ホークス一筋15年「ありがとうございました」
今季限りでの現役引退を表明していたソフトバンクの髙谷裕亮選手(39)は1日、PayPayドームにて会見を開き、「私、高谷裕亮は今シーズンを持ちまして15年間の現役生活に終止符を打ち、引退する決断をしましたので、ここに報告させていただきます」と、自らの言葉で改めて引退を発表した。
髙谷は2006年の大学生ドラフト3位でプロ入り。キャリアを通して正捕手奪取とはならなかったものの、近年は甲斐拓也のバックアッパーとして扇の要を支え、通算643試合の出場で打率.194(1037-201)、10本塁打、101打点の成績をマークした。
来季構想外の通達を受けていたことが10月26日に球団から発表され、連絡を受けた時点で「引退」の二文字が頭に浮かんだものの、「急に言われた自分の中にも動揺があった」ことから、家族との対話も経て決断。「少し考える時間をいただいたのもあると思いますが、意外とスッキリしている」と、現在の心境を語った。
近年は膝痛を抱えながらのプレーが続き、「できても1~2年くらいだろうなというのは、自分の中にはあった」と振り返り、「チーム全体に気を遣ってもらったというか、アップも一緒にできない、練習も制限がかかる、そんな中で試合にだけ集中してくれればいいという環境を作ってもらって、やっとこれくらいの状態だったので、それを考えたら時が来たのかなと、僕の中では思っています」とキャリアの転換期を受け入れた。
周囲からは驚きの反応もあったことを明かしたが、「成績は胸張って言える数字ではないですけど、ここまでやれた、ここまでやらせてもらえたことに関しては大満足」と自身のキャリアを振り返り、「そうとうイライラしながら帰ったり、ストレスが溜まって当たってしまった時もあったと思うが、その中でも毎日同じように接してくれた家族、もちろん僕の両親も妻の両親もそうですけど、本当にそういう空気を作ってくれた家族には感謝しています。頭が上がらないです」と、プロ生活を共に歩んだ家族への感謝を口にした。
現役キャリアを通して最も印象に残っているシーンを問われると、「パッと出てくるのは3年目に開幕スタメンで和田(毅)さんと組んで、対バファローズ戦、3安打完封したのはすぐにでてきた」と答え、会見後には思い出の相棒・和田から花束を受け取り、本拠地のグラウンド上で和田のボールを受けるサプライズイベントも行われた。
来季からは二軍バッテリーコーチを務める予定で、後輩選手たちには「とにかく時間を無駄にしないでもらいたい。きついな、今日はいいかなと思う時はあると思う。僕も正直あったので。でも、時間は限られているので無駄にしないでやってもらえればと思う」とメッセージ。
ファンに対しては「これからは違う立場となりますが、僕に声援を捧げてくれたエネルギーを、今いる選手に送っていただければ。それが選手の力になるので、そうしていただけると僕も嬉しいです。15年間、ありがとうございました」と感謝の言葉で別れを告げた。