岩本氏も「エースと呼ぶにふさわしい」
神宮で首位・阪神との直接対決に挑んだヤクルトは15日、初回の1得点を守り抜く“スミ1”勝利を達成。
先発した小川泰弘は7回111球、6安打を浴びて5つの四球を出しながらもなんとかゼロを並べ、今季8勝目(4敗)を挙げた。
今季の阪神戦は3試合に投げて0勝2敗、防御率は8.78と猛虎打線を苦手としているライアン小川。1週間前の直接対決でも6回途中を4失点で敗戦投手となっており、この日は神宮に戻って“リベンジ”を期すマウンドになった。
立ち上がり、先頭の近本光司にいきなり二塁打を浴びてしまったが、二死三塁で4番のジェフリー・マルテを見逃し三振に仕留めてピンチ脱出。
裏に味方が村上宗隆の適時打で先制点をもぎ取ると、小川は直後の2回も先頭の大山悠輔に二塁打を浴びながらも無失点。3回・4回も先頭に安打を許しながらもゼロと、まさに要所を締める投球でリードを死守していく。
1-0のまま迎えた8回、この日3本の安打を許している近本を外野フライで斬りながら、二死から糸原健斗に安打を打たれると、代走の植田海に盗塁を決められ、マルテは申告敬遠。大山も歩かせてしまい、二死ながら満塁としたところでベンチが交代を決断。2番手・清水昇がマウンドに向かう。
絶体絶命の状況での登場となった右腕だが、怖いジェリー・サンズをフォーク3連投で空振り三振。最高のリリーフで危機を乗り越え、9回はスコット・マクガフが前夜の借りを返す3人斬り。ヤクルトが1回裏の1得点を守り抜く“スミ1”勝利で、首位・阪神とのゲーム差を「2.5」に縮めた。
15日に放送されたCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』でも、「小川の粘りのピッチング」がこの試合のポイントに挙げられた。
解説者の齊藤明雄氏は好投の要因について、「ランナーを出しながらも、ていねいな投球が目立ちましたよね」とコメント。
「チェンジアップ、カーブ、フォークとストレート。緩急をうまく使ったピッチングができていた」とポイントを挙げ、緩い球を続けたところで思い切ってストレートを投げ込むなど、「開き直り」ができていたことも好投につながったと分析した。
また、同じく解説者の岩本勉氏は「“スミ1”の投球と言うのは、先発投手にとってすごく難しいんですよね」と緊迫した状況で投げ続けることの大変さに触れつつ、「その中でランナーを抱えながらも点を与えない、同点・逆転されないというのは、エースと呼ぶにふさわしいピッチングでした」と絶賛。
つづけて、「四球を5個も出したり、四苦八苦している部分はありましたけど、要所でアウトを取るところがさすが小川だなと」と強調し、優勝争いの中で投手陣の柱が見せた力投を讃えた。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』