200勝ボールの約束は果たせなかったが…
西武のファン感謝イベント「LIONS THANKS FESTA 2021」が5日、メットライフドームで3年ぶりに行われ、イベントの最後には今季限りで現役を引退した松坂大輔の引退セレモニーが行われた。
セレモニーでは、元横浜高校監督の渡辺元智氏、WBCで指揮官を務めたソフトバンクの王貞治会長、巨人の原辰徳監督をはじめとする恩師・先輩たちからのビデオメッセージに加えて、親交のある松坂世代の俳優・妻夫木聡さんが花束を贈呈。そこに続く形で、松坂が西武に入団した当時の監督だった東尾修さんが登場し、新たな“約束”を迫った。
花束贈呈と記念撮影を終えた東尾さんは、「いま映像で渡辺監督が言った言葉を聞いていて、良かったと思った。(デビューイヤーから)ちゃんと軌道に乗ってくれて、1年目から3年連続で最多勝もとってくれたし、ホッとしました」と、当時を振り返りつつ、デビュー戦で日本ハムの片岡篤史さんから155キロの直球で空振り三振を奪ったボールを「人生の中で一番いいボールだったと思う」と評し、「本当に長い間、ご苦労さまでした」と23年間の現役生活を労った。
東尾さんはさらに、「ひとつ、私に対して果たしていない約束がありますよね。わかっていますよね。あのボールの件です」と、西武入りを口説き落とすために自身の200勝ボールを手渡し、松坂が200勝したときに返すという“約束”が果たされていないことに言及。「だから約束をしてほしい。今度は破らないように、大丈夫ですか? 守ってくれますか?」と詰め寄った。
これに対して、松坂が「内容にもよります(笑)」と返答すると、東尾さんが、「西武ファンの皆さん、よーく耳をすまして聞いてください。大輔、今度帰ってくるときはライオンズのユニフォームしか着ちゃダメだぞ」と語りかけ、万雷の拍手が球場中を包み込んだ。
松坂は苦笑いを浮かべつつ、「こればかりは、僕がやりたいと言っても来れるわけではないので、またライオンズに声をかけてもらえるように、もっと野球を勉強して努力していきたいと思います」と宣言。東尾さんは「皆さん、今からの大輔を、ずーっと見てやって、どういう姿で帰ってくるのか楽しみにしましょう」と続け、「頑張ってください」と、愛弟子にエールを送った。
新たな“約束?”は果たされるのか、新たな物語が進展することを、多くのファンが心待ちにしている。