2ケタ勝利達成者も10投手中4人が下位指名
パ・リーグは30日にレギュラーシーズンの全日程が終了。前年の最下位からリーグ制覇を果たしたオリックス同様、タイトル争いでもドラフト下位指名選手の“下克上”が際立った。
オリックスを25年ぶりの優勝へ導いた山本由伸は、最優秀防御率(1.39)、勝率一位(.783)、最多勝(18勝)、最多奪三振(206個)と主要4部門を独占。2016年のドラフト4位で加入した至宝は、東京五輪でも侍ジャパンのエースとして金メダル獲得に貢献した。
全タイトル獲得者の中で最大のサプライズは32発で初の本塁打王を獲得したオリックスの杉本裕太郎だろう。長打力を買われJR西日本から2015年のドラフト10位で入団。昨季までの5年間でシーズン最多は2019年の4発、通算でも過去5年で計9本塁打だったが男が6年目の大ブレイクを果たした。打率も最終的に3割(.301)に乗せオリックス球団の生え抜きでは初の「3割・30本塁打」を達成。ドラフト10位での本塁打王獲得は、1979年の掛布雅之(阪神/1973年ドラフト6位)、2005年の新井貴浩(広島/1998年ドラフト6位)を超え、史上最低位での下克上キングとなった。
楽天の島内宏明も球団史に名を刻んだ。リーグトップの96打点をマークし、球団生え抜き選手では初の打点王獲得。シーズン21本塁打、OPS.863(出塁率.385+長打率.477)もプロ10年目でキャリアハイとなり、ドラフト6位から這い上がってきた外野手はリーグを代表する好打者となった。
ロッテの益田直也は2度目のセーブ王。今季は開幕カードのソフトバンク戦でいきなり2登板連続黒星とつまづいたが、そこからセーブ数を積み上げチームを優勝争いへ導いた。2011年のドラフト4位で加入し、72試合に登板した1年目に新人王を獲得。2年目以降も大きな故障がなく、今季までの10年間で計593試合登板と鉄腕ぶりが光る。
史上初の4人同時受賞となった盗塁王では、育成ドラフト1位から這い上がってきたロッテ・和田康士朗が話題となった。今季の打席数は「24」しかなく“代走の切り札”としての出場がメイン。それでも成功率では西武の源田壮亮(成功率.727)、日本ハムの西川遥輝(同.656)、同僚の荻野貴司(同.656)を上回る.828をマークし、足のスペシャリストとしてチームに欠かせない戦力となった。
タイトル獲得者以外にも、2ケタ勝利を達成した10投手のうち4人がドラフト下位指名選手だった。最多勝の山本以外では、日本ハムの開幕投手を務めた上沢直之(12勝/2011年ドラフト6位)、2年目で初の2ケタ勝利を達成した楽天の瀧中瞭太(10勝/2019年ドラフト6位)、そして大ケガがありながらも6年連続2ケタ勝利を達成したソフトバンクの千賀滉大(10勝/2010年育成ドラフト4位)と、リーグ全体でドラフト下位指名選手の躍進が目についた。
パ・リーグのタイトル受賞者は以下の通り。( )内は所属とドラフト指名順位。
【打撃部門】
首位打者賞:吉田正尚(オリックス/2015年1位)打率.339
最多安打者賞:荻野貴司(ロッテ/2009年1位)169安打
最多本塁打者賞:杉本裕太郎(オリックス/2015年10位)32本塁打
最多打点者賞:島内宏明(楽天2011年6位)96打点
最高出塁率賞:吉田正尚(オリックス/2015年1位)出塁率.429
最多盗塁者賞:源田壮亮(西武/2016年3位)、和田康士朗(ロッテ/2017年育成1位)、荻野貴司(ロッテ/2009年1位)、西川遥輝(日本ハム/2010年2位)24盗塁
【投手部門】
最優秀防御率投手賞:山本由伸(オリックス/2016年4位)防御率1.39
勝率第一位投手賞:山本由伸(オリックス/2016年4位)勝率.783
最多勝利投手賞:山本由伸(オリックス/2016年4位)18勝
最多三振奪取投手賞:山本由伸(オリックス/2016年4位)206奪三振
最多セーブ投手賞:益田直也(ロッテ/2011年4位)38セーブ
最優秀中継ぎ投手賞:堀瑞輝(日本ハム/2016年1位)42ホールドポイント