イースタン最多勝
3日にイースタン・リーグの全日程が終了し、10勝を挙げたロッテの育成4年目・森遼大朗がイースタンの最多勝利投手賞に輝いた。
今季は2月の春季キャンプの練習中に右足を痛め、『右大腿二頭筋の肉離れ』と診断され離脱したが、ファームの開幕には間に合い、3月24日の日本ハム戦にリリーフ登板し1回を無失点に抑える。
4月以降は4月15日のDeNA戦でリリーフの登板はあったものの、そのほかの登板は全て先発。5月22日の日本ハム戦から7月28日の巨人戦にかけて自身6連勝し、7月20日の日本ハム戦では9回を1安打、10奪三振、無失点に抑えプロ初完封勝利を挙げた。7月は月間3勝、防御率1.71で『スカパー!ファーム月間MVP賞』を受賞した。
今季の森は「自分の生命線といってもいいくらい重要な球」と右打者のインコースを厳しく攻め、変化球でもこれまではスライダー、カーブを勝負球にすることが多かったが、今季は追い込んでからフォークを使えるようになり投球の幅を広げ躍進に繋げた。
8月以降は8月の月間防御率5.00(18回・10自責点)、9、10月の月間防御率4.66(19回1/3・10自責点)と課題はあったものの、先発ローテーションを守り、イースタン2位の115回1/3を投げた。
先発した18試合全てで5イニング以上を投げ、6イニング以上投げた試合は12試合あった。8月以降は成績をやや落としたが、6試合中5試合で6イニング以上投げ、先発の役目を果たした。
▼ 森の今季月別成績
3.4月:4試 2勝0敗 15回 振9 与四死8 防2.40
5月:3試 1勝1敗 18回 振15 与四死8 防2.00
6月:4試 2勝0敗 24回 振12 与四死10 防3.38
7月:3試 3勝0敗 21回 振21 与四死7 防1.71
8月:3試 1勝2敗 18回 振15 与四死5 防5.00
9、10月:3試 1勝2敗 19回1/3 振15 与四死6 防4.66
成長した姿を見せる
17年育成ドラフト2巡目で入団した森だが、毎年着実に成長した姿を見せている。
1年目の18年は、春先は左膝のリハビリと体づくりを行い、6月に二軍の全体練習に合流。当時森は「メニューは毎日別々というか、日替わりでやっています。(練習後に一人残り練習は)自分が合流したばかりで、みんなと遅れている部分がある。ちゃんとしたやり方を教わりながらやっています。人より少し遅くなっている部分がありますね」と日々のトレーニングについて明かしていた。
9月9日のBC・武蔵との二軍練習試合でと初実戦を踏み、同年9月19日の楽天戦で公式戦デビューを果たし、同日の最速は143キロだった。
1年目のオフに台湾で行われたウインターリーグに参戦し、2年目の19年は2月の春季キャンプで台湾・ラミゴ戦で一軍の試合に初登板。「すごいいい機会を与えてもらって、結果としても自分的には良い感じで出せたのでよかったです」と1回を無失点に抑えた。シーズンが始まってからは7月に月間3試合・11回1/3を投げて、2勝0敗、防御率0.79の好成績を収めたが、シーズン終盤に右肘を痛め離脱した。
3年目の昨季は敗戦投手になったが、9月9日の楽天戦で8回1安打1失点に抑えプロ入り初完投するなど、チーム最多の61回イニングを投げ、1勝6敗、防御率3.84だった。そして、4年目の今季はシーズン通して先発ローテーションを守り、イースタン最多の10勝を挙げた。マウンド上での表情を見ても、年々自信を持って投げているように見える。今年7月にオンライン取材したときには「自分でこう投げれば、うまくいくんじゃないかというのが少しわかってきたような感じがあります」と手応えをつかみつつあるようだ。
森は高卒でプロ入りしており、年齢的にいえば大学4年生と同じにあたる。プロ入りしてからの4年間で、しっかりとファームのローテーションで投げ、“エース格”にまで成長を遂げたことは大きな自信になっているはずだ。
▼ 森の年度別二軍成績
18年: 1試 0勝0敗 1回 振0 与四死0 防0.00(先:0 リ:1)
19年:17試 2勝2敗 34回1/3 振26 与四死18 防6.29(先:5 リ:12)
20年:14試 1勝6敗 61回 振45 与四死22 防3.84(先:13 リ:1)
21年:20試 10勝5敗 115回1/3 振87 与四死44 防3.20(先:18 リ:2)
文=岩下雄太