◆ パ・リーグ盗塁王で30盗塁未満なら史上初
パ・リーグはロッテとオリックスが優勝争いを繰り広げているが、盗塁王争いも白熱している。
18日終了時点では、源田壮亮(西武)と和田康士朗(ロッテ)が24個でトップを走る。2位は22個で荻野貴司(ロッテ)、さらに21個で西川遥輝(日本ハム)と周東佑京(ソフトバンク)が並び、若林楽人(西武)が20個と、現時点で20盗塁以上はこの6人だ。
昨シーズンのタイトルホルダーでもある周東は9月に右肩の手術を受けており、今シーズンは全休予定。また若林も、6月に左膝前十字靭帯再建術を受けたことで復帰は来年以降。そのため、源田、和田、荻野、西川でタイトルを争うこととなる。
残り試合は日本ハムが8試合ともっとも多く、ロッテが7試合、西武が4試合となっており、常識的に考えれば、30盗塁未満で盗塁王が誕生するだろう。
過去、2013年の丸佳浩(広島/29個)など、セ・リーグでは30盗塁未満の盗塁王が9人誕生しているが、パ・リーグでは1993年の大石大二郎(近鉄)による31盗塁が最少で、これまで30盗塁未満の盗塁王はひとりもいない。
また、過去の盗塁王を振り返ってみると、ロッテの選手が盗塁王を獲得したのは2006年の西岡剛が最後で、以降14年間不在だ。その間に他11球団からは盗塁王が誕生しており、ロッテはもっとも盗塁王のタイトルから遠ざかっている球団でもある。
俊足選手の代名詞的存在でもある荻野だけでなく、2018年に38盗塁を記録した中村奨吾もタイトルには手が届かなかった。
◆ 規定打席未到達の盗塁王は、昨年の周東佑京ら過去11人
現在ランキングトップタイの和田は95試合に出場しているが、打席数はわずか「24」で、規定打席にはまったく到達していない。これまでに規定打席未到達での盗塁王は、昨年の周東(346打席)をはじめ11人存在した。
2リーグ制以降では山本公士(阪急/1966年)の158打席が最少となっており、1リーグ時代を含めても呉昌征(阪神/1944年)で93打席となっている。ただしこの年は太平洋戦争の影響で35試合制となっており、現在より100試合以上も少なかった。このまま和田が盗塁王を獲得すれば、史上最少打席数での盗塁王が生まれることになる。
過去のほとんどの盗塁王がそうだったように、打席数が多ければ多いほど自力で塁に出ることができ、盗塁のチャンスは多くなる。一方、和田のような「代走の切り札」は、試合終盤に起用されることがほとんどだ。「盗塁をするため」に出場するわけで、盗塁を仕掛けるチャンスはあるものの、1試合に複数回の盗塁チャンスはほとんど巡ってこない。1試合に1回のチャンスで確実に盗塁を決め、数を積み上げていくのはなかなか難しいことでもある。
ロッテは優勝を争っており、残り7試合のタイミングで和田をスタメンで起用する可能性は低いだろう。そのぶん、「ここぞ」の場面で代走に送られる和田には、極限の集中力が求められることになる。自身の盗塁王、チームとしては15年ぶりの盗塁王、そしてリーグ優勝へ——。しびれる試合が続くなか、和田の足にも注目していきたい。
<パ・リーグ盗塁ランキング>
1位(24盗塁)源田壮亮(西武)
1位(24盗塁)和田康士朗(ロッテ)
3位(22盗塁)荻野貴司(ロッテ)
4位(21盗塁)西川遥輝(日本ハム)
4位(21盗塁)周東佑京(ソフトバンク)
6位(20盗塁)若林楽人(西武)
※数字は2021年10月17日終了時点