小久保裕紀、内川聖一……FA加入の野手陣は活躍
ソフトバンクが、国内FA権を行使していた又吉克樹(中日)を獲得した。ソフトバンクがFAで選手を獲得したのは2013年の鶴岡慎也(前日本ハム)と中田賢一(前中日)以来8年振りとなる。
今シーズンのソフトバンクは、日本一5連覇を目指すもまさかの4位に終わり、日本一どころかリーグ優勝、さらにはクライマックス・シリーズ進出をも逃した。
もちろん課題はいくつかあるが、そのなかのひとつに中継ぎ陣の離脱があった、今シーズンは、「左肘関節化膿性滑液包炎」で手術を受けたストッパーの森唯斗、また、泉圭輔、高橋純平らが年間を通じて一軍で活躍できなかった。泉は契約更改後の会見で「かなりハイペースで投げていて、自分の身体が耐えきれなかった」と体力不足の課題を口にしている。
そのことを思えば、これまでに通算400試合に登板し143ホールド、防御率2.86と安定した成績を残してきた又吉は、ウィークポイント解消の切り札となりそうだ。
親会社がソフトバンクに変わった2004年以降、チームは8人のFA戦士を獲得してきた。その面々を振り返ってみると、移籍後3年連続で規定打席に到達した大村直之(2004年/近鉄)をはじめ、出戻りの小久保裕紀(2006年/巨人)、扇の要を務めた細川亨(2010年/西武)、両リーグで首位打者を獲得した内川聖一(2010年/横浜)、そして併用されながら一軍でマスクを被り続けた鶴岡慎也(2013年/日本ハム)と5人の野手は全員が移籍後に結果を残している。
中日からの国内FA移籍は…
5人全員が成功した野手と比べると投手はやや見劣りするかもしれない。先発ローテーションを期待された帆足和幸(2011年/西武)は、2013年に8勝を挙げるも在籍4年で規定投球回への到達はなく、通算で15勝にとどまった。出戻りの寺原隼人(2012年/オリックス)も2015年に8勝を挙げたが、その他の年は故障や不振に苦しみ目立った活躍をすることができていない。
そのなかで、まずまずの結果を残したのは中田賢一(2013年/中日)である。移籍初年度に11勝をマークすると、翌年も規定投球回に到達し9勝7敗、防御率3.24。所属最終年度となった2019年こそ1試合の登板にとどまるも、6年間で39勝26敗と十分な働きを見せた。
中日からFAで国内球団へ移籍した投手は、中田以外にも成功例が多い。巨人へ移籍した前田幸長(2001年)、阪神へ移籍した高橋聡文(2015年)がともに中継ぎとして戦力となった。
前田は移籍から4年連続で44試合以上に登板。そのうち3年は50試合以上となっており、貴重な左腕として中継ぎ陣を支えた。高橋も2年連続で20ホールドをマーク。とくに移籍2年目の2017年は、61試合の登板で6勝0敗、1セーブ、20ホールド、防御率1.70の成績で前年の4位から2位へ浮上したチームを支えた。
結果を残すことができなかったのは、巨人へ移籍した野口茂樹(2005年)ただひとりである。もちろん過去の傾向に過ぎないが、ソフトバンクにとっては安心材料のひとつになるかもしれない。
又吉はFA移籍した投手の成功事例が多く、ソフトバンクが獲得したFA投手で唯一の成功例である中田の所属先でもあった中日出身となる。FA宣言した際に又吉は、「独立リーグ出身者として(FA宣言の)第1号となって球界の裾野を広げたい」と語っていた。それを実現するためにも、その鉄腕を武器に、ソフトバンクでも結果を残したいところだろう。
【ソフトバンクが獲得したFA選手】
※球団がソフトバンクとなった2004年オフ以降
※( )内は旧所属
<野手>
2004年:大村直之(近鉄)
2006年:小久保裕紀(巨人)
2010年:細川亨(西武)
2010年:内川聖一(横浜)
2013年:鶴岡慎也(日本ハム)
<投手>
2011年:帆足和幸(西武)
2012年:寺原隼人(オリックス)
2013年:中田賢一(中日)
2021年:又吉克樹(中日)
【中日から国内FAで移籍した投手】
※( )内は新所属
2001年:前田幸長(巨人)
2005年:野口茂樹(巨人)
2013年:中田賢一(ソフトバンク)
2015年:高橋聡文(阪神)
2021年:又吉克樹(中日)