先勝したチームの優勝確率は63%
「初戦が最重要」というのは、短期決戦における常套句のひとつ。現在、セ・リーグ覇者のヤクルトとパ・リーグ覇者のオリックスが熱戦を繰り広げている日本シリーズにおいても、その常套句は真実だと言える。
1950年からはじまった日本シリーズは、昨季までに71回開催されている。そのうち、第1戦に勝利して優勝を果たしたケースは44回。第1戦に勝利したチームの優勝確率は62%である。また、第1戦が引き分けだったケースが3回あり、その後に「先勝」したチームも含めれば、先勝したチームの優勝確率は63%だ。
しかし、見方によっては第1戦以上に第2戦が重要であるとも言える。第1戦、第2戦と連勝して優勝を果たしたケースが28回あるのに対し、第1戦に勝ちながら第2戦を落とし、そこから優勝したケースは16回。当然のことながら、連勝したケースと比べるとその優勝確率は下がる。
加えて興味深い数字もある。逆に第1戦を落としながらも第2戦に勝利し、逆転優勝したケースも同じく16回あるのだ。第1戦の勝敗にかかわらず、第2戦までを終えて1勝1敗となったチーム同士の優勝確率はまったくの五分となっている。
第2戦から巻き返した最後は…
日本シリーズにおいて第1戦を落としながらも第2戦に勝利し、逆転優勝した直近のケースは、2014年のソフトバンクだ。対戦相手は阪神。レギュラーシーズンでセ・リーグ2位だった阪神は、CS(クライマックスシリーズ)ファイナルステージにおいてセ・リーグ覇者の巨人を「4タテ」で破って日本シリーズに進出した。
その勢いのまま、日本シリーズ第1戦では5回に一挙5点を奪うなどして6-2で勝利を挙げる。ところが、以降は武田翔太、大隣憲司、攝津正らソフトバンク先発陣、森唯斗、五十嵐亮太、サファテら盤石の中継ぎ陣の前に打線が完全に沈黙。ソフトバンクは第2戦からの4連勝で逆転優勝を果たした。
この年以降、ソフトバンクは7年間で6度も日本シリーズを制しており、常勝軍団へと変貌した。しかし、その姿は今季の日本シリーズにはない。代わりに大舞台に立つのは、ともに昨季最下位に沈み、それこそ大逆転での日本一を狙うヤクルトとオリックスだ。
開催中の日本シリーズにおけるヤクルトとオリックスは、第2戦を終えて1勝1敗。勝敗に限った過去の数字から見れば、どちらが優位ということはいえない。
また、第2戦までの試合内容自体も、それこそ互角といえる均衡したもの。今季の日本シリーズにはどんな展開、結末が待っているのか--。まさにここからが本番だ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)