西川は楽天、大田はDeNAへ移籍
日本ハムから自由契約となっていた西川遥輝外野手(29)と大田泰示外野手(31)の新たな移籍先が決まった。両選手は秋吉亮投手(32)とともに来季の契約条件を提示を受けず“ノンテンダーFA”として自由契約に。西川は楽天、大田はDeNAに移籍することが両球団から正式に発表された。
日本ハムの稲葉篤紀GMは今回の措置に至った経緯について「3選手と来季以降のプレー環境について協議した結果、選手が取得した権利を尊重し、ノンテンダーとすることを選択しました。選手にとって制約のない状態で、海外を含めた移籍先を選択できることが重要と考えた結果です」と説明。「昨年もノンテンダーの村田透投手と再契約した例があるように、ファイターズとの再契約の可能性を閉ざすものではありません」と話していたが、両外野手とも新天地で再出発することになった。
西川は智弁和歌山高から2010年のドラフト2位で日本ハムに入団。これまでベストナイン2度、盗塁王を4度獲得するなどパ・リーグを代表する外野手としてチームを引っ張ってきたが、今季は自己ワーストの打率.233と苦しんだ。それでも、過去11年で通算打率.281、同出塁率.380、計311盗塁を記録。2016年の日本一にも貢献した。
大田は2016年11月に巨人との交換トレードで日本ハム入り。移籍1年目から左翼のレギュラーに定着し、プロ入り9年目で初の規定打席到達を果たした。2018年からはメインポジションを右翼に移し、2019年は打率.289、20本塁打、77打点と各部門でキャリアハイをマーク。2020年はゴールデングラブ賞を初受賞したが、今季は西川と同じく打撃不振に苦しみ移籍後ワーストの76試合の出場にとどまった。
両選手とも今季は低調なパフォーマンスに終わったものの、昨季まではバリバリのレギュラーとして活躍。日本ハムはコストカットの部分で成功した側面はあるものの、実績のある主力流失は戦力面で痛手となる。
飛躍のきっかけつかんだ淺間と王、ブレイク感漂う万波
2012年から10年間チームを指揮してきた栗山英樹監督が今季限りで退任。チームは転換期を迎え、来季から“ビッグボス”こと新庄剛志新監督がチームを率いる。
西川と大田が抜けた外野陣のレギュラーは、現状、近藤健介ただひとり。新庄ビッグボスは監督就任会見で「メンタル的なものに関しては引き出す力が自分にはある。チームにピッチャー3人、野手4人のタレントを作り上げていけば、そのときはもう強くなっていると思う」と新たなスター選手育成に自信を覗かせた。
2021年は淺間大基がようやく台頭。入団当初から打撃センスの良さを評価されていたが、昨季までは故障続きで一軍に定着できなかった。それでも、7年目だった今季は自己最多の128試合に出場し、打率.251、5本塁打、31打点を記録。7月以降は「1番・中堅」に定着し飛躍のきっかけをつかんだ。
来季4年目を迎える万波中正にはブレイクの予感が漂う。今季は一軍初アーチを含む計5本塁打を放ち、二軍戦でもチーム2位の17発と身体能力の高さはチーム屈指。ビッグボスの下で潜在能力が一気に開花しそうだ。
今オフ契約を延長し、来季で4年目となる王柏融も楽しみな存在。昨季まではNPBへのアジャストに苦しんでいた台湾の英雄だが、来日3年目の今季はいずれも自己最高を更新する9本塁打、48打点、OPS.750を記録。スタメン出場時のメインスポットは指名打者だったが、左翼や右翼での出場もあり選択肢は多い。
快足が売りの五十幡亮汰、フルスイングが魅力の今川優馬らも、それぞれ個性があり楽しみな素材。新外国人も含め経験値という面では不安も大きいが、杉本裕太郎、宗佑磨、紅林弘太郎らが揃ってブレイクし、一気に優勝まで駆け上がった今季のオリックスのような例もある。「メンタル的なものに関しては引き出す力が自分にはある」と語るビッグボスの手腕にも、引き続き注目したい。