「心機一転、また一からやる気持ちです」
日本ハムを自由契約となり、22日に楽天への入団合意が発表されていた西川遥輝外野手(29)が25日、オンライン上で入団会見を行った。
西川は智弁和歌山高から2010年のドラフト2位で日本ハムに入団。これまでベストナインに2度、盗塁王には4度輝くなどパ・リーグを代表する外野手としてチームを引っ張ってきたが、プロ11年目の今季は自己ワーストの打率.233に終わるなど打撃不振。シーズン終了後の11月16日にいわゆる“ノンテンダーFA”で自由契約となり去就が注目されていた。
そんな中、22日に楽天が入団の基本合意を発表。西川は「心機一転、また一からやる気持ちです。東北を熱く盛り上げたいと思いますので、楽天イーグルスファンの皆さん、よろしくお願いいたします」と新天地での意気込みを語った。
西川は今季こそ打率.233に終わったが、昨季は.306をマークしパ・リーグ打率ランキング4位にランクイン。また、選球眼に優れ高い出塁率を残せる選手であり、今季も低打率ながら出塁率はリーグ10位の.362を記録。過去11シーズンの通算出塁率も.380と安定した成績を残している。
さらに、今季は4度目の盗塁王に輝くなど俊足は健在で、通算の盗塁成功率は.847。これはNPBで150盗塁以上を記録した選手の中では歴代3位の素晴らしい数字だ。
外野守備に不安を抱えるも不在のリードオフには適任
2021年の楽天は外国人野手がフィットせず、チーム得点数はリーグ4位。また、シーズンを通して1番打者を固定できずリードオフマンの不在も浮き彫りとなった。
開幕戦でド派手な先頭打者弾を放った辰己涼介の勢いは長続きせず、打率はリーグワーストの.225と低調。昨季ルーキーイヤーで打率.288をマークした小深田大翔も、2年目の今季は打率.248と苦しみシーズン終盤はベンチを温める日々が続いた。9月からポストシーズンにかけ山﨑剛が存在感を示したが、それでもシーズン打率は.256。主に1番を託された3選手は揃って出塁率3割2分台と物足りない結果に終わった。
また、今季の楽天の盗塁数はリーグワーストの45。機動力が乏しくリードオフマン不在のチームに、西川はうってつけの存在と言える。
ただし不安要素もある。それは外野守備だ。近年は慢性的な右肩痛に悩まされており、俊足を生かした広い守備範囲を誇りながらもスローイングには難がある。
日本ハム時代の主戦場だった中堅には今季ゴールデン・グラブ賞を受賞した辰己がおり、両コーナーには打点王の島内と、2021年チーム首位打者の岡島豪郎がいる。さらに、今オフはすでにホセ・マルモレホスとクリス・ギッデンスの両助っ人野手の獲得を発表。西川は新天地でのレギュラーが確約されているわけではない。
22日に楽天との契約合意が発表され、自身のブログで「1ヵ月と1週間、様々な感情が入り混じった期間でした。それでも野球ができる環境を与えていただいたイーグルスには感謝しかありません。活躍しファンの皆さんに愛される選手を目指し、イーグルスに恩返ししていければと思います」とつづった西川。新天地で迎えるプロ12年目は、自らの存在価値を再び証明するシーズンとなる。