10代での2ケタ本塁打は球団初の快挙
僅差の接戦を連日繰り広げ「面白いシリーズだった」と好評を博した今年の日本シリーズ。オリックスは通算2勝4敗でヤクルトに敗れたものの、多くの若手選手が初の日本シリーズで躍動し新時代到来を印象づけた。中でも、正遊撃手として全試合でスタメン出場した紅林弘太郎内野手(19)は6試合で打率.318と活躍。次世代を担う大型遊撃手としてより多くの野球ファンにその名を知らしめた。
身長186センチ、体重94キロの恵まれた体格。高卒2年目の今季は中嶋聡監督に見いだされる形で、1年目の5試合を大きく上回る136試合に出場した。打撃はまだ粗削りな部分が多く打率.228に終わったものの、10月5日の日本ハム戦(京セラD大阪)で左翼5階席に着弾する2ランを放つなど非凡な長打力を披露。いずれもキャリアハイとなる10本塁打、48打点を記録し、10代での2ケタ本塁打は球団史上初の快挙となった。
守備面は6月までの71試合で11失策を記録したものの、7月以降は65試合で6失策と安定。強肩を生かした深めの守備位置が特徴的で、シーズンが進むにつれ自信をつけながら、自らのスタイルを確立する姿が印象に残った。
モヤが退団濃厚、背番号「1」の継承にも期待大!?
ヤクルトとの日本シリーズでも三遊間深くから矢のようなスローイングを何度も披露。同シリーズは地上波で放送されていたこともあり、これまでオリックスにあまり馴染みがなかったであろう野球ファンからは、ネット上で「コレアの送球を見てるよう」「紅林の完成系はコレアかも」などの反応が多く見られた。
「コレア」とは、メジャーリーグのアストロズに所属するカルロス・コレア内野手のこと。193センチ、100キロのメジャーを代表する大型遊撃手で、2019年に発覚したサイン盗み騒動以降、ダーティーなイメージがついてしまっているが、今季は自己最多のシーズン26本塁打を放つなど、打率.279、92打点、OPS.851を記録。遊撃手としても自身初のゴールドグラブ賞に輝き、さらに、ゴールドグラブ受賞者の中から最も守備の優れた選手に贈られるプラチナグラブ賞も初受賞。現在はロックアウトによりメジャーの全業務が停止しているものの、今オフはFA市場の目玉として去就が注目されている。
ダーティーなイメージはさておき、紅林もスケールの大きな遊撃手として今後はチームのみならず日本を代表する野手に育ってほしいところ。今オフ、2シーズン在籍したモヤが、自身のインスタグラムで退団を示唆するメッセージを投稿。正式に退団することになれば、今季までモヤが着用していた背番号「1」は空き番号になる。球団の背番号1と言えば、簑田浩二、福良淳一、後藤光尊ら、多くの名手たちが継承してきた番号。上述のコレアもアストロズでは「1」を背負っており、仮に紅林が背番号「1」に変更することになれば、花形遊撃手としてのイメージはさらに膨らむ。