5月28日から10連勝と圧倒的な投球
1996年以来25年ぶりとなるパ・リーグ制覇を目指すオリックス。一時の勢いに陰りが見えるものの、9月16日終了時点でリーグ2位。首位ロッテとのゲーム差は「3.5」と、なんとか優勝争いに踏みとどまっている。残り試合数を考えるとギリギリのラインではあるが、直接対決が6試合残っていることを思えば、ひっくり返すことも不可能ではない。
「勝てる試合」を絶対に落とせないなか、エース・山本由伸にかかる期待はさらに大きくなる。
山本は5月28日のヤクルト戦から10連勝中であり、その間に勝ち負けがついていない試合はたったの1試合しかない。11試合で10勝0敗と圧倒的な投球を続けている姿を見ると、これから投げる試合も負ける気がしないというのが正直なところだ。
今シーズンこれまでに残した13勝、防御率1.54、154奪三振はすべてリーグトップの成績で、投手三冠も視界に入ってきた。これまで投手三冠は20人(21度)が成し遂げており、山本もその仲間入りを果たす可能性は十分にあるだろう。
先輩たちも投手三冠には手が届かず
オリックス(前身含む)では、過去に投手三冠を成し遂げた選手はひとりも出ていない。米田哲也、山田久志、梶本隆夫といった250勝以上を挙げている球団のレジェンドたちでも成し得なかった偉大な記録である。
2リーグ制以降に投手三冠を達成した17人の所属球団の順位を見ると、Aクラスが14度とBクラスになる確率は低い。しかし、優勝はわずか5度と、投手三冠を獲る投手がいたからといって、優勝にダイレクトに結び付くわけではないようだ。
昨シーズンは投手三冠を達成した千賀滉大(ソフトバンク)がチームを優勝に導いたが、これは1981年の江川卓(巨人)以来39年ぶりのことだった。
打の中心である吉田正尚を故障で欠くという苦しいチーム状況ではあるが、山本の異次元の投球で最終盤まで上位に食らいついていくことができるのか。山本以外の先発陣の奮起に期待がかかるところだが、山本という柱が必要不可欠なことに変わりはない。残り試合、山本がどんな投球を見せてくれるのか、要注目だ。
<今シーズン成績>
山本由伸(オリックス)
20試合(145.2回) 13勝5敗 防御率1.54 奪三振154
<投手三冠達成者と所属球団順位>
1937年春:沢村栄治(巨人)※1リーグ時代
1938年秋:スタルヒン(巨人)※1リーグ時代
1943年:藤本英雄(巨人)※1リーグ時代
1948年:中尾碩志(巨人)※1リーグ時代
1954年:杉下 茂(中日/1位)
1954年:宅和本司(南海/2位)
1958年:金田正一(国鉄/4位)
1958年:稲尾和久(西鉄/1位)
1959年:杉浦 忠(南海/1位)
1961年:稲尾和久(西鉄/3位)
1961年:権藤博(中日/2位)
1978年:鈴木啓示(近鉄/2位)
1980年:木田 勇(日本ハム/3位)
1981年:江川 卓(巨人/1位)
1985年:小松辰雄(中日/5位)
1990年:野茂英雄(近鉄/3位)
1999年:上原浩治(巨人/2位)
2006年:斉藤和巳(ソフトバンク/3位)
2010年:前田健太(広島/5位)
2018年:菅野智之(巨人/3位)
2020年:千賀滉大(ソフトバンク/1位)
※数字は2021年9月15日終了時点