イースタン最多の18セーブ
「こんなに投げられると思っていなかった。34試合投げられたこと、疲れはあったんですけど、充実した1年間になったと思います」。
ロッテの育成・小沼健太はプロ1年目をこう振り返った。今季は開幕からファームで抑えを任され、イースタン・リーグ最多の18セーブをマーク。前半戦を終えたときのオンライン取材で「去年も(茨城で)抑えをやっていましたが、チームも勝っていなくて、ちゃんとした抑えをやったことがない」と話していたが、シーズン最後まで抑えを全うした。
小沼は「その後(後半戦)も、ちょっと崩れてはいたんですけど、最後まで投げきることができたので、そこはよかったかなと思います」と自己評価。
素晴らしかったのが、4月24日の西武戦、3-3の9回に綱島龍生に適時打を浴びサヨナラ負けを喫したのを最後に、1度も負けなかったこと。セーブ機会は全て成功させた。
「最後の方になって(記録は)気づいたのですが、そこに対してのプレッシャーはなく、結果終わってみればそういう感じだったので、よかったのかなと思います」。
ただ、10月9日に行われた阪神とのファーム選手権では、2-0の9回に登板するも、3点を失い敗戦投手となった。「今まで通りにいけるだろうと思っていたのですが、緊張感があった。大舞台が人生では初めてなので、気づいたら3点取られていたなと感じました」と振り返った。
フェニックス・リーグでは先発を経験
フェニックス・リーグでは、10月28日の日本ハム戦で先発し4イニングを投げるなど、シーズン中よりも長いイニングを投げるケースが多かった。
シーズン中は基本的に短いイニングでの登板が多かった関係で、最も長いイニングでも7月13日の西武戦の2イニング。首脳陣も小沼にイニング跨ぎや先発の練習もさせたいという狙いがあったようだ。
「2年前は先発で1シーズン戦い抜いたんですけど、1回抑えとか1イニングを経験すると、体的にはきついなと思いますね。3イニングで精一杯かなとフェニックスで感じました」と、その難しさを口にした。
11月14日から25日までZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では、佐々木千隼、小島和哉、岩下大輝といった一軍で活躍した選手たちと汗を流した。秋季練習の期間中、小沼は「二軍の秋季練習中に投球フォームなど試行錯誤していた部分を、小野コーチ、大隣コーチと話し合って練習していた。そこの部分を自分なりにさらに練習していったという感じです」と、課題克服に励んだ。
気になる奪三振の少なさ
今季の小沼の投球を見ていると、34試合・34回2/3を投げて、与四球は10個、奪三振も20個と与四球は少ないが、奪三振も少なかった。
「今までも三振が取れる方ではなかった。結果的に三振も少なく、四球も少ないんですけど、一軍に上がるためには三振数というのを、防御率以上に僕自身大切にしないといけないと思っています」。“三振”にこだわっていく考えを示した。
「まっすぐは一番自信をもてるようになったんですけど、変化球に関してはどれも精度不足というか、完璧ではない」。
変化球を磨くことが奪三振数アップにつながっていくのかーー
「まっすぐだけだと、どうしても無理だと思う。カットボールは安定して投げることができるので、フォークとカーブをしっかり磨いていこうと思います」。
もちろんこのオフは、「技術的には、変化球の精度を一番大事にしている」と、変化球のレベルアップを目指す。それに加えて「体は大きくなったんですけど、まだまだ大きくならないといけない。しっかり筋力アップしていきたいと思います」と筋力トレーニングもしっかりとやっていくつもりだ。
来年、今年以上に“充実”したシーズンを送るためにも、シーズンオフの過ごし方が非常に重要になってくる。「ここまでオフシーズンもしっかり休むことなくできている。そこを継続しながらやっていきたいと思います」。来年2月1日にレベルアップした姿を首脳陣に見せるために、このオフは目的意識を持ってトレーニングを積んでいく。
取材・文=岩下雄太