話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、10月11日のプロ野球ドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから1位指名を受けた天理高・達(たつ)孝太投手にまつわるエピソードを取り上げる。
「目玉不在」と言われながら、今年(2021年)も数々の逸材がプロ球団の指名を受けたドラフト会議。4球団競合の隅田知一郎(西日本工業大→西武1位)や2球団競合の小園健太(市立和歌山高→DeNA1位)が注目を浴びました。しかし、他にもぜひ注目して欲しいピッチャーがいます。日本ハムが単独1位指名した193センチの長身右腕、天理高の達孝太です。
今年の春のセンバツでは2完投1完封と好投を演じ、ベスト4入りの原動力になった達。ただ、夏はケガの影響もあって本調子ではなく、奈良大会で敗退。それだけに実像がまだ見えない部分もありますが、知れば知るほど「新時代の野球選手だ」と驚嘆したくなる一面ばかりなのです。
まず1つには、プロ顔負けのデータ重視のトレーニングを積んでいること。MLBや日本のプロ野球も導入している分析ツール「ラプソード」を積極活用して、投球術を磨き上げて来ました。
「ラプソード」とは、投球データを測定・分析するための高性能カメラとレーダーを搭載した簡易型弾道測定器で、専用のアプリを通して回転数や回転軸、変化量を計測することが可能です。近年、高校での導入事例も増えていますが、達はこのラプソードを、何と「個人で」所有しているのです。
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回転数が多いほど、いわゆる「伸びのあるボール」を意味しますが、プロ野球投手の平均は2200回転、トップ選手で2400~2700回転とされていることを考えると、達の凄さがわかります。
この探究心は「ラプソード」だけにとどまりません。さまざまな野球研究本や、現役プロ野球選手の動画をくまなくチェック。納得のいくボールを投げるためにはどんな体の動かし方をするべきか、足の踏み出し幅をそれこそセンチ単位で探求し、理想のフォームを追い求めているのです。
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そんなこだわりがあるからこそ、研究材料は野球本にとどまらず、意外な本にまで行き着いています。
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そして何より「新時代の選手」であることを感じさせるのは、達の最終的な目標設定です。プロで活躍するのは当たり前。さらにその先、将来はメジャーリーグでプレーしたいと公言する選手もいまや珍しくなくなりました。達もメジャー志向はありますが、彼はもっと先を見据えています。
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この発言は、天理高が夏の奈良大会で敗退した直後のもの。3年間の努力が実らず、涙にくれてもおかしくない状況でも「未来」を語り、その日のうちに練習を始めたところも、従来の球児とはひと味違う凄味を感じます。そんな達が今回、日本人投手で最もサイ・ヤング賞に近い2人、ダルビッシュ有と大谷翔平を輩出した日本ハムに指名されたことに運命的なものを感じます。
「高身長の投手は大成しない」という従来の球界常識を覆して195センチのダルビッシュを超一流へと導き、前代未聞の「二刀流」への挑戦を認めてメジャーリーガー・大谷翔平の礎を築いた日本ハム。そんな“常識破り”の球団だからこそ、「メジャーでサイ・ヤング賞」という前代未聞の夢を語る達をしっかり育ててくれそうな、そんな期待があります。
最後に、達の中学校の卒業文集でのエピソードを紹介しましょう。最後の一文に注目です。
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「目玉不在」と言われながら、今年(2021年)も数々の逸材がプロ球団の指名を受けたドラフト会議。4球団競合の隅田知一郎(西日本工業大→西武1位)や2球団競合の小園健太(市立和歌山高→DeNA1位)が注目を浴びました。しかし、他にもぜひ注目して欲しいピッチャーがいます。日本ハムが単独1位指名した193センチの長身右腕、天理高の達孝太です。
今年の春のセンバツでは2完投1完封と好投を演じ、ベスト4入りの原動力になった達。ただ、夏はケガの影響もあって本調子ではなく、奈良大会で敗退。それだけに実像がまだ見えない部分もありますが、知れば知るほど「新時代の野球選手だ」と驚嘆したくなる一面ばかりなのです。
まず1つには、プロ顔負けのデータ重視のトレーニングを積んでいること。MLBや日本のプロ野球も導入している分析ツール「ラプソード」を積極活用して、投球術を磨き上げて来ました。
「ラプソード」とは、投球データを測定・分析するための高性能カメラとレーダーを搭載した簡易型弾道測定器で、専用のアプリを通して回転数や回転軸、変化量を計測することが可能です。近年、高校での導入事例も増えていますが、達はこのラプソードを、何と「個人で」所有しているのです。
