ニュース 2021.10.31. 17:00

“全員野球”で2年連続2位のロッテ あと一歩届かなかったリーグ優勝

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楽天に敗れ、リーグ優勝を逃したロッテナイン (C)Kyodo News

救援陣を支えた佐々木千隼


 「『この1点を、つかみ取る。』というスローガンの下、開幕からチーム一丸、束となり戦ってきました。残念ながら優勝は逃しましたが、この経験、悔しさが必ず来年の肥やしになると思います」(井口資仁監督 最終戦セレモニー挨拶)

 ロッテは最終盤までオリックスとリーグ優勝を争ったが、67勝57敗19分の2位でシーズンを終えた。

 昨季は投手陣を中心にした守り勝つ野球で07年以来13年ぶりに2位でAクラス入りを果たし、今季は「この1点を、つかみ取る。」をチームスローガンに掲げリーグ制覇を目指した。

 昨季2位に入り、リーグ優勝への機運が高まったなかで幕を開けたペナントレースだったが、まさかの開幕5連敗。痛かったのが昨季チームの躍進を支えたセットアッパー・ハーマン、守護神・益田直也が2試合連続で失点し、それが敗戦に繋がったことだ。開幕3戦目の3月28日のソフトバンク戦は、3-2の8回にハーマンがデスパイネに逆転2ランを許した直後の9回に、代打で登場した菅野剛士が逆転2ランを放ち、これで今季初勝利かと思われたが、益田が代打・川島慶三にライト前に2点適時打を打たれ、2試合連続でサヨナラ負け。

 昨季低調だった打線も開幕してから5試合で10得点しか奪えず貧打に喘いだ。開幕から4連敗し、最終的には球団ワーストの87敗を喫した2017年を思い出すようなスタートだった。

 4月1日の楽天戦で12安打16得点を奪い大勝し今季初勝利を挙げると、風向きが変わる。この試合から引き分けを挟んで4連勝。4月18日のオリックス戦では、1-2の8回に登板した佐々木千隼が3番・安達了一から始まる打順をリズムよく10球で抑えると、直後の9回に打線が2点を奪い逆転勝利し、8回の1イニングを無失点に抑えた佐々木が19年8月15日の日本ハム戦以来となる白星を挙げた。この勝利で、チームも今季初めて貯金「1」とした。

 開幕から先発、救援陣がいまひとつピリッとしないなかで、佐々木千隼の存在が光った。「ビハインドだったらできる限り傷口を広げないように、そのあと逆転できるように流れが持ってこれるようなピッチングができたらいいなと思って心がけています。ただ、そんなに簡単ではないので、結果的にそうなればいいなと思います」。

 ビハインドの場面で登板しテンポよく無失点に抑え、その直後に味方が逆転し白星を挙げることが多かった。2勝目を挙げた4月21日の日本ハム戦も、4-5の9回から登板し、三者凡退に仕留め、その裏に岡大海の逆転2ランでサヨナラ勝ち。5月25日の阪神戦では三者凡退に抑えた直後の8回にマーティンの逆転2ランが飛び出し、4勝目を手にした。

 ビハインドゲームで結果を残し続けた佐々木は序列を上げていき、6月に入ってからは勝ちパターンを任されるようになった。勝ちパターンで投げるハーマン、唐川侑己が一軍登録抹消されたときに、勝ち試合のリリーフに苦労しなかったのも、佐々木の活躍があったからだ。


リーグトップの得点力を誇った打線


 佐々木の投球とともにシーズン序盤は、リーグトップの得点数を誇った打線の力が大きかった。4月1日の楽天戦で16得点を挙げた試合をきっかけに状態が上がり、得点力が急激にアップした。1番・荻野貴司、2番・マーティン、3番・中村奨吾、4番・安田尚憲の上位打線が機能し、マーティンは4月29日の西武戦でパ・リーグ最速の10号本塁打を放てば、安田も4月終了時点でチームトップの29打点。4月終了時点でチーム得点は、リーグトップの146得点を挙げた。

 4月終了時点で2本塁打、8打点とやや乗り遅れていたレアードも、5月に入ると一気に調子を上げた。5月2日の楽天戦では1-4の6回に角中勝也の適時打で1点を返し、なお一死一、二塁の好機でレアードが、先発・早川隆久からレフトへ一時逆転となる3ランを放つと、5月14日の西武戦では2-4の9回一死二塁の場面で、ギャレットから値千金の同点2ラン。月間MVPこそ逃したが、5月はリーグトップの9本塁打、リーグ2位の23打点、打率も.303と、ポイントゲッターとして機能し、打線に厚みをもたらす、そんな活躍だった。


