ニュース 2021.12.26. 10:00

後半は苦戦も…前半戦は先発陣を支えたロッテ・岩下大輝

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ロッテ・岩下大輝

前半戦はエース級の活躍


 ロッテの岩下大輝は今季自己最多の8勝を挙げ、前半戦は石川歩、美馬学といったエース格が不在にするなど先発陣の台所事情が苦しいなか、先発陣を支えた。

 開幕直後の安定感は素晴らしいものがあった。昨季はストレートと落差の大きいフォーク、時折投げるスライダーの3球種がメインだったが、150キロ前後の力強いストレートに落差の大きいフォーク、早いカウントでストライクゾーンから投げるフォーク、120キロ後半から130キロ前半のスライダーに、2回り目の初球や2球目にカーブなどを投げた。

 5月に行ったオンライン取材で岩下は「スピード自体も去年よりは平均的にちょっとあがったかなというのはあるんですけど、ファウルもとれていますし、なんていうんですかね、きっちりコースにいけばあまり前に飛ばされるような感じもなくなってきた」とストレートに自信を掴み、武器であるフォークについては「去年と継続してある程度、いいオチはできていると思うんですけど、自分が苦しい投球のイニングを見ている限り高めに浮いてしまったり、フォーク自体をあまりコントロールできていないところがあった。そこを修正していければ、もっと長いイニングをいけるんじゃないかなと思います」と自己分析していた。

 去年、一昨年と先発ローテーションを経験して、こうすれば打ち取れるというイメージができるようになっていたのだろうかーー

 「こうすれば抑えられるというのは正直ないんですけど、同じバッターと対戦する機会自体が増えてきたので、その人のイメージだったりはあるんですけど、打席の中での雰囲気、なにを絞ってきているかというのはその都度変わってくる。キャッチャーと相談したり、そういうところで頑張って狙いを外せるようにしている感じですかね」。

 オンライン取材を行った5月7日以降も安定した投球を披露し、前半戦は登板した全てで5イニング以上投げた。交流戦明けの最初の試合となった6月18日の西武戦の先発を託され、6回を3安打無失点に抑え6勝目。この日は2回に先頭の山川穂高を150キロのストレートで空振り三振に仕留めると、続く栗山巧もオールストレートで最後は150キロのストレートで空振り三振。二死走者なしからスパンジェンバーグに対しても初球150キロのストレートでファウルにすると、続く2球目は119キロのカーブでストライク。力勝負でいくと見せかけて、意表をつくようなカーブでストライクを奪い、最後は149キロのストレートで見逃し三振を奪うという緩急を使った頭脳的投球を見せた。

 7勝目を挙げた7月5日の楽天戦は、打線が4回に一挙4点を奪った直後の5回に相手に流れを渡さない投球で無失点に抑えるなど、7回を1失点にまとめた。前半戦最後の登板となった7月13日の西武戦では5回を投げ5失点も打線の援護に恵まれ、シーズン自己最多の8勝目を手にし、前半戦を8勝4敗、防御率3.39で終えた。


後半戦は勝てず


 前半戦の投球を見た限り、チームの残り試合数が60試合ということを考えれば、後半戦で自身初の2桁勝利は確実かと思われたが甘くはなかった。

 後半戦最初のマウンドとなった8月17日の西武戦、4回7失点で5敗目を喫すると、9月1日の西武戦でも2回6失点で降板。昨季から比較的好相性を誇っていた西武打線に打ち込まれるケースが増えた。さらに10月8日の日本ハム戦も6回10安打6失点と、前半戦は走者を出しながらも粘り、最少失点で切り抜けてきたが、相手の勢いを止めることができなかった。

 8月17日の西武戦では3回までに今季最多の15回(同日の試合時点)、150キロを超えるストレートを記録するなど無失点に抑えていたが、4回に入りボールが先行し、ストレートを狙い撃ちされた。

 前半戦は「自分の投球のタイミング的に今年はあの感じがはまっているなというのがあって、去年みたいに2段で投げるときもあるんですけど、両方使えたらいいなともともと思っていた。今年はあれが一番ハマっている」と走者がいないときにクイック気味で投げることが多かったが、9月10日の巨人との二軍戦では走者がいないときに二段モーションで投げたり、9月30日のオリックス戦では走者がいないときに二段モーション、クイック気味で投げるなど試行錯誤しているように感じた。

 プレートの踏む位置も一塁側だけでなく、一塁側の一番端で投げたり、イニングや打者によって一塁側と真ん中のプレートを使い分けていた。

 また、前半戦は二軍時代からバッテリーを組むことが多かった柿沼友哉がマスクを被っていたが、柿沼が故障で離脱以降は、田村龍弘と加藤匠馬とバッテリーを組んだ。そのあたりも後半打ち込まれたことに関係しているのだろうかーー。11月12日に行われたオリックスとのCSファイナルステージ第3戦では、柿沼と7月5日の楽天戦以来とバッテリーを組み、立ち上がりから右打者、左打者のアウトコースに素晴らしいストレートを投げ込み、6回を3安打2失点と試合を作った。

 19年と20年、そして今年と開幕してから安定した投球を見せたが、それをシーズン通して継続することができなかった。経験を積み、もうあと一歩のところまできている。来季こそ規定投球回到達、2桁勝利を達成してほしい。

▼ 岩下大輝の今季成績
23試 8勝8敗1H 120回 振87 防4.43
先発/QS:21/10

文=岩下雄太

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