今季は外野で9試合に出場
広島の主砲・鈴木誠也が、ポスティングシステムを利用してMLBへの移籍を目指している。多くの球団が興味を示しているとの報道もあり、ロックアウトという状況下で先行きは不透明な部分があるものの、移籍はほぼ確実な状況と見られている。一方チームでは、その鈴木が守ってきた右翼の穴を埋めることが求められる。その候補となるひとりが、中村奨成だ。
広陵高校時代に出場した2017年夏の甲子園では、大会記録となる6本塁打を放つなど活躍した中村。同年のドラフト1位で広島に入団するも、ここまで一軍では目立った成績を残せていない。
今シーズンは、一軍でキャリアハイとなる39試合に出場。入団以来登録は捕手だが、持ち前の打撃を生かすために9試合で左翼の守備にもついている。そのなかでプロ初本塁打を記録するなど、打率.283(53-15)、2本塁打と期待の持てる成績を残した。また、二軍では外野全ポジションにつくなど、捕手と外野手の二刀流でシーズンを過ごしてきた。その起用は、中村の打撃が買われているからこそである。
11月半ばに行われた契約更改後の記者会見では、来年も外野と捕手の両方をやってもらうと球団から言われたことを明かしたうえで、「外野でレギュラーを獲れるようにしたい」と意気込んだ。
右翼のポジション争いは激化?!
球界全体で見ると、捕手から外野手へのコンバートは珍しくない。古くは飯田哲也(ヤクルト)、和田一浩(西武)。近年でも、近藤健介(日本ハム)、栗原陵矢(ソフトバンク)に岡島豪郎(楽天)らがコンバートされ結果を残してきた。
広島という球団に絞ってみると、過去に捕手から外野手へのコンバートで開花した事例はない。ただ、内野手へのコンバートとしては、衣笠祥雄や二度に渡って本塁打王を獲得した江藤智の例がある。両選手とも入団時は捕手であり、一軍でマスクを被った経験もあったが、のちに内野手へとコンバートされ主軸打者に成長した。
現在の広島の捕手事情を見ると、會澤翼と坂倉将吾のふたりがともに打てる捕手として一軍で結果を残している。そのため、中村が捕手として多くの出場機会を得るには相当な結果を出すしかない状況。もちろん打撃で結果を出すことが大前提ではあるが、中村が捕手から外野手へと完全にコンバートされる可能性は十分にあるだろう。
もちろん、外野にもライバルは多い。秋季練習の紅白戦で一発を放ちアピールをした正隨優弥、10月以降の18試合で打率.325(77-25)と結果を残した宇草孔基もいる。その他にも、ベテランの長野久義や復活を期する堂林翔太も今シーズンは右翼を守った。
来年でプロ入り5年目。未完の大器がどのような活躍を見せるのか、またぽっかり空いた右翼のポジションを射止めることができるのか。中村のブレイクに期待したい。
<今シーズン成績>
中村奨成(広島)
39試合 打率.283(53-15) 本2 打点5
※数字は終了時点