田村と相性の良かった先発は?
今季のロッテは正捕手・田村龍弘の離脱もあり、柿沼友哉、佐藤都志也、後半戦に入ってからは加藤匠馬など、複数の捕手が先発マスクを被った。
出場別では田村がチーム最多の49試合でスタメンマスクを被り、次いで加藤の46試合、柿沼の23試合、佐藤の22試合だった。注目すべきは、田村、加藤、柿沼の3人は“相性の良い”先発投手がいたこと。
正捕手の田村は石川歩、美馬学といった様々な球種で抑えていく投手と相性がよかった。石川は田村がマスクを被った試合は4勝1敗、防御率2.05。10月5日の西武戦で、6回を1安打無失点に抑え、ヒーローインタビューでは「田村がすごく良いリードをしてくれた」と感謝。
10月13日のオリックス戦では、10球以内で終えたイニングが3回、6回、8回、9回と4イニングあり、6回はわずか5球で打ち取るなど、わずか97球で完投勝利を挙げた。
美馬学も田村がスタメンマスクを被った登板は、4勝1敗、防御率3.48。石川と同じように少ない球数で抑えているのが特徴で、今季5勝目を挙げた8月31日の西武戦は7回を投げ79球、4安打、1失点に抑える“省エネピッチング”だった。
▼ 田村が先発マスクを被ったときの成績
石川 歩 6試 4勝1敗 防2.05
美馬 学 11試 4勝1敗 防3.48
加藤がマスクを被ると朗希は…
シーズン途中に中日からトレードで加入した加藤は、チーム最多の10勝を挙げた小島和哉、プロ2年目の今季3勝を挙げた佐々木朗希、ルーキーの河村説人、シーズン途中に加入したロメロと相性がよかった。
小島は9月11日の楽天戦でプロ初の完投勝利、続く9月19日の日本ハム戦でプロ初完封勝利、10月3日の楽天戦で今季2度目の完封勝利と、3完投とも先発マスクを被っていたのが加藤だった。
後半戦は佐々木朗希が先発した試合、加藤が全てマスクを被ったが、9月10日の楽天戦ではプロ入り後自己最長となる8回を投げ、2安打、9奪三振、2失点、この登板以降の4試合は全てQSを達成。6試合・37イニングを投げて、イニング数を上回る44奪三振、2勝0敗、防御率1.22と抜群の安定感を誇った。
9月以降は先発ローテーションに入って投げた河村も、加藤がマスクを被った登板は4試合・21回2/3を投げて自責点5、防御率にすると「2.08」。加藤と好相性だった要因に河村は「カーブの使い方がすごくうまいなと自分も思っています。配球の面ですごく助かっていました」と話し、「また、あまり走られる機会も多くないので、そこも嬉しいなと思います」と感謝した。
中日時代にバッテリーを組んでいたロメロは先発した4試合全て、加藤がマスクを被り、4試合中3試合でクオリティスタート(6回以上3自責点以内)を達成している。
▼ 加藤が先発マスクを被ったときの成績
小島 和哉 9試 5勝1敗 防2.14
佐々木朗希 6試 2勝0敗 防1.22
河村 説人 4試 3勝1敗 防2.08
ロ メ ロ 4試 1勝0敗 防1.54
柿沼は速球派の投手と好相性
“速球派投手”と好相性を誇るのが柿沼だ。力強いストレートにフォーク、スライダー、時折カーブを織り交ぜる岩下大輝は、柿沼が先発マスクだったときに5勝1敗、防御率2.02と抜群の相性を誇った。
前半戦の岩下の快進撃を支えたのも柿沼のリードによるところが大きい。柿沼がマスクを被ったときの岩下は7試合は全て5イニング以上投げ、6イニング以上投げた試合も4試合ある。柿沼と岩下はファームのときから何度もバッテリーを組んできた。2019年の取材で柿沼は岩下について「まっすぐありきのピッチャー。どのピッチャーにもいえることですけど、まっすぐがちゃんときてないと、変化球でかわそうとしても難しいと思う。しっかり強いボールを投げながら、どこで変化球を意識させるというイメージでやっています」と、当時から“岩下の良さ”を引き出していた。
19年に“柿の種バッテリー”で話題を呼んだ種市篤暉も、ワクワクするようなストレート、フォーク、スライダーを中心に投げる投手。佐々木朗希とバッテリーを組んだ6月10日のヤクルト戦でも、6回を4安打1失点に導く好リードを見せた。
▼ 柿沼が先発マスクを被ったときの成績
岩下大輝 7試 5勝1敗 防2.03
佐藤は二軍で森を完封に導く
“打撃を売り”にする佐藤は捕手としての経験値を上げている段階だが、捕手としての出場を増やしていくためにも、田村、加藤、柿沼のように得意とする投手を見つけたい。
ファームではあるが、イースタン最多の10勝を挙げた森遼大朗とは、7月20日の日本ハム戦で完封勝利に導くなど、4勝1敗、防御率2.91。森は今オフ育成選手から支配下選手登録となった。佐藤は、森が来季一軍で先発するときにはマスクを被れるような存在になりたい。
▼ 佐藤が先発マスクを被ったときの成績
森遼大朗 5試 4勝1敗 防2.91※ファーム
先発投手によって捕手との相性の良さが極端に出るシーズンとなった。来季は正捕手争いを含めて、どういった捕手の起用法になっていくか注目だ。
文=岩下雄太