「どんな言葉を掛けて良いのか…」
西武のファン感謝イベント「LIONS THANKS FESTA 2021」が5日、メットライフドームで3年ぶりに行われ、イベントの最後には今季限りで現役を引退した松坂大輔の引退セレモニーが行われた。
セレモニー終了後、グラウンドを一周してファンに別れを告げ、ベンチに戻ろうとした松坂が呼び止められると、バックスクリーンのLビジョンに「スペシャルメッセージ」の文字が浮かび上がり、“盟友”であり“好敵手”でもあったイチローさん(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が登場。
イチローさんは「大輔、どんな言葉を掛けて良いのか、なかなか言葉が見つからないよ。だから僕には、こんなやり方しかできません。許せ、大輔」と言葉を発すると、ビデオメッセージはそこで終わり、バックネット裏から花束を持ったイチローさんが出てくるサプライズ演出。これには松坂も驚きのあまり両手を膝に当てて思わず下を向いてしまう。
その後、歩み寄ってきたイチローさんから花束を渡され、握手をかわすと、一言二言、言葉をかけられた後に感涙。時間にして数十秒、イチローはすぐさま踵をかえし、そのまま颯爽とバックネット裏へと戻っていった。
このサプライズ演出に、松坂は「ビジョンに映し出されたときに、まさかイチローさんがメッセージをくれたんだと。まずそこで吃驚して、なんて言葉をかけてもらえるかなぁなんて思っていたら、まさか直接、花束を渡しにしてきてくれるなんて、想像していなかったですし、やばかった」と興奮気味に振り返り、「一気に我慢していた涙が出てしまいました。本当に吃驚したのと、めちゃくちゃ嬉しいのと、最後にイチローさんに声をかけてもらって、これまでやってきて良かったなと、あらためて思いました」と感激した。
イチローさんからかけられた言葉に関しては「それは言えないですよ」と、笑みを見せつつ、「イチローさんに言われると、同じ言葉でも僕への響き方や重みが違う」と述べ、「全部は言わないですけど、お疲れ様でしたということと、長い間よく頑張ったねと、その言葉を聞いた瞬間に一気に涙が出ました」と、忘れ得ぬ時間を振り返った。
また、「イチローさんという大きな背中を追いかけ続けることができたことで、ここまでやってこれたと思うので、イチローさんには言葉では表しきれないくらい感謝しています」と謝辞を述べると、「去り方もイチローさんらしく、カッコイイなって。花束を渡されて、去っていく姿を見て、最後まで本当にカッコイイなって思いました。これぞイチローさんという演出の仕方」「ああいう雰囲気をまとえる大人になりたい」と、イチ流の振る舞いに感嘆していた。