主力捕手陣の不在が響いた交流戦


 昨季課題だった攻撃力は上がり、開幕直後不安定だった救援陣も5月はチーム救援防御率2.94と安定してきてはいたが、今ひとつチームとしてのりきれなかった。20勝19敗7分、首位と3ゲーム差の3位で交流戦に突入するも、交流戦は8勝9敗1分。交流戦が終わったときには、28勝28敗8分で首位と3.5差の4位に後退した。

 交流戦で勝ちきれなかった原因のひとつに、田村龍弘、柿沼友哉が不在の期間が長かったことが挙げられる。4月28日に『左大腿二頭筋肉離れ』で正捕手の田村が離脱し、開幕から田村に次ぐ2番手捕手として出場していた柿沼も5月17日に特例措置2021で一軍登録を抹消となり、その後新型コロナウイルスの陽性判定を受けた。柿沼は6月2日に再昇格するも、“打てる捕手”佐藤都志也への負担がかかった。

 交流戦でチーム最多の13試合でスタメンマスクを被った佐藤は、今季は開幕二軍スタートもファームでスタメン出場し、14連勝したときも12試合で先発マスクを被った。捕手として力をつけて4月23日に今季初昇格を果たしたが、「(昇格)直後は自信を持ってやっていたんですけど、ひとつのミスで自分のなかで精神的に弱気になった部分があった。上がってきたときの精神状態と、ミスしてしまったときの精神状態では、天と地くらいの差がありました。本当に自分がまだまだ未熟なところだなと思いました」と悔しがった。


積極補強


 交流戦直後にロッテは動いた。6月14日にDeNAの国吉佑樹と有吉優樹のトレードを成立させると、翌15日には中日の加藤匠馬と加藤翔平のトレードが決まった。さらに16日にはエンニー・ロメロを獲得。

 ロッテが得意にする“的確補強”だった。勝利の方程式が確立できず、捕手陣も故障者が相次ぎ二軍の捕手が育成(当時)の 植田将太のみという時期もあった。

 先発陣も岩下大輝が交流戦終了時点で4勝を挙げていたが、“エース格”の石川歩が6月3日に『右肘関節クリーニング手術』を行い、美馬学も交流戦で2試合連続2桁失点、今季さらなる成長が期待された二木康太、小島和哉もいまひとつの内容だった。

 選手を補強し、リーグ戦再開を迎えたが、大きな連勝はないが、大きな連敗もない。5割前後をいったりきたりする戦いは続いた。


停滞ムードを打破した藤原


 この状況を変えたのが、高卒3年目の藤原恭大だった。今季は開幕一軍をつかんだが、22試合に出場して、打率.161(56-9)、4打点の成績で4月22日に一軍登録抹消。ファームでの再調整を経て、7月3日に一軍再昇格した。

 昇格即スタメンとなった同日の楽天戦に『2番・センター』で出場しマルチ安打をマークすると、翌4日の楽天戦では史上70人目(75度目)となるサイクル安打は逃したが、今季初本塁打を含む3安打4出塁でチームの連勝に貢献した。

 さらに7月6日のソフトバンク戦では、エース・千賀滉大から初回に左中間を破る三塁打でチャンスメイクすると、3回には左中間への適時二塁打、この回だけで2度目の打席となった第3打席には2点適時二塁打と、3安打3打点の大暴れ。チームも、11-3とソフトバンクに大勝し4連勝で単独2位に浮上した。

 お立ち台に上がった藤原は「しっかりとした自分のスイングができました」と納得の表情を浮かべ、「(二軍に)落ちたときよりは確実に良くなっている。自分のスイングを続けられるように頑張ります」と継続して活躍することを誓った。

 その言葉通り藤原は、7月の月間打率.400(35-14)、1本塁打、5打点と、1番・荻野、3番・中村に繋ぐ役割を見事に果たした。

 藤原の勢いとともに、チームは息を吹き返し、藤原が再昇格した7月3日の楽天戦から7日のソフトバンク戦にかけて5連勝。前半戦を37勝34敗12分、首位と2.5差の3位で終えた。


終盤での粘りを見せた8月


 東京五輪による1カ月の中断が明け、8月13日にペナントレースが再開した。後半戦最初のカードは、本拠地・ZOZOマリンで首位・オリックスとの3連戦。最低でも勝ち越したいところだったが、1勝2敗と負け越し。続く西武との初戦にも2-8で敗れ、首位・オリックスとの4差に広がってしまった。