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『今春の選抜で4強入りした天理(奈良)のエース達(たつ)孝太(3年)は今年1月、父の等さんに頼み込んでラプソードを買ってもらった。理想とする大リーガーのダルビッシュ有(パドレス)が、この機器を使っているのを見て、欲しくなった。
「これまでは自分の感覚だけが頼りになっていた部分があったけど、ラプソードを採り入れたことでフォームをしっかり修正できるようになった」。使い始めて約4カ月。身長193センチ大型右腕は、効果をそう説明する。
成長が表れているのは球速だけではない。ラプソードによる直球の回転数は1月の約2100(1分間あたり)から、5月上旬には2400近くまで増えたという』
~『朝日新聞デジタル』2021年5月25日配信記事 より
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回転数が多いほど、いわゆる「伸びのあるボール」を意味しますが、プロ野球投手の平均は2200回転、トップ選手で2400~2700回転とされていることを考えると、達の凄さがわかります。
この探究心は「ラプソード」だけにとどまりません。さまざまな野球研究本や、現役プロ野球選手の動画をくまなくチェック。納得のいくボールを投げるためにはどんな体の動かし方をするべきか、足の踏み出し幅をそれこそセンチ単位で探求し、理想のフォームを追い求めているのです。
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『一番力を出せるステップ幅は身長の110%と言われていて、自分なら約2メートル10センチ。それ以上に広げると、幅が狭い時より力が出なくなるそうです。だから、そこは安定を優先してやや狭めの幅でいくのか、110%のギリギリを攻めて最大限のパワーを求めるのか。考えどころです』
~『野球太郎 No.040 2021ドラフト直前大特集号』より(達孝太のコメント)
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そんなこだわりがあるからこそ、研究材料は野球本にとどまらず、意外な本にまで行き着いています。
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「『プロメテウス』という解剖学の専門書があって、これに今、はまっています。人体の仕組みや役割が書いてあって、難しいですが、いろいろ知るのがほんと楽しくて。今はこれと栄養学にはまってます」
~『野球太郎 No.040 2021ドラフト直前大特集号』より(達孝太のコメント)
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そして何より「新時代の選手」であることを感じさせるのは、達の最終的な目標設定です。プロで活躍するのは当たり前。さらにその先、将来はメジャーリーグでプレーしたいと公言する選手もいまや珍しくなくなりました。達もメジャー志向はありますが、彼はもっと先を見据えています。
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『悔いはあるけど、今後に向けて切り替えないといけない。ここで止まれない。自分のやりたい練習をやって、メジャーでサイヤング賞という夢に向かいたい』
~『スポニチアネックス』2021年7月27日配信記事 より(達孝太のコメント)
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この発言は、天理高が夏の奈良大会で敗退した直後のもの。3年間の努力が実らず、涙にくれてもおかしくない状況でも「未来」を語り、その日のうちに練習を始めたところも、従来の球児とはひと味違う凄味を感じます。そんな達が今回、日本人投手で最もサイ・ヤング賞に近い2人、ダルビッシュ有と大谷翔平を輩出した日本ハムに指名されたことに運命的なものを感じます。
「高身長の投手は大成しない」という従来の球界常識を覆して195センチのダルビッシュを超一流へと導き、前代未聞の「二刀流」への挑戦を認めてメジャーリーガー・大谷翔平の礎を築いた日本ハム。そんな“常識破り”の球団だからこそ、「メジャーでサイ・ヤング賞」という前代未聞の夢を語る達をしっかり育ててくれそうな、そんな期待があります。
最後に、達の中学校の卒業文集でのエピソードを紹介しましょう。最後の一文に注目です。
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『「僕は将来メジャーリーガーになり、日本を代表する投手になります。まず、高校卒業後ドラフト1位になり5~7年間日本でプレーをし、23才~25才くらいでアメリカの球団と5年100億円の大型契約をして…」と大志をつづった。明確な人生設計を描き、こう続ける。
「これが僕の人生の予定ですが、本当になれる気しかしないです」』
~『日刊スポーツ』2021年10月11日配信記事 より