9月の月間出塁率は.500
ロッテは今季リーグ最多の「584」得点を挙げたが、イニング別では初回の「77」得点が最も多かった。初回に得点数が多かったのも、全試合でトップバッターを務めた荻野貴司の出塁が大きい。
今季の荻野の初回の第1打席は打率.310(12-39)、先頭打者本塁打は6本、ホーム生還回数は29、出塁率は.392と、トップバッターとしての役割を果たした。
第1打席に限れば、9月以降の成績は素晴らしかった。9月は24試合で打率.333(18-6)、四死球は6、出塁率は驚異の.500。2回に1回は出塁していた計算になる。ホーム生還が最も多かったのが9月で、9月24日から行われた西武との3連戦では、初回の第1打席は全て四球で出塁し、24日が安田尚憲の適時打、25日が中村奨吾の適時打、26日がレアードの適時二塁打で生還した。
10月は2日の楽天戦〜13日のオリックス戦にかけての最初の10試合で、8試合で安打を放ち、6日の西武戦、7日の楽天戦では球団史上3人目となる2試合連続先頭打者本塁打を記録した。
荻野は過去の取材で「初回なので、塁に出ることでチームはノッテいける。全部の打席、一緒なんですけど、初回に点を取るとピッチャーも楽になると思う。そこはしっかり心がけてやっていきたいと思います」と話していたが、まさにチームに勢いを与える打撃を見せ続けた。
▼ 荻野の第1打席成績
3、4月:31試 率.259(27-7)本0 四死4 盗1 出塁率.355
5月:21試 率.400(20-8)本2 四死1 盗1 出塁率.429
6月:22試 率.250(20-5)本0 四死2 盗1 出塁率.318
7月:9試 率.250(8-2)本1 四死1 盗0 出塁率.333
8月:15試 率.214(14-3)本1 四死1 盗0 出塁率.267
9月:24試 率.333(18-6)本0 四死6 盗1 出塁率.500
10月:21試 率.421(19-8)本2 四死2 盗2 出塁率.476
今季:143試 率.310(126-39)本6 四死17 盗6 出塁率.392
荻野の存在が初回の得点にも影響!?
井口資仁監督就任後、チーム最多の383試合で1番打者として出場する荻野が1番にいるのといないでは、チームに与える勢い、敵チームの投手に与えるプレッシャーも違うのか、初回のチームの得点数もかなり変わってくる。
昨季荻野が1番で出場した43試合の初回のチーム得点数は38得点だったが、荻野が1番で出場していない77試合の初回のチーム得点数は34得点と、この数字を見ただけでも、荻野の存在の大きさがわかる。
20年と同じようにシーズン途中に離脱があった18年を調べてみても、この年荻野は1番で77試合に出場し、初回のチーム得点数は43。荻野が1番で出場していない66試合で奪ったチームの初回の得点数は20点だった。
初回の出塁数とホーム生還数を見ても、18年が初回に25回出塁し、そのうち17回ホームに生還。20年も初回に18回出塁し、14回還ってきた。特に20年は6月24日のオリックス戦から9月29日の日本ハム戦にかけて、初回に出塁した12回全て生還している。
初回の出塁、得点数だけを見ても、荻野の存在がどれだけ大きいかがわかる。ただ荻野は来年の10月で37歳を迎え、ベテランの域にさしかかってきた。この先のチームを考えれば、荻野を脅かす存在が出てきて欲しいところだが、個人的にいえば、荻野が出塁してホームに駆け抜ける姿をまだまだ見たいというのが本音だ。来季もトップバッターとして、打線を引っ張っていってほしい。
▼ 18年以降の初回のチーム得点
【2018年】
荻野が1番で出場:77試合 43得点
荻野が不在の時:66試合 20得点
【2019年】
荻野が1番で出場:120試合 67得点
荻野が不在の時:23試合 10得点
【2020年】
荻野が1番で出場:43試合 38得点
荻野が不在の時:77試合 34得点
【2021年】
荻野が1番で出場:143試合 77得点
荻野が不在の時:なし
文=岩下雄太