 このままズルズルといくかと思われたが、8月18日の西武戦に“1つ先の塁を狙った走塁”が得点に結びつき5-3で勝利すると、そこから引き分けを挟んで3連勝。

 8月20日のソフトバンク戦は2-2の9回にエチェバリアが値千金の3ランを放ち5-3で勝利すると、0-5の7回に5点を挙げ同点に追いついた8月21日のソフトバンク戦では、5-5の9回にレアードの適時内野安打で勝ち越し、佐藤の2ランで3点を挙げ、8-6で勝利した。

 8月は序盤に失点しても、逆転勝ち、引き分けに持っていく試合が多かった。8月24日の日本ハム戦ではチャンスを作りながら8回まで得点を挙げられず、0-3のまま9回を迎えたが、先頭の藤岡裕大、続く田村の連打で1点を返すと、荻野、中村の適時打で同点に追いつき、引き分けに持ち込んだ。8月29日の楽天戦は0-0の9回に田村の適時打が飛び出し1—0で勝利。8月13日から8月28日にかけてイニング別では9回が最も多い11得点と、終盤の粘りが光った。

 終盤に得点を挙げる打線の粘り強さを支えたのがリリーフ陣。“勝ちパターン”で投げる国吉、佐々木千隼、益田をはじめ、東妻勇輔、田中靖洋、中村稔弥といったリリーフ陣がしっかりと“0”に抑えたからこそ、試合終盤での勝ちに結びついていった。

 その一方で、先発陣は早いイニングで失点し、8月のチーム先発防御率は「4.33」、8月終了時点のチーム先発防御率「4.40」と、打線がリーグトップの得点数を誇り、リリーフ陣が5月以降安定していたなかで、“勝負の9月”を前に先発陣の不安は解消されなかった。


先発陣が安定。加藤の存在を高めた9月


 9月最初の1日の西武戦では岩下が2回を投げ6失点、3日の日本ハム戦は7-5で勝利したが、小島が4回1/3を投げ5失点、翌4日の日本ハム戦も鈴木昭汰が4回3失点でマウンドを降りた。

 5日の日本ハム戦でロメロが7回1失点に抑えゲームを作ると、この試合を境に先発陣が安定。5日の日本ハム戦から20日の日本ハム戦にかけての13試合で、5回を投げきれなかった先発は15日のソフトバンク戦で3回1/3で降板した美馬だけ。そのほかの12試合は先発投手が5イニング以上投げ、6イニング以上投げた試合は10試合もあった。チームも9月8日のオリックス戦に勝利し、首位に浮上した。

 先発陣の安定に大きく貢献したのが、後半戦からスタメンマスクを被る機会を増やした加藤だ。「最初はビックリしたというのがありましたが、僕にとったらチャンス」と6月15日に加藤翔平とのトレードで中日から加入すると、交流戦明け初戦の6月18日にさっそく一軍登録される。翌19日の西武戦、8回から守備につき移籍後初出場。前半戦は移籍直後ということもあり、1度もスタメンマスクはなかったが、出場8試合・11イニング・5失点・3自責点、防御率にすると2.45だった。

 移籍して間もない加藤はブルペンで「まずは持ち球を聞いたり、どのボールが一番自信があるか、“左にはこう投げる”、“右にはこう投げる”など左右によっては違うと思うので、大まかに聞いています」と投手の特徴を聞いた。

 「ゲームで組んだあとに“ここはこうだった”、“あそこはよかった”など、コミュニケーションをとるように意識しています」と、投手との関係性を築くために積極的に声をかけた。

 マリーンズ投手陣の良さを引き出したのが9月だ。9月11日の楽天戦でプロ初完投勝利、19日の日本ハム戦ではプロ初完封勝利を挙げた小島には、序盤からストライク先行の投球で、少ない球数で打者を封じていく好リード。9月は24試合中20試合でスタメンマスクを被り、加藤がスタメン出場した試合、チームは11勝7敗2分と勝ち越し、先発マスクを被ったときの9月のチーム先発防御率は「2.83」だった。


あと一歩届かなかった10月


 課題だった先発陣が安定し、一時は2位・オリックスに4ゲーム差をつけ首位を走っていたロッテだが、1勝すれば優勝マジックが点灯する9月28日からの2位・オリックスとの3連戦で3連敗。雨天中止となった10月1日に、2位・オリックスが勝利したため2位に陥落した。

 10月7日の楽天戦から9日の日本ハム戦にかけて3連敗を喫し、首位・オリックスとのゲーム差が3に広がった。9月までの好調から一転、苦しい戦いが続いたロッテだが、この窮地を救ったのが岡大海だった。

