2021.11.23 18:00 | ||||
東京ヤクルトスワローズ | 5 | 終了 | 4 | オリックス・バファローズ |
東京ドーム |
5回途中に先発投手を諦め直後に逆転許す
23日に行われた「SMBC日本シリーズ2021」第3戦は、ヤクルトがシーソーゲームを制し2連勝。オリックスは終盤の継投で踏ん張りきれず、シリーズ通算1勝2敗とリードを許した。
オリックスにとって誤算だったのは、1点リードで迎えた5回の継投だった。先発の田嶋大樹が5回一死から2番・青木宣親に中安打を許すと、オリックスベンチはこの時点で92球を投じていた田嶋から、右横手投げの比嘉幹貴にスイッチ。比嘉は3番・山田哲人を遊ゴロに打ち取る好リリーフを見せたが、3番手としてマウンドに送ったバルガスが乱調だった。
今シリーズ2度目の登板となったバルガスは、第2戦で抑えていた4番・村上宗隆を四球で歩かせ、続くサンタナにもコントロールが定まらず連続四球で二死満塁とピンチを広げると、6番・中村悠平に痛恨の逆転適時打。直後に打線が奮起しこのイニングの失点が決勝点とはならなかったものの、試合中盤の継投で踏ん張りきれずに主導権を手放してしまうもったいない展開だった。
23日に放送されたCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』では、高木豊さんと谷繁元信さんが5回裏のオリックスの継投に注目し、投手交代の難しさについて解説した。
まず、田嶋から比嘉への継投については、それまで2打席凡退していた山田が田嶋から鋭い打球を放っていたこともあり「代えても仕方ないかなと思っていた」と高木さん。ただ、比嘉が山田を打ち取って二死二塁となって以降は、「比嘉があまりにも良かったので、村上を申告敬遠、サンタナ勝負でもいいなと思っていた」とコメント。
田嶋から比嘉、バルガスと細かな継投に踏み切った背景には「いろんなことが“読み”のなかであったと思う。この時点ではサンタナがノーヒットだったので、サンタナ勝負でもいいのになとか、田嶋がなんで無失点で降りなきゃいけないんだとか。ちょっとチーム全体が迷いの渦の中でやっていたのかなと思う。迷いがあったのはこの回だけでしたよね」と、オリックスベンチも難しい決断を迫られていたとの見方を示した。
一方、谷繁さんは「バルガスに代えるまではよかったと思う。村上とシリーズ2戦目に対戦して(投ゴロに)抑えているんですけど、バルガスのボールでインサイドを攻めたらカット気味にくるし村上を抑えられるだろうという読みがあったと思う」と、力勝負できるバルガスを村上にぶつけて3つ目のアウトを奪いにいった背景を推察。「でも、そこ(インサイド)にいかない。そこがまず誤算」と、勝負を挑んだ村上を四球で歩かせたところがターニングポイントだったと指摘した。
また、「村上を歩かせて、バルガスがストライク入らなさそうなので3人目をつぎ込むかといえば、そうはならないんですよ。比嘉からバルガスに代えた時点で、この回はなんとかバルガスで抑えなきゃいけなくなってしまった。だから逆に苦しんだのかなと。延長12回まであるので、あのイニングで3人は使えないんですよ」と、延長12回制ルールの存在がさらなる継投を阻んだとの見解を示した。
結果論と言ってしまえばそれまでだが、あらためて“継投の難しさ”を思い知らされた日本シリーズ3戦目。今シリーズはここまで1点差が2試合、2点差が1試合と接戦が続いているだけに、4戦目以降も継投が試合の分岐点となる可能性は大いにありそうだ。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』