通算1000安打以上放った選手は?
ロッテは昨年のドラフト会議で高校生の松川虎生捕手(市和歌山高)を1位で指名した。近年では15年の平沢大河、17年の安田尚憲、18年の藤原恭大と将来を担う高校生をドラフト1位で獲得している。
21世紀以降、高卒でプロ入りした野手は19人(支配下選手に限る)いるが、そのうちロッテで通算1000安打以上放った選手は1424安打の今江敏晃氏(現楽天コーチ)のみ。次いで02年ドラフト1位でプロ入りした西岡剛氏が8年間の在籍で911安打。今江氏、西岡氏に続いていくのが、昨季終了時点で通算490安打の田村龍弘だ。5位にはプロ4年目を終えたばかりの安田尚憲がランクインするなど、大卒・社会人からプロ入りした選手が多かった時期があったとはいえ、21世紀以降はなかなか高卒でプロ入りした野手が活躍できていないのが現状である。
▼ 21世紀以降のドラフトで入団したロッテの高卒野手通算安打
2位 911安打 西岡 剛
3位 490安打 田村龍弘
4位 184安打 細谷 圭
5位 180安打 安田尚憲
※ロッテ球団のみの安打に限る
※プロ入りがロッテのみの選手に限る
シーズン100安打の壁
21世紀以降にプロ入りした高卒でシーズン100安打を達成したことのある選手を見てみると、今江氏、西岡剛氏、細谷圭氏の3人しかいない。細谷氏が高卒11年目の2016年に102安打放ったのを最後に、生え抜きの高卒野手のシーズン100安打をクリアした選手が出ていないのだ。
田村も全143試合に出場した18年に放った99安打がシーズン最高で、プロ3年目の20年に初めて規定打席に到達した安田も87安打と、100安打に届かなかった。この数字を見ただけでも、いかに高卒の野手を育成するのが難しいかがわかる。
ここまで暗い話題になってしまったが、あくまでも過去の話。近年はこれまでを反省し、育成方針を振り返ったり、この先の若手選手を育成していくためのデータを蓄積している。高卒でプロ入りした安田や山口航輝は2年目までみっちりと二軍で腕を磨いた。
今季レギュラー獲得に期待がかかる安田、藤原恭大、山口の3人が、しっかりとポジションをモノにしシーズン通して出場すれば、100安打は軽く超えていくだろう。安田は2年前に規定打席に到達しながら100安打に届かなかったが、当時はレアードが故障で不在にしていたため出場機会が増えていた。今季は競争に勝ってレギュラーを掴み、自己最高のシーズンを送りたい。
昨季7・8月度の月間MVPに輝いた藤原も、外野のレギュラー争いが熾烈だが、好不調の波を小さくし、コンスタントに安打を放てば100安打は通過点に過ぎないはずだ。長打力が持ち味の山口も1年間試合に出続ければ、100安打に届くだろう。安田、藤原、山口といった選手に注目が集まるが、ここ2年間一軍出場がなく、今季は勝負の年になる高卒7年目・平沢大河の意地にも期待したい。
他球団を見渡しても、高卒の生え抜き野手が打線の中心を担っている。ロッテは大卒、社会人、外国人が中心選手でプレーしているが、期待値の大きい高卒でプロ入りした野手が活躍すればさらに盛り上がる。今季こそ“100安打”の壁、そしてレギュラーを掴むような選手が出てくることを願うばかりだ。
▼ 高卒でプロ入りしシーズン100安打を放った選手(21世紀以降)
※ロッテ在籍時のみ
今江敏晃
4年目:143安打(05年)
5年目:122安打(06年)
7年目:125安打(08年)
8年目:101安打(09年)
9年目:176安打(10年)
10年目:134安打(11年)
11年目:113安打(12年)
12年目:165安打(13年)
13年目:120安打(14年)
14年目:107安打(15年)
西岡剛
3年目:120安打(05年)
4年目:120安打(06年)
5年目:148安打(07年)
6年目:142安打(08年)
7年目:118安打(09年)
8年目:206安打(10年)
細谷圭
11年目:102安打
文=岩下雄太