り抜けた。
すると、吉田は6回も続投。下位打線を危なげなく3人で斬り、緊張の今季初登板は1回1/3、打者4人をパーフェクト。その裏に味方が1点を勝ち越し、終盤に2点を加えて勝利したため、吉田に今季初白星が舞い込んだ。
いきなりチームの窮地を救った24歳について、高木豊氏は「めちゃくちゃ嫌だったでしょうね」とタフな場面で名前をコールされた右腕の気持ちを推し量りつつ、「こういうところで投げさせるということは、これから先どのくらい使えるのかという試しもあったでしょうね」とコメント。「結果が出て良かったですね」と、首脳陣の期待に一発で回答して見せたヒーローを讃える。
投手出身の江本氏も、「ふつうはあまり考えられない場面ですよね」としつつ、「こういうことができるような強いチームになっているということ。余裕というかね」と、首位を走るオリックスの状態の良さがなせた采配だと指摘。
最後は「こうやってチーム力がどんどん上がってくる」とまとめ、首位の座を守りながらもこうしたチャレンジができるチームの状態の良さに太鼓判を押した。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』