◆ 新アプリ『ベイスターズプライムカメラ』が秀逸
横浜DeNAベイスターズは6日、KDDIとタッグを組み、球団独自のカメラを使用した新たな野球観戦を提案するアプリ『ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)』を9月7日から提供すること発表。SNS上での高評価もあり、実際に横浜スタジアムで使用してみた。
その最大の特長は、球団独自の合計10台以上のカメラの中から、ユーザーが好きな視点を選んで視聴できる点。バックネット裏、一塁側、三塁側には、投手・打者・特定選手の追尾を可能とするカメラを、スタンド上部カメラは、グラウンド全景・内野全景をカバーし、マスコットによる手持ちカメラなどの映像も用意されていた。
この日は、内外野とも見渡せるバックネット裏上部で観戦していたため、10台以上設置してあるカメラのうち、守備シフトなどを確認できる上部アングルは使用しなかったが、ネット裏下部のカメラでは、初登板の宮國椋丞投手の踏むプレート位置を確認できたり、サイドのカメラでは、宮﨑敏郎選手の独特なタイミングのとり方までわかるなど、選手のテクニカル面を含めて事細かにチェックすることができた。
また、試合前のベンチでタッチを交わし合い、フィールドへ飛び出していく姿や、ヒーローインタビューを真横で写すグラウンド上のカメラによって、決して入れない聖域の“リアル”を届けてくれるありがたみも実感。試合展開に関わらず、観戦する楽しみ方の幅が増えた印象だ。
◆ 球団の新たな試みに称賛の声
アプリのダウンロード数も一時、App Store(iOS)の無料アプリスポーツジャンルのランキングで1位にランクインしたほか、無料アプリの全体ランキングでも10位前後までランクインするなど、ベイスターズファンを中心に注目を集めた。
利用者の声も好評で、通信・端末の状況によるところはあるが、現地とのタイムラグは約2〜3秒とディレイは殆ど感じず、「遅延がほとんどなく快適」との声も多数寄せられていた。
試合中の重要なポイント「守備シフト(全景カメラ)が見られる」などの戦略的な視線に加え、「イニング間のマスコット、ディアーナによるパフォーマンスが楽しめる!」「追いカメラで推し選手だけ見続けれる」、「(グラウンドからの視点が楽しめる)イベントカメラの臨場感がすごい」、「普段見れないベンチの様子が見れて楽しい!」など、野球の試合展開以外の面でユーザーの期待に応えることにも成功。SNS上では“神アプリ”として、称賛されていた。
9月12日からはゲスト解説にOBを起用し、「100%ベイスターズ贔屓」の解説音声機能の運用も始まり、ハマスタでの観戦中に、OBの解説をラジオ代わりに聞くなどの楽しみ方も可能に。初回は小杉陽太氏と高森勇旗氏というデータや動作解析に造形の深いふたりが、雑談を交えたトークを展開。関係の深い田中健二朗の復活登板も相まって、ファンの反応も「また聞きたい」「ゆるい感じが好き」など、上々だった。
◆ アプリ担当者も手応え
DeNAのアプリ担当者は、7〜9日の3日間の運用を通じ、「多数のポジティブな反応をいただきました。視聴者の方の好きな視点で、全景カメラを通じて守備シフトをご覧いただいたり、イベントカメラでのグラウンド視点のマスコットやヒーローインタビューの模様を楽しんでいただくほか、三塁側カメラからベイスターズのベンチにいる選手たちの表情を追うなど、ファンの方のお好きな視点で試合観戦をお楽しみいただけたのではないか」と、手応えを口にした。
また、「今後は、ファンの皆さんよりいただいた様々なご意見をもとに、KDDIと連携して、よりお楽しみいただけるよう協議をおこなってまいります」と、さらなるブラッシュアップを誓った。
来シーズンからはオンデマンド配信や、コメント機能でファン同士の交流など、ユーザーの意見を参考に機能の拡張も視野に入れるとのこと。現場や地上波、ネット配信で観戦を楽しむファンに対し、メインではなくユーザーの興味を補完する形で誕生した「ベイプラ」。あなただけの楽しみ方を体験するには、19日からの本拠地8連戦が絶好のチャンスだ!
今季はβ版ということであらゆる機能が無料となっているだけに、この機会に様々な視点や機能を試し、本格始動の来季に備えてみてはいかがだろうか。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)