 10日の日本ハム戦、2-4の9回二死一塁で回ってきた第4打席、守護神・杉浦稔大が1ボール2ストライクから投じた134キロのスライダーを振り抜き、左中間スタンドに運ぶ値千金の第4号同点2ランを放った。敗戦を覚悟したなかで、岡の一発で同点に追いつき、引き分けに持ち込んだ。

 岡の劇的弾で2.5差の2位で、10月12日からの敵地・オリックス戦に挑んだ。12日の第1戦は2-0の8回に先発・小島が宗に同点の2ランを浴び、2-2の引き分け。

 これでマリーンズが敗れるとオリックスに優勝M7が点灯と、もう1敗も許されない状況になった第2戦は、打線が9月12日の楽天戦以来となる2桁16安打を放ち8得点を挙げれば、先発・石川が9回・97球、6安打、2失点で完投勝利。

 勝てば2位ながら優勝マジック9、引き分ければ優勝マジック10が点灯し、敗れるとオリックスに優勝マジック7が点灯となる第3戦は、ロッテ・佐々木朗希、オリックス・宮城大弥による“高卒2年目の同学年投手”による投げ合い。主導権を握ったのはマリーンズだった。初回にレアード、エチェバリアの適時打で3点を先制すると、2回には中村の適時打、3回に山口、藤岡の適時打などで3回までに5点を奪った。佐々木朗希は、カウントをとるフォーク、空振りを奪うフォークをうまく投げ分けオリックス打線に的を絞らせず6回無失点の好投。6-1で勝利し、2位ながら優勝マジック9が点灯した。ロッテの優勝マジック点灯は1970年以来51年ぶりの快挙だった。

 また、この3連戦で国吉、佐々木のセットアッパーの2人の登板がなく、守護神・益田の登板も1試合のみ。勝ちパターンを休ませながら勝てたことが翌15日のソフトバンク戦にいきた。

 先発・岩下が5回1失点の粘投を見せると、0-1の5回に加藤の第2号ソロで試合を振り出しに戻す。6回以降は6回・唐川、7回・国吉、8回・佐々木、9回・益田が、ソフトバンク打線を封じ込めると、1-1の9回二死一塁で打席が回ってきた岡が、守護神・森唯斗が3ボール1ストライクから投じたカットボールを振り抜き、打球は左中間スタンド最前列に突き刺すサヨナラ2ラン。劇的勝利で優勝マジックを「8」とした。

 ロッテは優勝マジックを着実に減らしていき、10月23日からの日本ハムとの2連戦に連勝し優勝マジックを3としたが、オリックスは最終戦となった10月25日の楽天戦に勝利し、ロッテはソフトバンクに7-15と大敗。これでロッテは優勝するために残り3試合を3勝、もしくは2勝1分で終えなければいけない状況になった。

 もう1敗も許されない27日の楽天戦、初回にレアードの適時二塁打で幸先よく先制し、先発・小島も5回二死まで楽天打線をわずか1安打に抑える好投を見せた。しかし、5回二死走者なしから田中和基に四球を与えると、辰己涼介にライト前に運ばれ一、三塁とされる。ここを踏ん張りたい小島だったが、太田光に適時打を打たれ同点に追いつかれた。

 1-1の8回にセットアッパー・佐々木が、一死一、二塁から代打・小深田大翔にライト前に運ばれ勝ち越しを許し、1-2の9回は3番・マーティンから始まる好打順も3人で打ち取られ試合終了。主力選手の故障や不振による離脱をカバーし、“全員野球”で勝利を積み重ねてきたが、1974年以来の勝率1位でのリーグ優勝に今年も届かなかった。優勝したオリックスには山本由伸という絶対的なエースがいて、打線には吉田正尚、杉本裕太郎といった生え抜きの中心選手がいた。一方のマリーンズは期待の若手や生え抜きの中心選手はいるものの、試合を決定づける日本人のポイントゲッター、勝ちが計算できる絶対的エースが不在だった。期待の若手がどこまで主力と呼べる存在に近づけるかも、来年に向けての課題のひとつに残った。

 ただ、戦いは終わらない。11月6日からクライマックスシリーズが始まる。CSを勝ち抜けば2010年以来となる日本一の挑戦権が残されている。井口監督は30日の日本ハム戦後に行われた最終戦セレモニーで、「6日から始まるCSファーストステージ、そしてファイナル、日本シリーズと、もう一度チーム一丸となって戦ってまいりますので、引き続き熱い声援よろしくお願いします」と宣言した。リーグ制覇を目指してきたなかで、2位から日本シリーズを狙うのは悔しい部分ではあるが、日本一になるチャンスはある。2010年以来の日本一を達成するため、“この1点を、つかみ取る。”戦いは続く。

文=岩下雄太
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