右投手は育つも2021年の先発左腕白星はわずか2つ…
今季は55勝70敗18分けと大きく負け越し、実に42年ぶりとなるリーグ6位に沈んだ西武。来季は最下位からV奪還を目指すシーズンになる。
2021年シーズンは故障者が相次ぎ、外国人選手はコロナ禍による来日遅れもあり軒並み低調。チーム防御率3.94(リーグ6位)、同打率.239(同4位)と投打とも振るわず、7月以降は右肩下がりで借金を重ね、最後は日本ハムにかわされる形で1979年以来となる最下位フィニッシュとなった。
就任5年目を終えた辻発彦監督は「優勝した頃は固定されたメンバーでやってきた。故障者が出たらこういうふうになる」と誤算続きのシーズンを振り返りつつも、「我慢して使った先発陣が後半にちょっとずつでも安定した力を見せてくれた。『成長したな』と感じさせてくれたんで、楽しみはまた膨らんできた」と収穫も口にした。
その言葉通り、先発陣は初の開幕投手を務めた髙橋光成が、チームトップの173回2/3を消化し11勝9敗、防御率3.78と投手陣を牽引。髙橋に次ぐ158回1/3を消化した今井達也は8勝8敗、防御率3.30。松本航は149回2/3で10勝8敗、防御率3.79を記録し、ローテーションの軸として期待する3投手は揃って規定投球回をクリアした。
新外国人&ドラフト組が共倒れ…雄星退団以降、先発左腕が低迷
ただ一方で、寂しい結果に終わったのが左腕の先発陣だ。今季の143試合を振り返ると、右投手が先発マウンドを託された試合は計125試合。左投手は浜屋将太の8試合、マット・ダーモディの6試合、残りは佐々木健と内海哲也の各2試合と左腕の先発登板試合は計18試合にとどまり、白星は浜屋と内海の各1勝による計2勝に終わった。
3年連続で2ケタ勝利と規定投球回クリアを果たした菊池雄星(現マリナーズFA)がメジャーに旅立って以降、2ケタ勝利、規定投球回到達を果たした西武の左腕投手はゼロ。三菱日立パワーシステムズから2019年のドラフト2位で加入した浜屋は2年間で計4勝。NTT東日本から今季のドラフト2位で加わった佐々木健は5試合(2先発)の登板で未勝利に終わり、明大から2017年のドラフト1位で入団した齊藤大将は4年間でわずか1勝にとどまり、今年5月にトミー・ジョン手術を受けた影響もあり、来季は育成契約で再出発することになった。
今秋のドラフトでは、目玉だった西日本工業大の左腕・隅田知一郎を4球団競合の末に獲得。2位でも筑波大の左腕・佐藤隼輔を指名するなど、ウイークポイントに沿った人材獲得に成功した。ただ、上述のように近年は上位で指名した左腕投手が軒並み伸び悩む傾向にあり「大成功」と言われた今秋のドラフト組にも一抹の不安は残る。
また、今季限りで退団になったダーモディ、2020年に5試合のみの登板に終わったショーン・ノリンのように、ローテ候補として来日した助っ人左腕たちも期待外れが続いている。新たに獲得した先発候補のディートリック・エンスには、イニングイーターとして1年目からフル回転してほしいところだ。
右投手では髙橋、今井、松本の新たな3本柱のほかにも、今季高卒3年目だった渡邉勇太朗が飛躍のきっかけをつかむなど、全体的には光明が多い西武先発陣。V奪還のためには、ここにバランス良く左投手が加わりたいところ。新人と既存戦力が切磋琢磨しながら、新たな左腕エースの誕生に期待を寄せたい。