ゲレーロを獲得
ロッテは18日、タイロン・ゲレーロ投手の獲得を発表した。
ロッテは今オフ、育成選手だった森遼大朗を支配下選手登録したが、目立った選手獲得の動きが見られなかった。そのなかで、投手のゲレーロを獲得。
ゲレーロは球団を通じて「マリーンズの為に投げられる機会をいただき、とても感謝しています。日本の素晴らしい野球ファンとの時間、また、美しい文化に触れられることも非常に楽しみにしています。マリーンズが優勝するために全力でプレーします」とコメントした。
ゲレーロはメジャー通算113試合に登板して2勝5敗、防御率5.77という成績で、マーリンズ時代の18年と19年には50試合以上に登板。18年には167を記録するなど、ストレートを売りにするパワーピッチャーだ。
井口資仁監督も球団を通じて「後ろの方で期待しています。スピードボールが魅力のピッチャー。コントロールもしっかりとしている。背が高く角度のあるボールを投げるので、打者は凄く速く感じると思います」とコメントを残しているように、新外国人のゲレーロはリリーフで起用されることが予想される。
リリーフ事情
ロッテのリリーフ陣は、オールスター明けに7回・国吉佑樹、8回・佐々木千隼、9回・益田直也の“勝利の方程式”が確立され、唐川侑己、東妻勇輔、小野郁、田中靖洋と充実し、チーム救援防御率は3.24だった。
イニング別の失点を見ても、7回が9回の52失点に次いで2番目に少ない56失点、8回は3番目に多い67失点だったが、5月以降は9回に次いで2番目に少ない失点数だ。
リリーフ陣の駒は揃っており、補強ポイントはリーグ最多の584得点あげながら、オールスター明けチーム打率はリーグワーストの.224、リーグ4位の200得点と精彩を欠いた打線を補強するべきではないかと思っているファンも多いのではないだろうか。確かに野手は補強ポイントのひとつではあるが、リリーフ陣も補強する必要があった。
今季の開幕直後を思い出して欲しい。昨季はチーム救援防御率リーグ2位の3.30を記録し、澤村拓一(現レッドソックス)がFA権を行使して大リーグ・レッドソックスに移籍したものの、ハーマン、唐川、益田と“勝利の方程式”がおり、小野、東條大樹などもいた。オフは内野手のエチェバリアを獲得したが、リリーフ陣の補強はなく開幕を迎えた。
7回・唐川、8回・ハーマン、9回・益田と、昨季ロッテのブルペンを支えた3人による“勝利の方程式”で始まったが、ハーマンが初登板から3試合連続失点、益田も初登板から2試合連続失点、小野も“勝ち試合”を任されるも本来の投球を披露することができず、4月終了時点のチーム救援防御率は4.15。
益田が尻上がりに調子を上げていき、セットアッパーの唐川が開幕から13試合連続無失点、イニング途中にピンチでマウンドに上がり何度も火消しをした田中、ビハインドゲームで流れを呼び込む投球で逆転を手繰り寄せた佐々木が、安定していたおかげで、最悪の事態に陥ることはなかった。
5月以降は“勝利の方程式”の形が見えはじめ、6月3日の中日戦から佐々木千が勝ち試合のリリーフに組み込まれ、6月14日にDeNAから国吉をトレードで獲得し、オールスター明けに“勝利の方程式”が固定されたのだ。
直近3年でシーズン通して投げたのは…
リリーフ陣の層が厚くなってきているとはいえ、直近3年間を見ても益田を除くと、シーズン通して一軍で投げたリリーフは19年の東條、21年の佐々木千の3人しかいない。
唐川はリリーフに配置転換後、1度もフルシーズン一軍で戦った経験がなく、小野は今季開幕直後に不振で二軍落ちし、田中も今季は故障でシーズン途中に離脱、後半戦走者を置いた場面で登場し何度も火消した東妻もシーズン通して一軍で戦ったことがない。
今季の活躍を来季も開幕から見せてくれれば良いが、今季の春先のことを考えれば、来年になってみないとわからない部分もある。ひとつでも不安要素を解消するためにも、リリーフタイプの投手を補強したのは納得がいく。今年のドラフト会議でプロ入りしたドラフト5位の八木彬(三菱重工West)もリリーフタイプの投手。さらに、今季の佐々木千隼のように、ブレイクする投手が出てくる可能性もある。ゲレーロが日本の野球にフィットするのかも含めて、来季どんなリリーフ陣が形成されるのか今から楽しみだ。
文=岩下雄太