石井GM兼監督から高評価の楽天・武藤
昨年はヤクルトが20年ぶりの日本一に輝き、新たな戦いへと期待が膨らむ2022年。
新シーズンが始まる前に各球団のチーム状況を探りながら、活躍が期待される若手を球団ごとにピックアップ。今回はパ・リーグ編だ。
●オリックス:山﨑颯一郎(投手/高卒6年目)
日本シリーズではヤクルトに敗れたものの25年ぶりにパ・リーグを制した昨季のオリックス。先発ローテーションの軸に成長した山本由伸や宮城大弥、野手では宗佑磨と紅林弘太郎がレギュラーに定着するなど、2021年は中嶋聡監督の下、育成と結果がマッチした充実のシーズンとなった。
まだまだ好素材が控える中で注目したいのが日本シリーズでも好投した23歳の山﨑颯一郎。一軍デビューした昨季はシーズン後半に頭角を現し9月29日のロッテ戦でプロ初勝利をマーク。レギュラーシーズンは2勝2敗、防御率3.69の成績だったが、ロッテとのCSファイナル、ヤクルトとの日本シリーズでも先発マウンドを託された。2019年に右肘のトミー・ジョン手術を受け、育成契約を経て這い上がってきた苦労人。同期入団の山本や山岡泰輔らとともに、2022年はローテの柱として期待される。
●ロッテ:山口航輝(外野手/高卒4年目)
昨季はオリックスとの優勝争いに敗れ2位に終わったロッテ。リーグ最多の584得点をマークし126本塁打はリーグで3番目に多い本数だったが、そのうちの29発はレアード、27発はマーティンで、日本人最多は荻野貴司の10発だった。
助っ人依存度の高い打線の中で期待したいのが、昨季チーム日本人2位タイの9本塁打を放った山口航輝。楽天とのCSファーストステージでもポストシーズン初アーチとなる右越えソロを放つなど、逆方向への長打も期待できるパワフルなスイングが魅力。78試合の出場で.207の低打率に終わったが、今年は確実性を高め、安田尚憲、藤原恭大らとともに新時代の旗印になってほしい和製大砲だ。
●楽天:武藤敦貴(外野手/高卒3年目)
石井一久GM兼監督に素質を買われ、高卒2年目の昨季は開幕一軍入りを果たした天才肌。3月26日の日本ハム戦で一軍デビューし主に守備固めでの起用で打率.105に終わったが、リストの強さを感じさせるシャープなスイングは出色。体もひと回り大きくなった3年目はさらなる飛躍が期待される。
楽天の外野陣は打点王の島内宏明、昨オフにゴールデン・グラブ賞を初受賞した辰己涼介、昨季チーム内で打率トップだった岡島豪郎らに加え、新たに日本ハムからFAとなっていた西川遥輝が加入。指名打者枠も含めレギュラー争いは熾烈だ。ただし、4月で30歳になる西川を含め、島内、岡島の3選手は全員が30オーバーと、実績豊富な先発投手陣も含め主力の高齢化は不安の種。なかなか高卒野手が育たないチーム史を鑑みても、武藤や同期の黒川史陽らにかかる期待は大きい。
万波は新庄ビッグボスの下でブレイクなるか!?
●ソフトバンク:リチャード(内野手/高卒5年目)
昨季はリーグ1位のチーム防御率3.25を記録しながら、レギュラーシーズンでは4位に終わり日本シリーズ5連覇を逃したソフトバンク。打線が決定打を欠き、引き分けは両リーグ最多の21試合を数えた。
得点力アップが求められる中で、昨シーズン飛躍のきっかけをつかんだのが育成出身のリチャード。9月5日のオリックス戦ではプロ初本塁打となった豪快なグランドスラムに続き2号ソロを立て続けに放つなど、1試合2本塁打6打点と爆発力を見せつけた。シーズン打率.181と課題も残したが、34試合で7本塁打の長打力はやはり魅力。まだまだ粗削りな部分も多いが、5年目の今季は通年での活躍が期待される。
●日本ハム:万波中正(外野手/高卒4年目)
昨季は中心打者だった中田翔がシーズン途中に巨人へ移籍。オフにはノーテンダーFAとなっていた西川と大田泰示がそれぞれ他球団へ移籍した。「ビッグボス」こと新庄剛志氏が新監督に就任した今季は野手陣の顔ぶれが大きく変わる。
昨季、大器の片鱗を見せてくれたのが3年目だった万波中正。一軍の舞台で初アーチ含む計5本塁打を放つと、二軍でも計17本塁打をマーク。シーズン終了後の宮崎フェニックスリーグでも広いサンマリンスタジアムの左中間席に叩き込むなど、守備と走塁面も含め高い身体能力は魅力的だ。2021年の日本ハムが記録したチーム打率.231、同78本塁打、同454得点はいずれもリーグ最下位。万波だけではなく、同じく高卒4年目の野村佑希、さらに5年目を迎える清宮幸太郎ら、若手の大爆発に期待したい。
●西武:若林楽人(外野手/大卒2年目)
主力の故障や外国人の誤算もあり、リーグ最下位に沈んだ2021年の西武。「獅子脅し打線」と恐れられた打線も鳴りを潜め、チーム打率はリーグ4位の.239、得点数は同5位の521に終わった。中心打者の不調も響いたが、リードオフマンの不在も顕著。秋山翔吾(現レッズ)がメジャーへ旅立って以降、1番打者の選定に苦心している。
昨季、1番でスタメン起用された選手は11人。その中で一時的に輝きを放ったのが駒沢大からドラフト4位で加入した若林楽人だった。44試合の出場で打率.278、出塁率.340、20盗塁の好成績を残したが、5月30日の阪神戦で左膝前十字靱帯損傷の大ケガを負い、そのままシーズンを終えた。実戦復帰まで9ヵ月の診断で現在もリハビリ中。復帰時期は不透明だが、打線復活のカギを握る存在なのは間違いない。