「みる」と「する」をつなげる試みが注目集める
パ・リーグ6球団の公式アプリ「パ・リーグウォーク」の検証内容をまとめた論文が、米国スポーツ医学会の公式学術誌である「Medicine & Science in Sports & Exercise誌」に近く掲載されることになった。
「パ・リーグウォーク」は、2016年3月に無料配信を開始した世界初のプロスポーツリーグによるゲーム型健康増進プロジェクトで、日々の歩数で球団を応援できるパ・リーグならではのゲーミフィケーションを活用した独自の歩数計アプリ。ユーザーは、パ・リーグ6球団いずれかをファン球団として登録し、同球団の試合中に、その日の歩数を応援ポイントとして投入、そのポイントの合計で各試合の勝敗を決定し、ペナントレース形式で対戦することができる。
同アプリは、運動疫学・行動科学の専門家である東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 健康教育・社会学分野の鎌田真光講師を中心とする研究チームが学術・検証面でサポート。効果結果として、利用者の歩数がアプリのインストール前よりも増加しており、9カ月後も効果が持続していたことが判明。また、1日1万歩達成で選手画像が1つ得られる「選手図鑑」機能が追加されてからは、実際に1万歩達成の割合が増えるなど、アプリの様々なゲーム要素が効果的であったことも示された。
その他にも、アプリ利用者を対象とした調査で、約4分の1が元々健康づくりとして運動を始めるつもりがなかったと返答しており、プロ野球とアプリがきっかけで歩く習慣が創出された人も多いことが分かったという。同アプリを運営するパシフィック・リーグ・マーケティングは今回の論文掲載を受け、「弊社ではプロ野球を応援することや観戦することが、健康づくりや社会全体の健康寿命を伸ばすことに貢献できる仕組み作りを考えてきました。引き続き、プロ野球コンテンツが社会へ新しい価値を継続して創出できるよう、様々なチャレンジを続けてまいります」とのコメントを発表している。
なお、「パ・リーグウォーク」は、「健康寿命をのばそう!アワード」第9回(2020年)で厚生労働大臣優秀賞を受賞し、運動不足が世界的な健康課題となる中、「みるスポーツ(スポーツ観戦)」と「するスポーツ(運動)」をつなげる新たな取組みとして、健康づくりの領域からも注目を集めている。